脱原発・エネルギーシフトに向けた市民版「エネルギー基本計画」案発表


日本のエネルギー社会像を左右する「エネルギー基本計画」の見直しを、政府は現在進めています。この計画のあり方について、WWFジャパンもメンバーとして参加するeシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)・市民委員会が、政府が改定を検討している「エネルギー基本計画」についての代替案を作成・発表しました。

見直される日本のエネルギー政策

東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、日本のエネルギー政策の見直しが政府で行なわれています。

これまで、エネルギー政策は人々の生活に大きな影響を与えるものでありながら、ごく一部の人々の間で決められてきました。

しかし、今回の未曾有の悲劇を受け、日本がエネルギーについてどのような選択をするべきなのか、多くの人々が真剣に考え始めています。

「このままではいけない」と、多くの人々が真摯に感じています。これから日本政府がエネルギー政策の今後について行なう決定は、人々のそのような気持ちを受け止め、反映させるものでなければなりません。

市民版の「エネルギー基本計画」

eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)・市民委員会は、エネルギー問題についてさまざまな形で関わってきた、市民団体・研究者・NGO等が集まったグループです。

これから、日本が国としてどのような決定をするべきなのか。市民の立場から検討し、その考えを1つの案としてここに取りまとめました。

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『脱原発・エネルギーシフトの基本計画 ~市民版の「エネルギー基本計画』

【内容】

  1. 現状認識(1)東日本大震災および原発事故が明らかにしたもの
  2. 現状認識(2)世界の潮流
  3. エネルギーシフト実現に向けた10の基本原則
  4. エネルギーシフト実現に向けた具体的な8つの柱

これは、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会がとりまとめようとしている「エネルギー基本計画」に対するオルタナティブ(代替案)として提示するものです。

市民の立場から、多くの市民が感じている、脱原発とエネルギー政策の「シフト」のあり方を、政府が採るべき具体的な案としてまとめました。

「エネルギー政策は知らぬ間に決められていた」のではなく、人々が、より明るいエネルギーの将来を選び取るための案として、この「脱原発・エネルギーシフトの基本計画」が役に立つことを切に願っています。

10の「原則」と8つの「柱」

この基本計画案は、まず、今後のエネルギー政策を考える際に鍵となる国内と世界に関する現状認識についての説明から入ります。そして、その2つを受けて、計画の礎となる10の「原則」、そして、計画の具体的な中身である8つの「柱」を順に提示していきます。

10の「原則」

  1. 安全・安心の確保
  2. 持続可能性の達成
  3. 真の自給の追求
  4. 気候変動の抑制
  5. 地域資源を活かした地域社会の活性化
  6. 世界のエネルギー貧困解決への貢献
  7. 経済成長の再考
  8. 核不拡散
  9. 国際平和
  10. 情報および政策決定へのアクセス

8つの「柱」

  1. 原子力発電所を全廃する
    ・ 原子力発電所の全廃方針を明確化
    ・ 電力会社の経営課題としての原発の見直し
    ・ 核燃料サイクルの廃止と共に、適切な使用済み核燃料の管理・処理
    ・ 事故による放射性汚染物質の処理のあり方の見直し
    ・ 原発輸出の禁止と原発に頼らない発展の促進
     
  2. エネルギー大量消費社会からの脱却
    ・  「足るを知る」省エネへ
    ・  総量目標の設定
    ・ 省エネ政策の一層の強化
     
  3. 自然エネルギーを飛躍させ、分散型エネルギー社会を構築する
    ・  自然エネルギーの普及目標を設定する
    ・  固定価格買取制度等のインセンティブを与える制度の充実
    ・  規制の整理および導入支援策
    ・  持続可能性基準の設定と体制作り
    ・  電力系統の拡充とその利用に当たってのルール策定
    ・  自然エネルギーの地域内で活用推進
    ・  地域主体のエネルギー社会構築
     
  4. 化石燃料依存からの脱却による気候変動の抑止
    ・  化石燃料依存からの脱却を前提とした政策
    ・  非在来型化石燃料には頼らない
     
  5. 産業としてのクリーンエネルギー技術を育成・輸出し、同時に雇用を創出する
    ・  産業としてのクリーンエネルギー産業分野の育成
    ・  研究開発支援
    ・  自然エネルギーおよび省エネルギー技術海外普及へ向けての体制整備
    ・  自然エネルギーや省エネルギー普及のための人材育成体制
     
  6. 社会の豊かさを重視したエネルギー・システムを目指す
    ・  経済成長とエネルギー消費の分離
    ・  社会問題の解決の文脈におけるエネルギーの役割の確認
     
  7. エネルギーの適材適所
    ・  熱の活用
    ・  輸送用燃料の転換
    ・  コジェネレーションの活用
    ・  エネルギー・キャリアの最適化
     
  8. 政策決定プロセスに市民がより参画できるようにする
    ・  政策決定プロセスの透明化
    ・  データ収集および公開(各種統計など)
     

『脱原発・エネルギーシフトの基本計画 ~市民版の「エネルギー基本計画』

関連資料

 

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