「パリ合意」に向けて:国連気候変動ボン会議(SB42・ADP2.9)報告会を実施


2015年11~12月、フランスのパリで、世界の気候変動に関する、きわめて重要な国連会議COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)の開催が予定されています。この会議では、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みについて、国際社会が合意を交わそうとしています。この会議に向け、7月2日、WWFジャパンは地球温暖化問題に取り組む他のNGOと共に、地球温暖化の防止に向けた国際交渉をテーマとするセミナーを開催。6月のドイツでの会議報告に併せ、今後日本がこの問題にどう取り組んでいくべきかについて指摘を行ないました。

COP21「パリ会議」に向けて

2015年7月2日、WWFジャパンは東京で、地球温暖化問題に取り組む他のNGOと共に、地球温暖化交渉セミナー&国連気候変動ボン会議(SB42・ADP2.9)報告会「パリCOP21に向けて、温暖化の国際交渉は今どうなっているの?」を開催しました。

報告会では、2015年6月にドイツのボンにおいて開催された国連気候変動会議(SB42・ADP2.9)に参加した各団体のスタッフが、これまでの交渉の経緯と、2020年までの各国の取り組み、そして新しい国際枠組みのスタートに向けた議論の内容について報告。

さらに、日本が提示した2030年に向けての温室効果ガス排出量削減目標案の問題点とこれからとるべき姿勢について指摘を行ないました。

セミナー報告

これまでの国連気候変動交渉
山岸尚之(WWFジャパン)

WWFジャパンの山岸からは、2015年11~12月にフランスのパリで開催が予定されているCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)が極めて重要な会議になること、そして、今回の2015年6月のドイツのボンでの準備会議に至るまでの国連での温暖化問題に対する取り組みの経緯や、現在の国連交渉の論点を説明しました。

山岸尚之(WWFジャパン)

ボン会議SB42&ADP2.9の交渉
小西雅子(WWFジャパン)

次いで、WWFジャパンの小西雅子からは、今回の2015年6月会合での交渉の様子が報告されました。

パリ合意の下書きとなる90ページにも上る交渉テキストに対して、各国がさまざまな意見を出し、最終的には、議長が7月24日にそれらをまとめた案を出すことになった経緯や、その意義についての説明がなされました。

また、「タイムフレーム」や「差異化」と呼ばれる重要論点についての解説も行ないました。

小西雅子(WWFジャパン)

適応・資金の議論
小野寺ゆうり(FoE Japan)

FoE Japanの小野寺ゆうり氏からは、温暖化の影響にいかに対応していくのかという「適応」対策についての交渉や、主に途上国に対する資金支援の議論の背景について説明がありました。

適応対策に関連する分野としては、「損失と被害」と呼ばれる分野もあります。

これは、もはや「適応」しきれなくなった時に発生する影響にどのように対応していくのかという点に言及したもので、そうした項目が入るかどうか自体が、重要な論点であることなどが説明されました。

小野寺ゆうり(FoE Japan)

日本の課題
伊与田昌慶(気候ネットワーク)

気候ネットワークの伊与田昌慶氏からは、世界中で「脱炭素化」へ向けたうねりが、従来の温暖化対策の分野だけにとどまらない分野も含めて起きていることが紹介され、その中で日本がどのように対応していくべきかという問題提起がありました。

特に、日本が提示した2030年までの温室効果ガス排出量削減目標を含む国別目標案が、国際的にはどのように見えるのかなどの解説がありました。

そして、同時に、日本の国内外での石炭に対する姿勢の問題についても指摘がありました。

伊与田昌慶(気候ネットワーク)

ビジネスに見られる姿勢の変化
末吉竹二郎(国連環境計画・金融イニシアティブ 特別顧問)

国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問でWWFジャパン評議員の末吉竹二郎氏からは、気候変動問題に対するビジネスの対応の変化について説明がありました。

世界的には、2100年までに排出を「ゼロ」にするという認識があること、そして、その流れの中で、先進企業は炭素価格を重視し始めていることなどが説明されました。

また、自然エネルギーが主流になってきていることや、投資をする側の機関投資家にも変化が表れていることが解説されました。

末吉竹二郎(国連環境計画・金融イニシアティブ 特別顧問)

報告会の内容は動画でもご覧いただけます

開催概要

地球温暖化交渉セミナー&国連気候変動ボン会議報告会

日時 2015年7月2日(木)
場所 日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール 千代田区日比谷公園1番4号
主催 Climate Action Network Japan (CAN-Japan)
備考 本イベントは、平成27年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されました。

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