ヒョウとトラの森に捧げた34年
2016/12/09
日本の皆さん、こんにちは。
WWFロシアでアムール支部代表を務めておりましたユーリ・ダーマンです。
12月7日の「第4回生物多様性みどり賞」の受賞者フォーラムに出席するため、久々に来日しました。
この賞は、2010年の第10回生物多様性条約会議で採択された「愛知ターゲット」や、「国連生物多様性の10年」の推進に貢献した人に贈られるもので、光栄なことに今回私もその1人に選ばれました。

これは、34年にわたり尽力してきた、極東ロシア・アムール地域での保護区の設立と希少種の保護活動の成果を、ご評価いただいたものです。
シベリアトラや、アムールヒョウ、タンチョウなどが息づくこの地域には、世界屈指の豊かさを誇る手つかずの自然が今も残ります。
しかし、森林伐採や火災など人為的な要因で、その多様性は急激に消失。
私は強く危機感を抱き、自然保護の世界に入りました。

極東ロシアの森。
WWFロシアの一員となったのは1999年。
以来、WWFジャパンの仲間たちとも、長く活動を共にしてきました。
WWFジャパンを通じ、皆さまからいただいたご支援では、「ヒョウの森国立公園」の周辺に、火災を防ぐ防火帯が設けられたほか、フィールドの拠点となる建物や機材の整備、調査活動などを進めることができました。
その結果、沿海地方の森林火災面積は2009年から2013年の間に10分の1以下に減少。

政府のトップレベルとの対話。シベリアトラとアムールヒョウの保護に関する大統領令にWWFをはじめとするNGO団体が訴えてきた内容が盛り込まれました。
さらにこのような活動と政府への働きかけを積み重ねた結果、WWFのサポートのもと20年間で合計720万haの保護区が新たに設立されました。
私は10月に現役を退きましたが、引き続きWWFをサポートしながら、活動に貢献したいと思っています。
あらためて、ご支援下さった日本の皆さまにお礼申し上げますと共に、これからも極東ロシアの森の保全に、ご関心をお持ちいただければ嬉しく思います。

「世界トラの日」に合わせてウラジオストクで行なったパレード。地域の人々へ活動への理解を促す普及啓発活動も大切な活動の一つです。