ネコがこんなにかわいくなった理由


読書週間、そして読書の秋。
今日は、空前のブームと言われるネコに関する本をご紹介します。

その名も『ネコがこんなにかわいくなった理由』(出版、PHP研究所)。

保全生物学者の黒瀬奈緒子さんが書かれた本で、巷にあふれるネコ本とは一味ちがうネコの姿を見せてくれます。

アフリカ北部から西アジアに生息するリビアヤマネコが、長い時間をかけてイエネコになった、という話はご存知の方も多いかと思いますが、多くのネコ科の動物の中で、なぜこの種だけがヒトと暮らすようになったのか? 考えたことはあるでしょうか。

その意外な答えがこの本の中にあります。

野生のヨーロッパヤマネコ。ヨーロッパからアジア、アフリカに広く分布します。リビアネコも、このヤマネコの1亜種とされています。

他にもトラやヒョウなどのネコ科がどのように生まれ、分岐し、分布を広げたのか。

イエネコの品種がどのように作られたのか。

ノネコ問題の現状と今後の課題などネコにまつわる多くの話題が語られます。

以前は世界中にライオンが分布していたことや、短い尾が劣性遺伝であったことなど初めて知りました。

著者の主な研究対象はイタチ科だそうです。

そうした視点からコンパニオンアニマルであるフェレットへの思いや、調査からわかった屋外にいるネコのイタチへの影響など、興味深い事実も教えてもらいました。

研究者が書いた本というと専門的で難しそうですが、専門用語も丁寧に説明されていてとても読みやすいものでした。

私自身、石神井公園生まれのネコと暮らしていますが、この本を読んで愛猫の見方が少し変わったような気がします。

ご興味を持たれた方は、ぜひ秋の夜長のお共に...。(トラフィック 若尾)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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