波乱含みのスタートとなった国連気候変動ボン会議


ドイツ・ボンより温暖化担当の山岸です。
こちらで始まった、今年4回目の国連気候変動会議。ちょうど、波乱含みの初日が終わり、2日目の交渉に入りました。

現在の国連会議での交渉は、年末にフランス・パリで開催されるCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)での合意を目指して行なわれています。

パリでの合意は、2020年以降の新しい国際的な温暖化対策の枠組みとなる予定です。

合意ができれば、京都議定書以降、最も重要な温暖化に関する国際合意となります。

この合意に向け、今回の会議では2人の共同議長が、文書の素案を準備していました。

しかし、会議が始まる前、主に途上国が、この素案には途上国のさまざまな意見がきちんと反映されていない、と、交渉のたたき台として使うことに対して異議を表明。

このため会議前日、非公式な会合が持たれ、最低限の修正を行なった上で、交渉を始めることが合意されていました。

ところが、初日が始まってみると、その「最低限の具体的な修正」を行なうやり方について、共同議長と途上国全体のグループの間で、認識の違いがあることが明らかになり、どうやるのかについて延々と議論が行なわれ、午前中はほぼそれで終了。

「会議のやり方自体についてすら異論が出る」という典型的な国連気候変動会議の難しさが出てしまい、ハラハラさせられる展開となりました。

午後は、その「最低限の具体的な修正」を、全ての国々から聞くという作業が行なわれ、事務局が夜の間にそれらを全て取り入れ、共同議長の再提案という形で新しい素案が翌朝(今朝)に提示されることになりました。

もっとも、この新しい素案は、WWFの観点から見れば、よい文言が再度付け加わっているので、結果としてみれば良かったかもしれません。

二日目は、その新しい素案に関する交渉です。

果たして今後、議論がどう展開していくのか、目が離せません。

関連情報

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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