新しいフェーズ、新しい会場、新しい議論?


ドイツ・ボンより、温暖化・エネルギー担当の山岸です。
今年最初の国連気候変動ボン会議が、ここボンの町で始まっています。

ボンは、国連気候変動枠組条約の事務局があるので、今回のように年末のCOP(締約国会議)以外で会議が開催される時は、どこの国もホストしなければここでの開催になります。

これまではずうっと、毎回同じMaritimという名前のホテルを使っていましたが、今回は新しい国際会議場が会場になりました。

昨年のCOP18(カタール・ドーハ)の決定で、今後の交渉が「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP1)」を主な舞台とすることに決まり、新しい交渉のフェーズが始まることと呼応して、新しい会場で交渉が始まる!

...と思ったら、新しい会場は実はまだ建設が完了していないとかで、次回からは再びMaritimに戻るのだそうです。

それでがっくり来たのが理由ではないでしょうが、今回の会合でのこれまでの議論は、各国ともこれまでの主張からあまり変わらないことを言っています。

今回は、自由な議論をするために、あえて、「交渉」という形をとらず、「ワークショップ」や「ラウンドテーブル」という非公式な意見交換の形式をとって、自由な意見を言えるようにしてあるにもかかわらずです。

そんな中でも、ところどころ、気になる発言や新しい傾向もあります。

「衡平性」と呼ばれる議論は相変わらず鍵となる争点ですし、「削減約束の『スペクトラム』」など、いくつか今後のキーワードになりそうなものが定着しつつあります。その辺りについては、また報告記事で詳しく報告をしたいと思います。

大きな波乱は今回はなさそうですが、油断できないのがこの会議。金曜日の最終日まで、注意深く見ていきたいと思います。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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