歴史を変えるか?中東で初の大行進


COP18が開かれているカタールのドーハより、温暖化担当の山岸です。
2週間に及ぶCOPの折り返し点にあたる先週の土曜日は、「グローバル・デー・オブ・アクション」でした。

この日は、各国で温暖化防止を求めるイベントが行なわれ、特にCOPの開催都市では特に、世界中の環境NGOによる大行進(マーチ)が慣例になっています。

ところが、カータルをはじめ湾岸産油国では、反政府運動に発展する可能性のある集会は禁止。前例もありません。このため主催側は当局と困難な交渉の末、実現にこぎつけました。

そのこともあり、当日はたくさんのNGO関係者がマーチを是非とも成功させようと、ドーハ湾を望むコルニッシュ地区に集合。ここから2時間にわたるマーチに繰り出しました。

先導は、カタールの市民団体「ドーハ・オアシス」の共同代表カリード・アル=ムハマディさん。開催国のNGO代表として、世界のNGOと協調しながら、マーチの実現に奔走してきた人です。そして彼の後には「アラブ諸国よ、今こそ世界をリードしよう」という横断幕を手にしたアラブ15か国の若者たちが続きました。

「世界のリーダーよ、今こそ約束しよう」、「不可能なことなど何もない。もうひとつの未来は可能だ」。ただともに歩くだけで参加者の心はつながり、一つになった声は世界に届けと青く晴れ上がった空へ響きわたります。

最後にマーチを終えた参加者は、カリードさんの導きでCOP18組織委員会のファハド・アル=アティーヤ議長と対面しました。そして、議長が「今日、ここに新しい歴史がつくられたことを誇りに思います」と述べると、大きな拍手が起きました。

中東で初のCOP、そして初のマーチ。これからの湾岸産油国の地球温暖化対策を変えていく、新しい時代への折り返し点になるかもしれません。

 

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「アラブ諸国のリーダーよ、今こそ団結しよう」カリードさんの呼びかけに、後に続く参加者が唱和します。

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「アラブよ、温室効果ガスを削減しよう」アピールする若者

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WWFの仲間たちも参加しました。大規模なマーチとはいえませんでしたが、参加者の多くが一つの歴史に立ち会いました。

 

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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