『ビジネスと生物多様性 勝手にアワード』発表
2015/02/19
記者発表資料 2015年2月19日
【東京発】WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)は、企業活動が生物多様性に与える影響について、企業の取り組みを独自の視点により表彰する「ビジネスと生物多様性 勝手にアワード」を2015年2月19日に発表しました。キリンホールディングス株式会社が大賞を受賞、その他の賞には花王株式会社、株式会社リコー、イオン株式会社、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、不二製油株式会社、三菱製紙株式会社、日本板硝子株式会社、鹿島建設株式会社を選出しました。
2010年に名古屋で開催された「第10回生物多様性条約(CBD)締約国会議」をきっかけとして、日本の企業の間でも生物多様性の保全や配慮が独立した取り組みテーマとして語られるようになりましたが、社会貢献活動に位置づけられているケースが多く、自社事業が直接関係する環境問題との認識はまだ広まっていないのが現状です。
他方、WWFは市場変革イニシアティブを2009年に国際的に立ち上げ、サプライチェーンマネジメントを通じて企業は生物多様性保全に大きく貢献できることを訴えてきました。その結果、日本でも一部の先進的企業は生物多様性への取り組みとして原材料調達のあり方を見直し、調達方針を策定・改定するようになってきています。しかし、こうした企業取り組みが社会から正当な評価を得ているとは言えません。こうした中、積極的に評価されるべき活動をNGOが選出し、讃えることで、広く社会に理解がすすむことを狙い、表彰企業を選出しました。
また、今回は、表彰名に「勝手に」という表記を用いています。これは「出したい人」を社会に提示していくことがNGOの存在意義の一つとの考えから、一般的な企業による応募制・推薦制による表彰スタイルではなく、下記の調査対象となった企業が発行する環境報告書を基礎資料として内容を精査して企業を選出し、このような名称を用いた表彰方式を採用しました。
調査対象は、東京証券取引所第一部上場企業(内国株)計1818社。WWF独自の、9つの評価項目と4つの評価観点から総合的に高評価を得た企業を各賞の表彰候補とし、表彰事由に該当する活動を、同業他社の同様の活動(もしあれば)や、他の受賞候補企業の取り組み水準とも比較し、次項のように決定いたしました。
各受賞企業には、WWFジャパンより表彰状を授与いたします。
*詳細はこちらの資料(PDF)をご覧ください。
賞名 | 内容 | 受賞企業 |
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百獣の王賞(大賞に相当) | 環境憲章での位置づけ、専用の明文化された方針があり、それに基づくアクションプログラムが実行に移され、モニタリングと報告も実施されている。体系的取り組みが構築されている。 | キリンホールディングス株式会社 |
オリーブの葉賞(優秀賞に相当) | 生物資源の利用状況を加味して設定したセクター(設定については後段参照)の中で際立った水準の取り組みがあり、同業他社の模範事例となる活動がある。同一セクターで取り組み水準に大きな違いが見られない場合は選出はない。 | <生物資源製造業セクター>*注 花王株式会社 |
<非生物資源系製造業セクター>*注 株式会社リコー |
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<商業セクター> イオン株式会社 |
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<金融業セクター>三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 | ||
火中から栗賞(特別賞に相当) | 世界的に問題となっている環境課題について、積極的に情報提供し、問題の可視化に貢献している。 | 不二製油株式会社 |
虎穴で虎子賞(特別賞に相当) | ビジネス上のハードルの高さに関わらず、果敢に取り組みを進めることで優位性・差別化が実現できることを体現している。 | 三菱製紙株式会社 |
山椒の実賞(特別賞に相当) | 事業活動の中核ではないが、生物多様性への取り組み方法として正鵠を得ており、事業プロセスの様々な部分に生物多様性への配慮を取り入れインパクトをもたらせる活動が可能であることを提示している。 | 日本板硝子株式会社 |
豹変賞(努力賞に相当) | WWFが前回調査した2011年の内容から大幅な進歩進展が見られる。 | 該当なし |
亀の甲より年の功賞(功労賞に相当) | 生物多様性が企業の環境課題の一つとして話題になる以前から、事業課題として設定し、啓発的役割を果たした。 | 鹿島建設株式会社 |
栴檀は双葉より芳し賞(新人賞に相当) | 2011年以降の新規上場企業(再上場、子会社上場、ホールディング型への移行やM&A、大阪証券取引所合併による移籍は除く)で、評価項目のいずれかに何らかの言及がある。 | 該当なし |
- ※注)製造業については、業種区分で同一の分類となっていても、農林水産物に由来する原材料からの製品が主体か、石油・鉱物に由来する原材料が主体かにより、分かれている。
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