キタシロサイ最後のオス1頭の死


先日、シロサイの亜種 キタシロサイの最後のオスが死んだ、というニュースが流れました。

これは事実上、キタシロサイの絶滅を物語るものです。

残るキタシロサイはメス2頭だけで、もう自然交配で新たな命が誕生することはないからです。

死亡したキタシロサイ最後のオス。「スーダン」と名付けられていた。

アフリカ中部に生息していたキタシロサイは1970年代以降、激しい密猟により減少。

1990年代初頭には1,000頭以下となり、困難の中、必死の保護活動が行なわれました。WWFの古い報告にも、その取り組みの記録が残されています。

しかし、90年代後半のコンゴ民主共和国(旧ザイール)の内戦勃発後、活動は継続不可となり、戦火が収まった後は、キタシロサイはほぼ姿を消してしまいました。

ありし日の野生のキタシロサイ。1990年代のコンゴ民主共和国のガランバ国立公園にて。

戦争が起きると、保護区も守られなくなり、動物は食用に狩られ、軍資金になる角や牙を狙った密猟が頻発します。

このサイも、その犠牲になったに違いありません。

野生個体の絶滅が確認されたのは2008年。

2009年にはチェコの動物園にいたオス、メス各2頭がケニアに移され、人工繁殖が試みられましたが、2014年にオス1頭が死亡し今回、最後のオスの死を迎えました。

体外受精も話題にされていますが、それでキタシロサイが蘇るのか、確かなことはわかりません。

ガランバ国立公園での調査・保護活動をWWFは1984年から支援していました。

シロサイは今や、南アフリカの亜種ミナミシロサイ(2万頭)のみとなりました。

しかし、その未来も決して安心できません。

10年ほど前から角を狙った密猟が急増し、シロサイとクロサイを合わせ、毎年1,000頭以上が犠牲になっているからです。

最近、密猟数はようやく減少に転じましたが、WWFでは今も密猟の撲滅を訴え、活動を続けています。

キタシロサイの遺訓を忘れずに、密猟と違法取引を根絶する努力をいっそう傾けていかなくては思います。(広報 大倉)

ウガンダのカバレガ国立公園で撮影されたキタシロサイ。スーダン、コンゴ民主共和国、ウガンダ、中央アフリカ、キタシロサイの生息国はいずれも内戦の混乱に見舞われました。まさに悲運の動物でした。

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C&M室 メディアグループ所属
大倉 寿之

プレス担当。

90年代の諫早干拓問題やオゾン層破壊の話題はけたたましくアラーム音が鳴り響く「警告の赤」。一方、今の温暖化の進行や自然資源の過剰消費は、いつみても「要注意の黄」がともっている状態なのかもしれません。これに慣れっこになってはいけない、そう思いながら、環境ニュースに日々感度の高いアンテナを張っています。

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