やんばる国立公園(仮称)の指定および公園計画決定への意見


パブリックコメント 2016年3月26日

意見

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 1ページ 19行目
原案 「...保護管理を行うことが重要である。」
修正案 「...保護管理を行うとともに、2050年までに「自然と共生する世界」の実現をめざし、2020年目標に向けた戦略計画として定められた愛知目標の20の個別目標達成に貢献する公園計画とその実施が重要である。」

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 1ページ 21行目
原案   「このため、保護に関する基本的な方針として、重要な資源である野生動植物が...」
修正案  「このため、保護に関する基本的な方針として、生物多様性基本法の基本原則に則り、整備・実施を行うとともに、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略に基づく、科学的知見の蓄積と人材や予算の確保により、地域関係者が連携した管理体制の構築や保全・普及広報活動の推進を実現する。これらにより、重要な資源である野生動植物が...」

理由

当該公園計画の実施および地域社会やその産業との調和を目指す方針において、生物多様性保全の基本的な理念として制定された「生物多様性基本法」やその基本原則(第三条)、およびCBD-COP10で合意された愛知目標の達成にむけた公園計画の実施が重要である。また、絶滅危惧種の保全については、中央環境審議会による「絶滅のおそれのある野生生物の保全につき今後講ずるべき措置について」の答申や、種の保存法の改正に伴う衆参両議院の附帯決議も踏まえ策定された「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」等の指針に連動した取り組みが、本公園計画を含む、今後の国内保全関連事業においては必須である。

意見

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 1ページ 29行目(追記)
原案 「...影響を防ぐものとする。」
修正案 「...影響を防ぐものとする。とくに外来生物としてのノネコ・ノイヌの対策は、喫緊の課題として、昨年に策定された「外来種被害防止行動計画」に則り、地元自治体のみならず地域および広域なNPOや専門機関らと連携した官民連携による対策とモニタリングの実施体制を構築するとともに、地域住民への普及・広報活動の充実に努める。」

理由

生態系に影響を及ぼす外来生物を防除することが記載されているが、外来生物の侵入防止、早期防除、 根絶に向けた官民が連携した地域の先行事例モデルの構築と、他地域への発信や2次展開に努める必要がある。とくにこれまで重点的に対策がとられてきたマングース以外に、奄美群島をはじめ南西諸島各地域で問題となっているノネコ※、ノイヌについてはその対策が十分なされている状況にない。早急な実態調査とともに、本島南部の市街地域の市民および獣医師等の協力に基づく、捕獲・TNR・治療順化・譲り渡し等の体制を図るべきである。
同時に、地域のネコ・イヌの飼育住民に対し、南西諸島の陸域生態系に脅威となっているノネコ・ノイヌの及ぼす問題についての理解と、新たな個体発生を抑制する飼育管理を促すため、普及・広報活動を事業化し取り組むべきである。この際、周辺市町村の自治体と連携した地域の規制法制度の整備・充実を図るとともに、地域NPOや観光事業者ら民間の協力を得たこれら外来生物の監視、調査、捕獲等の地域が参加し継続性の伴う実施体制を、国や県の支援をとともに構築すべきである。

※日本哺乳類学会 「生物多様性保全上重要な島嶼である奄美大島と徳之島におけるノネコ対策の緊急実施要望 2016年1月5日」

意見

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 1ページ 26行目
原案 「施業を行うとともに、これまで行われてきた生活、産業、開発行為の結果、照葉樹林や...」
修正案 「施業を行うとともに、これまで行われてきた生活、産業、林道を含む開発行為の結果、照葉樹林や...」

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 1ページ 27行目(追記)
原案「...自然再生・修復を行う。」
修正案「...自然再生・修復を行う。また当該地域の農業や畜産業においてはその施業に起因する環境影響の改善に向け、保全型施業を推進する施策や事業を、地域の自治体と連携し取り組む。」

