「特定秘密の保護に関する法律」についての見解


Statement 2013年12月20日

2013年12月13日、「特定秘密の保護に関する法律」(以下、特定秘密保護法)が公布されました。この法律については、多くの団体や市民が、国民の「知る権利」を侵害する恐れがあるとして、その問題と懸念を指摘しています。

「知る権利」の中には、積極的に政府情報等の公開を要求できる権利が含まれます。
そうした権利の行使を通じ、事実を知ることによって、はじめて国の政策に参加し、意思決定ができます。

国際的な環境保全にかかわる政策や、国内の自然保護に関する情報もまた、こうした「知る権利」の対象です。

しかし、特定秘密保護法により、こうした環境問題にかかわる情報が「特定秘密」に指定されるおそれがあります。また、指定されなくても情報公開には慎重になる可能性も高く、解決をめざすさまざまな活動を、阻害することになりかねません。

「特定秘密」は定義が明確になっていないため、何が「特定秘密」になるかはっきりしません。しかも違反すると厳しい罰則があるため、NGOが情報公開を求めても、行政担当者が慎重にならざるを得ず、情報公開に時間を要したり、必要なときに情報が発信できない可能性があります。

現在も行政が情報を十分に公開しない例は多くありますが、この傾向がさらに深まる可能性があることは、深刻な問題です。

また「特定秘密」に、米軍基地による自然環境への影響、原発による放射性物質汚染などの情報が指定されることも懸念されます。

これまでにも、生物多様性国家戦略の策定に際して、各省庁に対するヒアリングが行なわれた時、防衛省がその対象から毎回外される、という事例がありました。

また、沖縄島の北東部には、亜熱帯林「やんばる」など生物の多様性が高く、保全が必要な地域がありますが、その大半は米軍の演習地となっています。そうした地域の生物相の情報なども、より公開が困難になり、結果として琉球列島が世界遺産に指定される際にも、対象地域から除外されてしまう可能性もあります。

環境問題の解決には、他の多くの社会的問題と同様に、市民や個人が情報を共有し、積極的に参加することが求められます。国境を超えた各国の協働や連携も欠かせません。

「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則では、「国家は情報を広く公開し、国民の認識と参加を促進、奨励しなければならない」としています。

また同じくその第15原則では、「環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的取組を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない」とあります。

特定秘密保護法の適用は、そうした国民への情報開示や、予防的対応に必要な情報公開を阻害し、環境問題をさらに悪化させるおそれがあります。

環境破壊をくい止め、持続可能な社会を創ってゆくために、WWFジャパンとしても、環境問題に取り組む立場から、特定秘密保護法には重大な問題があり、抜本的な見直しをすべきであると考えます。

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