潜水機材を被災地・志津川の海へ


自然保護室の前川です。東日本大震災から一年が過ぎようとしています。

宮城県の志津川湾では、カキやホタテ、ギンザケの養殖が再開され、来春の出荷を目指して作業が続けられています。

漁港にはカレイやミズダコなども 水揚げされるようになり、少しずつ活気も見られるようになりました。

しかしながら、海の中には、まだ多くのがれきが残っており、依然として撤去作業が行なわれています。

私たちが取り組んでいる「暮らしと自然の復興プロジェクト」の中でも、漁業者の方と復興支援のあり方について検討を重ねる中で、潜水機材が不足している、という問題が浮上してきました。

潜水機材は海の養殖施設のメンテナンスや漁場整備などに必要な物です。こうした機材はまた、漁場の調査にも欠かせません。

地元の戸倉地区の漁業者の皆さんが、将来的にこうした環境を自ら調査できるようになることは、より進んだ「環境に配慮した責任ある養殖業」を、この地域で実施していく上でも、不可欠なステップ。私たちのプロジェクトの大きな目標でもあります。

そこで、漁業者の方々を支援しつつ、漁場の環境測定を行なう体制づくりを進めるために、WWFジャパンでは潜水機材の調達を支援することにしました。

私たちがご協力を呼びかけたのは、ダイビングに関連した3社の企業です。大変嬉しいことに、いずれからもご快諾をいただき、潜水用のマスクやフィン、BCジャケットやレギュレーター、 ドライスーツなど、3名分40点余りを提供いただくことが出来ました。

この装備は近々、宮城県漁協戸倉出張所に届けにゆきます。その折、今後の観測体制などについても、検討を重ねていきたいと思います。

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順調に育っているカキ。

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漁港に並んだタコ。いろいろな魚介類が水揚げされている。

 

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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