ソーシャルファイナンスの教科書
2015/09/18
以前、アメリカの大学院で、途上国の貧困層に、少額を貸し付けてビジネスを支援するマイクロファイナンスという手法を知り、非常に感銘を受けました。
魅力を感じたのは、「途上国支援も環境保全も、ビジネスに乗せて解決していく」そんな取り組みが持つ現実的な視点です。
そこで数年前、日本でもマイクロファイナンス・ボンドが発売されることを知って以来、私も途上国の女性支援ファンドなどに投資する、小さな小さな投資家になったのですが、最近すばらしい本に出会いました。

『ソーシャルファイナンスの教科書―「社会」のために「あなたのお金」が働くということ』(河口真理子著)。著者は、社会にインパクトを与える投資を説く日本の第一人者です。
「環境配慮=儲かる」という新しい価値観を分かりやすく説明しながら、「投資には社会発展のカタチを変える力があります」「長期的には社会に役に立つ会社でなければ生き残れません」といった、印象的な言葉が多くつづられています。
また、モノ作りは尊いけれど、投資は額に汗することなくお金を動かすだけなので、尊敬されないのではないか、といった、日本が投資に積極的でない理由も分析しています。
ですが、社会に影響を与える投資は、どんな課題の解決に自分のお金が使われるか、それがはっきり分かるので、自分でも何か社会に貢献したいと考える個人にはぴったりの手法だともいえます。

『ソーシャルファイナンスの教科書―「社会」のために「あなたのお金」が働くということ』河口真理子著 生産性出版
これらの投資は、いずれも基本的にローリスク型の債権投資なので、大きな値上がりが期待できるものではありません。それでも「確実に社会によいことをして、少し利子がつく投資で、感覚的には定期預金や寄付に近い」と著者は説きます。
こんな感覚の投資が、もっと広がるといいなと心から思います! 関心をお持ちの方は、ぜひこの本をお手に取ってみてはいかがですか?(温暖化担当 小西)