理由

健全で恵み豊かな自然の維持が生物の多様性の保全に欠くことのできないものであることから、野生生物の種の保存等が十分に図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて保全されることを旨として行われなければならない。
本国立公園のテーマである、野生動植物の健全な生息・生育とともに地域の暮らしの維持に寄与する公園、として、地域の社会経済および自然環境に深くかかわる1次産業のうち、生産額の95.3%※1を占める農業についての取り組み方針や目標が示されてない。とくに丘陵や山地の発達する起伏に富んだこの地域では、その流域河川は比較的短いものが連続し、高低差による流速の早い河川の環境とそれに適応した種が生息する特徴がある。一方で、降雨時には農地や土地造成地から土砂や、畜産業に伴う豚舎等からは屎尿等の有機塩類が、短時間のうちに大量に流出する問題も発生している。これらは、河川、沿岸の景観のみならずその水生生物の生息・生育環境に著しい影響を及ぼしている。
さらに、やんばるにおける網の目状の県道・林道建設は、生態系の直接的破壊や分断だけでなく外来種の侵入による生物相の劣化なども引き起こしている※2とともに、台風等の風雨により道路側面の斜面改変箇所の崩壊が度々発生し、周辺環境並びに地域の交通インフラに渋滞な影響を及ぼしている。
公園指定の目的に鑑み、これら地域の社会産業の問題について、必要な施策、事業方針を明記するべきである。

※1「やんばる国立公園(仮称)指定書 (3)社会経済的背景」
※2「WWF南西諸島生物多様性評価プロジェクト報告書 第4章南西諸島における重要地域の現状と今後 慶良間・沖縄諸島④昆虫類」

意見

公園計画書 (1)保護に関する基本方針 ア規制計画 d 第3種特別地域 2ページ 18行目
原案 「...農業が営まれており、こうした地域の風致の維持を図るため、...」
修正案 「...農業が営まれており、こうした地域の風致や伝統的な森林利用形態による管理とバッファゾーンとしての二次林の維持のため、...」

理由

高齢林および高齢林部を含む森林を厳正に保護する、とあるが、本国立公園が地域の暮らしの維持に寄与するものを目指すうえで、バッファゾーンとなる地域の若齢林や壮齢林を主とした2次林について、伝統的な炭材等の利用を通じた維持管理を行うことは重要である。
またそれら伝統的産業活動は、近年頻発する大型の台風や風雨による斜面崩壊または土砂流出を防ぎ、景観および生態系を保つうえで不可欠であり、本公園指定と保全再生を考慮するうえで方針として記載すべきである。

意見

公園計画書 (2)利用に関する基本方針  2ページ 38行目(追記)
原案 「...利用のルールの検討を行う。」
修正案 「...利用のルールの検討を行うとともに、地元自治体および地元環境ガイド事業者らも参加した、地域が主体の適正な利用に関する監視体制を構築する。さらに地域の観光産業が、やんばる地域の自然環境の保全や保全に向けた広報普及活動に関する資金拠出を行う仕組みまたはその基金モデル実現を目指すとともに、3村が連携した自然環境保全の広域マスタープランの策定に向けて、国や地方自治体および地元関係機関、事業者らと検討を行う。」

公園計画書 (3)施設計画 (イ)道路  3ページ 19行目
原案 「...歩道の整備を行う。劣化が生じる場合...」
修正案 「...歩道の整備を行う。なお、特別保護地区における歩道の自由利用は原則禁止とし、入域にあたっては地元の認定ガイドの同道を必要とするルールを整備する。劣化が生じる場合...」

