「外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」(案) に対する意見


2012年10月19日 意見書

環境省 自然環境局 野生生物課 外来生物対策室 宛

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン 事務局長 樋口隆昌
〒105-0014 東京都港区芝3-1-14 日本生命赤羽橋ビル6F
tel.03-3769-1711 fax.03-3769-1717

該当箇所:全体

意見内容

外来生物対策の大きな問題点は、普及・啓発である。今回の報告「外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」(案)<以下、今後講ずべき必要な措置>は専門用語も多く、国民からの意見聴取(パブリックコメント)を行う為には、用語の解説を作成するべきである。

理由

一般には分かりにくい専門用語が多く「今後講ずべき必要な措置」は改善が必要である。例えば「遺伝的形質」「不可逆的に深刻化」「同属等近縁の種」「低密度管理」等

該当箇所:1頁5行

意見内容

「はじめに」と「(検討の背景)」の間に外来生物対策の基本方針を明記すべきである。

理由

「今後講ずべき必要な措置」には、何の為に外来生物対策をしなければならないのか基本的な方針の記述がない。例えば、「生物多様性国家戦略 2012-2020」の第3の危機で記述されているような方針を前文として述べるべきである。今後「今後講ずべき必要な措置」が単独で配布された場合、そ もそも論が不明確になる可能性がある。

3頁、13行

意見内容

定着経路に関する記述は、「生物多様性国家戦略2012-2020」の記述と同様、具体的に記述すべきである。

理由

国家戦略の記述は「2020年までに、外来生物法の施行状況の検討結果を踏まえ、侵略的外来種を特定し、その定着経路に関する情報を整備するとともに、これらの侵略的外来種について、防除の優先度を整理し、それに基づいた防除を各主体の適切な役割分担の下、計画的に推進する。このことにより、優先度の高い種について制御または根絶し、希少種の生息状況や本来の生態系の回復を促進させる。また、侵略的外来種の導入または定着を防止するための定着経路の管理について、関係する主体に注意を促し、より効果的な水際対策等について検討し、対策を推進する。」としている。

該当箇所:3頁、18行

意見内容

外来種対策をめぐる主な動向の記述で生物多様性基本法の記述があるが、外来生物法の上位法として位置付けられたことを明記すべきである。

理由

処々の法律が並列で述べられているが生物多様性基本法は、外来生物法の上違法であり、特に第三条の基本原則は、順守すべき重要なことが明記されている。法制度の上下関係を明確にすべきである。

該当箇所:4頁、27行

意見内容

外来種対策をめぐる現状と課題に項目を加え、防除が進み個体群が減少してきた時の基本的な対策について記述を加えるべきである。

理由

マングースやタイワンザル、アカゲザルなど防除事業が進み、個体数が減少し根絶に近くなっているケースがある。しかし、行政的には費用対効果が上がらない状況から予算削減が強いられる。外来生物の根絶を目指すためには、むしろ根絶を完了する段階で相当の予算投入が不可欠であり、関係主体に周知させる為にも、記述を加えるべきである。

該当箇所:5頁13行、6頁26行

意見内容

要注意外来生物に関して、今後どのように取り扱ってゆくのか方針を明記すべきである。

理由

「要注意外来生物」については、法的拘束力はないが、種によっては生態系に深刻な影響を与えている。しかしながら、先般、閣議決定された「生物多様性国家戦略2012-2020」においても「要注意外来生物」に関する記述は一切ない。今後の必要な措置について、要注意外来生物に関して、今後どのように取り扱ってゆくのか方針を明記すべきである。

該当箇所:5頁、18行、11頁、27行

意見内容

特定外来生物との交雑個体・集団に関する法的な取扱いが整理されていない点は、重要であり、早急に法的措置の検討を行うべきである。

理由

ケースバイケースで鳥獣保護法や外来生物法、または、動愛法と外来生物法など使い分けをしながら対策を打っているケースがあり、曖昧なままでは遺伝子汚染の拡大を止められない。

該当箇所:8頁、20行

意見内容

国内由来の外来種に関して言及したのは評価できるが具体的な対策に関する記述が不足している。関係法令も含めて法的な規制措置を取るべきである。

理由

予防原則を元に考えれば、科学的知見が不十分であるため対策を怠るよりは、規制措置を行い、科学的知見が明らかになった時に規制緩和する方法を取るべきである。

該当箇所:10頁10行

意見内容

『「いのちを大切にする」道徳教育や環境教育が行われている中で、地域固有の生物多様性を保全するために、外来種対策が重要であることについて、理解の促進を図ることが必要となっている。』は、次のように修文すべきである。『「いのちを大切にする」道徳教育や環境教育が行われている中で、本来あるべき地域固有の生物多様性を将来に亘って保全する計画やビジョンを示すことによって、外来種対策が重要であるとの理解の促進を図ることが必要となっている。』

理由

生物多様性地域戦略など地域の長期的な保全計画を基本として、外来生物対策を考えると、自ずから当該地域から外来生物を排除せねばならず、その結果として根絶、防除が導き出される。

該当箇所:12頁、31行

意見内容

「多くの利用者に著しい不利益を与えている場合は、必要に応じて追加指定を検討する」具体的な事例を示すべきである。

理由

多くの利用者に著しい不利益を与えているケースがどのようなものなのか「今後講ずべき必要な措置」からは読み取れない。

該当箇所:15頁、1行

意見内容

全体的に具体性に欠ける。普及啓発に関する記述の中に、学校教育、社会教育を徹底して行うことを明記すべきである。また、あらゆる媒体(新聞、ラジオ、テレビ、ミニコミ誌、インターネット等)を通じて普及啓発を促進・徹底すべきである。

理由

外来生物の問題で最も遅れているのが普及啓発や教育であり、具体的に重点的に進めることが必要である。例えば「外来生物普及啓発推進員」のような制度を作り、全国に人員配置を行うべきである。

該当箇所:14頁、1行

意見内容

「イヌ、ネコ等の管理」は「ノイヌ、ノネコ等の管理」とすべきである。

理由

「イヌ、ノライヌ、ノイヌ」「ネコ、ノラネコ、ノネコ」を区別して考え、野生化したノイヌ、ノネコを重点的に排除・管理すべきである。

該当箇所:なし

意見内容

法面緑化に関する記述を加えるべきである。

理由

法面緑化に関する対策は、「生物多様性国家戦略2012-2020」では、具体的な対策が複数個所見受けられるが「今後講ずべき必要な措置」には記述がない。国家戦略と整合性を取るためにも記述を加えるべきである。

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