COP21間近!各国が続々と発表する「削減目標」


フランスのパリで開かれる国連の気候変動会議(COP21)が、いよいよ来月末に迫ってきました。

この会議を前に、先月から今月初めにかけて、各国政府は自国の温室効果ガスの削減目標を次々と発表してきました。

理由は、国連総会のタイミングが9月下旬だったこと、そして11月1日に国連気候変動枠組条約事務局が発表する、各国目標を総括した新しい統合報告書の中に、この目標を明記できる期限が、ひと月まえの10月1日に設定されていたためです。

これにより、目標発表した国の数は、一気に120カ国以上に増加。

またこの国々の排出するCO2などの温室効果ガスの総量は、世界全体の排出量の85%にのぼるとみられています。

私たちも、世界の国々がどのような削減目標を出しているのかウォッチし続けており、それを独自にまとめてウェブサイトで公開していたのですが、ここ数週間で、突然目標を発表する国が急増したので、データの取りまとめが追い付かなくなってしまいました。

ともあれ、こうした動きは、地球温暖化防止のための各国の新しい目標を定める「COP21」に向け、各国が前向きな姿勢を示しているものであり、それ自体は歓迎すべきことです

ただ、実際に気候変動の深刻な影響を回避するために必要な、「地球の平均気温の上昇を「2度未満」に抑える」という目標を達成するためには、ここまで明らかにされている、各国の削減目標を全て足し合わせても、まだ足りません。

石油や石炭といった化石燃料に依存している一部の国々が、十分かつ野心的な削減目標を出していないためです。

来週からは、COP21に向けた最後の準備段階となる国際会議が、ドイツのボンで開催されます。

国際社会が未来のために、どれくらい「本気」で温暖化防止に取り組むのか。

それが明らかにされる日は、確実に近づいてきています。(温暖化担当 山岸)

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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