理由

道路(歩道)整備において、「利用形態や自然性の状況などを勘案し適切に整備を行う」とされているが、徹底した十分な対策を講じない限り、歩道の整備による、違法採取、密猟、盗掘が拡大する恐れが伴う。特に特別保護地区での歩道整備においては、ガイドの同行を必須とするとともに、その他特別地域の歩道や林道において、地域の観光産業をはじめ民間と行政が連携した監視実施体制の整備が必要である。
また、「自然の状況に応じて小人数制やガイドの同行などを利用に際しての利用ルールの検討を行う」とあるが、そのための地域関係者間の協議体の設置を図ることが必要である。 さらに地域で拡大が見込まれるエコツーリズム関連の観光産業による収益の一部を、地域の保全・監視活動に還元、あるいは地域内での資金循環する仕組みについて、地域の合意形成とともに構築するべきである。
このため、3村の地方自治体とともに、観光、林業、農業など環境関連の民間産業が横断的に参加し、保全ビジョンに関する協議を進める方針について記載するべきである。最終的には、この協議体を通じた、やんばる3村地域の環境保全目標および地域のステークホルダーごとに目標達成に向けた作業プロセスとそのスケジュールの策定により、地域が複合的にめざす保全マスタープランの構築を、方針に盛り込むべきである。

意見

その他:
今回指定地域に含まれてない米軍基地(北部訓練場)区域について、その自然環境に応じて、特別地域または普通地域の各エリアとして指定するとともに、全域の返還にむけた両国間合意によるスケジュールの策定作業や関係省庁との連携・協議を含む実施方針について記載する。

理由

本国立公園の区域案では、米軍基地(北部訓練場)のエリアが含まれていない。北部訓練場区域では、すでに15のヘリパットが運用されており、現在新たに6か所のヘリパットの建設が進められている。訓練におけるヘリの離発着にかかる騒音や景観上の問題のみならず、飛行によるこの地域の希少な野生生物の生息・生育環境への影響が危惧される。また、ヘリパット建設に係る土砂・建材に含まれる外来種の導入の問題※1も指摘されている。
公園区域のうち、与那覇岳、伊部岳、与那川上流部の各特別保護地区は北部訓練場に接しており、保全上重要なバッファゾーンがない。また日米地域協定(第3条)に基づく日本の自治・管理・監視が及ばない現状にあって、これら特に重要な原生的核心地域の保全が担保されていないに等しい。さらに、分水嶺域に及ぶこれら米軍基地地域は、今回指定案に含まれる下流や沿岸の公園地域の上流に位置し、流域を通じた影響要因をもたらす可能性がある。北部訓練域を含むSTライン以北の陸域は、WWFジャパンが実施した南西諸島生物多様性評価プロジェクトの結果からも、南西諸島全域において最も陸域の生物群が豊かな地域の一つと評価されているが、とくに安波集落および高江集落に接する第1種または第2種特別地域を含む公園区域は北部訓練場を隔て分水嶺のまとまった公園計画区域から隔離された孤立区域となっており、陸域生態系の安定と健全性維持のため、両区域を接続した連続性が必要である。
一方で、北部訓練場の過半(約3,987ヘクタール)の、日本への返還とその緊急性が日米両国間で確認※2されており、公園指定手続きとともに、具体的な返還時期および返還までの作業スケジュールを早急に両国間で確定する必要がある。加えて、将来的な返還後の保全管理が十分なされる利用管理の在り方について、地域行政や地権者らを交えた協議体を構築する必要がある。このため、公園区域指定の計画段階において、日米地位協定に基づく合同委員会を通じ、両政府間の協議の上で保護区域の指定と両国による必要な管理措置を講ずるよう、整備を進めるべきである。

※1 「平成27年第7回沖縄県環境影響評価審査会」沖縄県環境政策課 2015年10月26日宜野湾市
※2 「沖縄における在日米軍施設・区域の統合のための日米両国の計画の実施」2015年12月4日菅内閣官房長官とケネディ駐日米国大使による日米共同記者発表

以上

意見

提出者:公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン 会長 徳川恒孝
住所:東京都港区芝3-1-14 日本生命赤羽橋ビル6F 電話:03-3769-1711
担当:権田雅之 電話::0980-84-4135 メール;masayuki@wwf.or.jp

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