高畑町裁判所跡地リゾートホテル建設に関する要望書


要望書 2017年10月6日

奈良県知事 荒井 正吾 殿

公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)

平素より、奈良県下での生物多様性の保全にご尽力を頂き敬意を表します。
本日は表題の件につき、当団体の見解をお伝え申し上げたく、本意見書を送付させていただきました。
高畑町裁判所跡地リゾートホテル建設事業については、文化庁から国の名勝指定の変更許可がおり、整備計画を進める段階にあると認識しております。本事業に現行法上違法性等が認められないことは承知しておりますが、その実現によって現地における希少な動植物の生息・生育への悪影響が懸念されることから、当会としては事前の十分な調査を行ない、第三者を交えその結果を検証することを求めるものです。

我が国の歴史的文化遺産は、法令や条例等さまざまな取り組みとご尽力によって、守られてまいりました。特筆すべきことは、その取り組みとご尽力が文化遺産にとどまらず、それらをとりまく周囲の豊かな自然環境により支えられ、一体となっている点です。そのような経緯から、我が国の歴史的文化遺産は、結果的に周囲の自然環境の開発を遠ざけ、貴重な動植物の生育・生息を守ることにつながっている事例が多く存在します。
国際的にもその高い価値が認められている奈良公園は、国指定の名勝、文化財保護法、古都保存法、歴史的風土特別保存地区、奈良市風致地区条例第一種風致地区に指定され、開発行為は厳しく規制されてきたと認識しております。国内外より多くの観光客が来園し、地元の方々も誇りとしてきた素晴らしい歴史と景観は、そうした一連の施策の成果に他なりません。
しかしながら、高畑町裁判所跡地リゾートホテル建設事業では、建設予定地の詳細な動植物の生息・生育状況の把握なしに事業が進められており、奈良県や奈良市がこれまで文化と共に守ってきた自然を、消失させかねない危険を秘めております。さらに、建設事業地周辺の住民から建設事業反対の意見書が提出されているなど、地域としての合意が得られないままに建設計画が進められている点も、問題と考えます。
以上のような背景を踏まえ、WWFジャパンは当該事業において以下の要望を提出いたします。

  1. 奈良県は、建設予定地およびその周辺において、一部団体から公開された鳥類・植物・樹木に関する調査だけでなく、詳細かつ包括的な動植物調査を実施すること
  2. 奈良県は、上記の調査結果を広く公開し、今一度、生息・生育する動植物を含めて奈良公園のあり方を、強い関心を持つ地域住民をはじめとした複数の関係者と多様な視点で検討し、合意すること

以上をもって、WWFジャパンは、奈良県が歴史的文化遺産等および生物多様性に対する真摯な対応を取るよう強く求めます。
宜しくご検討のほどをお願い申し上げます。

本件に関する連絡先:並木崇 WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン) Tel:03-3769-1713

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