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【動画あり】 COP23現地報告:世界の未来を視野に入れた企業の動き

2017年11月17日まで、ドイツのボンで開催される国連の気候変動会議「COP23」では、主役である世界各国の政府代表だけでなく、温暖化防止に積極的な姿勢を見せる企業や地方自治体、NGO(非政府組織)などの関係者も数多く集まり、それぞれの取り組みを発表しています。地球温暖化防止の新しい約束である「パリ協定」の担い手の一人である、世界をリードする企業が、今何を考え、何を目指しているのか。現地のCOP23会場よりお伝えします。

COP(締約国会議)で示される「非国家」の存在感

国連の会議であるCOP23では、各国の政府代表が交渉を行なう会議場と別に、市内の公園に展示会場が開設されています。

その広大なスペースには、各国政府のパビリオンや国連機関、NGOのブース、サイドイベント会場などが設けられています。

WWFは例年、ブースを設けて取り組んでいる温暖化防止のための活動を紹介していますが、今回はより規模の大きなパビリオンも出展し、主に非国家アクター(自治体や企業、投資家、研究機関やNGOなど)のパネルトークなどを開催しています。

気候変動問題の解決に果たす非国家アクターの役割が重視されるようになるにつれて、このCOP会場の展示スペースは年々拡大し、数多くの魅力あるイベントが開催されるようになりました。

なかでも世界の産業界は「脱炭素経済」をめざすパリ協定を新しい経済成長のチャンスととらえ、温暖化対策を推進する姿勢を積極的にアピールしています。

「脱炭素経済」とは、二酸化炭素(CO2)を出す石油や石炭に頼らない経済のこと。つまりこれらの企業は、従来とは異なる太陽光や風力などのエネルギーを拠り所とした、新しい経済活動の道を選び、今まさに進もうとしているのです。

フランスのパビリオン。パリ協定を批准した国が世界地図に示されている

WWFのパビリオン「パンダハブ」。毎日、多くのトークイベントが開催されている

「パリ協定」に一致したSBTの取り組み

そうした企業のイニシアチブのひとつに、「WE MEAN BUSINESS連合」があります。

ここには、630社が参加。世界の主要企業に対して実効性の高い温暖化対策を働きかけています。

参加企業の時価総額は合わせて15兆5,000億ドル。参加企業の排出量の合計は23億1,000万トンと、世界第4位の排出国であるロシアに匹敵します。

この連合に参加する企業のうち、最も厳しい温暖化対策を自らに課すイニシアチブのひとつがSBT(Science Based Targets:科学と整合した目標設定)です。

これはWWF、そして気候変動対策の情報開示を推進する機関投資家グループであるCDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトの4団体が、2015年に共同で設立しました。

パリ協定には、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという長期目標の達成に向けて、最新の科学に基づいた検証を受けながら、各国が5年ごとに目標を強化していくしくみが盛り込まれていますが、SBTはまさに、企業にも同様に、長期的な視点の下で「2度」目標と整合した温暖化対策を促すためのイニシアチブです。

2015年にパリで開催された国連会議COP21でも、産業界自らが2℃目標の達成に貢献する姿勢をアピールすることによって、各国政府にパリ協定の採択を強く求めました。

このとき114社だったSBTの参加企業は、2016年のCOP22で200社を超えました。そして、2018年までに250社の参加をめざすという目標は前倒しで達成され、2017年、COP23の会期中に320社に達しました。

日本からは39社が参加していますが、2017年7月には環境省が、日本企業を対象にSBTに合致した温室効果ガスの削減目標の策定を支援する事業を開始したことを受け、さらに増えていくことが予想されます。

NGO、ビジネス、自治体、研究機関の記者会見

we mean businessの代表、Nigel Topping。we mean businessは、世界の主要企業に対して低炭素経済への移行を促す国際NGO。SBTはwe mean businessのイニシアチブのひとつだ

産業界のサイドイベント

加速する企業の取り組み

SBTへの参加は、2015年の設立以来、1週間に2社というスピードで増加しており、いまや企業の温暖化対策の主流になりつつあります。

参加企業およそ300社の売り上げを合わせると6兆ドル、排出量の合計は約7億5,000万トンと、カナダ一国の排出量に匹敵します。

このSBTと共同で、11月15日、WWFはCOP23の場で「気候変動の解決に向けた民間セクターの役割」と題したトークイベントを共催しました。

このイベントでは、日本のリコー、フランスのダノン、中国のジーベスト・パワーが事例紹介を行ない、気候変動の原因をつくっている産業界が、率先して解決をめざす決意を表明しました。

COP23の開会に先立って国連環境計画(UNEP)が発表した報告書は、パリ協定がめざす「2℃目標」を達成するためには、2030年までに110~135億トンの追加削減が必要であると分析しています。

各国政府がその削減目標を引き上げるためには、より多くの企業が積極的な削減行動を取り、企業の実践を国の政策に結びつけることが求められています。

WWFのサイドイベント。話しているのはリコーのセルジオ加藤さん

温暖化対策の強化を訴えるために会場を訪れたボンの子どもたち

その中でSBTは国と民間企業の橋渡しとなって、世界を脱炭素経済に移行させていく、という重要な役割を担っているといえるでしょう。

COPのような国際会議は本来、国の代表たちがそれぞれの利害を戦わせながら、世界共通の利益や理想を実現するための場です。

しかし、経済活動の単位が国境を越えて広がるようになり、複雑に絡み合うようになった現代においては、各国の政府のみで国際社会の未来を定め、問題を解決していくのは難しくなっています。

その中でSBTのような企業活動が、今後の国際的な温暖化防止に向けた動きを、より加速させ、大きなものにしていく原動力になることが期待されています。

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