出遅れたパリ協定締結 失われたリーダーシップの挽回が急務


声明 2016年11月8日

本日、2016年11月8日、日本がパリ協定を受諾し、正式な締約国となるための手続きを終えた。

WWFジャパンは、日本政府がパリ協定を締結したことを歓迎する。

しかし、日本は、G7伊勢志摩サミットの議長国として、2016年内の早期発効を呼びかける首脳宣言をとりまとめた立場にありながら、出遅れてしまった。期日である10月18日に間に合わなかったため、記念すべきパリ協定第1回締約国会議(CMA1)に締約国としては参加できない。

モロッコ・マラケシュでは、すでにCOP22(国連気候変動枠組条約第22回締約国会議)が開催されており、15日にCMA1が開催される予定である。パリ協定は、「すべての国が」参加することに大きな意義があるため、批准が遅れた日本のような国々も、実質的なルール形成には参加させてもらえる公算が高いものの、今後の交渉の中でのプレゼンスの低下は避けえない。それは、日本がこの地球規模の問題の解決に貢献していく上で、そのポテンシャルを充分に発揮できないということにつながりかねない。

パリ協定は、今後、詳細ルールの作成と同時に、実施の段階に入る。前回の声明(11月4日)でも指摘したように、その双方で日本が失われたリーダーシップを回復していくためには、以下のアクションをとっていくことが必要である。

  • パリ協定の詳細ルール策定への能動的提案:今後のパリ協定の「ルールブック」作成の交渉においては、日本は積極的かつ具体的な提案をしていくことが必要である。たとえば、パリ協定の特徴の1つである「5年ごとの見直し」の初回は2018年であるが、その詳細はまだ決まっていない。この2018年の最初の見直しをどのように行えば、各国の目標引き上げにつながるのか、日本として具体的な提案を出していくべきである。
  • 「脱炭素」を目指す長期戦略の早期策定:パリ協定は、各国に対して、中期の目標だけでなく、2050年の長期に向けた戦略を2020年までに策定することを要請している。日本政府も、環境省・経産省それぞれの委員会で、現在検討がされているが、それらの委員会のとりまとめが年度内に別々に行われた後、国全体としての案を作らなければならない。しかし、現在、その統合作業がどのようになされるのか公表されていない。それぞれの検討結果を踏まえた長期戦略の策定を早期に実施すべきである。
  • 国内優先度の引き上げ:今回の日本のパリ協定批准の遅れは、それ自体も問題であるが、より根本的な問題としては、それを招いた国内における気候変動問題に対する優先度の低さである。首相の所信表明演説で言及から漏れ、参院選の選挙公約でもほとんど言及されない、もしくは大きく扱われないなど、政治の中での優先度が明確に落ちている。これを改善し、国の政策の中核に気候変動問題への対応を据えていくことが必要である。

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