エネルギー基本計画に対する意見を出そう!


日本のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の議論が大詰めを迎えています。政府の委員会から原案が出されましたが、自然エネルギー・省エネルギー目標の不在、化石燃料依存の継続、原子力のベース電源としての維持など、極めて問題の多い内容です。一般からの意見募集が行われていますので、締切の1月6日までに、一言でもいいのでぜひ意見を出しましょう。

震災・原発事故から2年を経て出される原案

2011年3月11日の東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、日本のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しが開始されてから2年以上が経ちました。

その間、政権交代もあり、議論の場も変わりましたが、2014年1月に新しい「エネルギー基本計画」がまとまる見通しとなっています。

2013年に入ってからは、「エネルギー基本計画」に関する検討は、経済産業省の審議会(総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会)に場を移し、行なわれてきました。

そして、12月6日、「エネルギー基本計画に対する意見(案)」として、その原案となる文書が事務局より提示され、続く12月13日に委員会としての「意見」がまとめられたのです。

問題だらけの内容

しかし、このまとめられた原案は、さまざまな観点から、問題のある内容となりました。

エネルギー基本計画の見直しが、震災と原発事故から始まったものであることを考えれば、その新しい計画案は、原子力に頼らず、「自然エネルギー」を中心とする、持続可能なエネルギー社会に移行していくものであるのが当然です。

同時に「省エネルギー」の更なる促進も進め、地球温暖化をも抑えることを目的とするエネルギー基本計画であるべきです。

しかし、今回まとめられた原案には、自然エネルギーや省エネルギーの目標がありません。自然エネルギーについては、「最大限加速」という抽象的な表現はあるものの、自然エネルギーを中心に据えていく姿勢は打ち出されていません。

加えて、化石燃料からの脱却を目指す方針も示されていない上、原子力についても依存度を「可能な限り低減させる」としつつも、「基盤となる重要なベース電源」と位置付けています。

さらに、「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」と、まるで原子力発電所事故がなかったかのような、原発重視の姿勢が明らかにされています。

 






市民軽視の策定プロセス

さらに問題なのは、この原案がまとめられたプロセスです。

12月6日に提示されたこの原案は、その後、十分な議論もないまま、1週間後の12月13日に開かれた委員会の会合で、一方的にとりまとめがされてしまいました。

その間に、並行して一般市民からの意見を募る、パブリック・コメントが開始されましたが、その締め切りは、年末年始を挟んだ1月6日までとなっています。

原発の廃止を求める多くの声が、いまも全国で上がっているにもかかわらず、その中で一般市民からの意見を、そもそもきちんと集めるつもりのない姿勢が明確に表れています。

2014年1月早々には、この原案をふまえた閣僚級の議論が行なわれ、「エネルギー基本計画」が閣議決定される見通しですが、その計画と策定のプロセスは、民意を反映したものになっていません。


意見を出そう!

エネルギーに対する国民の意識が大きく変わることになった震災・原発事故。
事故後初めてであり、2年もの歳月を費やしてまとめるエネルギー基本計画が、このような内容かつ経緯でまとめられてしまっていいはずがありません。

ぜひ、1つでも多くの意見を、政府に対して提議しましょう。
1月6日までの「パブリック・コメント」は、そのための貴重な機会です。

提出にあたっては、特別な資格や所属は全く必要なく、個人で提出することが可能です。方法も、ウェブサイトからでも、ファックス・郵送でも可能です。

ただし、ウェブサイトからの意見提出の場合は、2000字の字数制限がありますのでご注意ください。郵送の場合は、「必着」ですので、ご注意ください。

具体的な提出方法については、下記のウェブサイトをご参照ください。政府の委員会からの原案(委員会としての「エネルギー基本計画に対する意見」)も下記からダウンロード閲覧可能です。

政府の意見募集のページ

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた御意見の募集について

  • 提出した意見内容は公表されることがありますが、個別の個人名が公表されることはありません。

★締め切りは 2014年1月6日 です


【参考情報】

新しいエネルギー基本計画原案に対するWWFジャパンのパブリック・コメント

下記にWWFジャパンが提出したパブリック・コメントのポイントを、例として記載しますので、ご参考にしてください。

各項目について、より詳しい内容をWWFジャパンは提出していますが、このような箇条書きのような内容でも大丈夫です。

新しいエネルギー基本計画を、問題視している人が多くいることをしっかりと示すためにも、ぜひパブリック・コメントを書いて送ってください。

1.再生可能エネルギー導入目標および省エネルギー目標

  • 再生可能エネルギーの導入数値目標を、電力および熱利用について掲げるべき
  • 省エネルギーに関する目標を、原単位および総消費量の双方で持つべき
  • 目標値は、2020年、2030年、2050年の最低3つの時間軸でもつべき

2.野心的な気候変動政策との整合性

  • 2020年までに少なくとも1990年比15%以上削減する気候変動目標と整合的なエネルギー基本計画にするべき
  • 野心的な2030年・2050年気候変動目標と整合的なエネルギー基本計画とするべき
  • 国内での取り組みを大前提とした上で、海外での排出量削減に対する協力の在り方を検討するべき

3.電力システム改革の着実な推進

  • 発送電分離を実現して、最終的には所有権分離へと移行する方針を出すべき
  • 広域運用体制の整備を加速するべき
  • 気象予測を使った出力予測システムを活用するべき
  • 日本の再生可能エネルギーのポテンシャルの最大活用を可能にする電力系統強化の工程表を作成するべき

4.原子力の段階的廃止

  • 原子力発電は、段階的かつ着実に廃止してくべき
  • 新設・増設は行わないようするべき
  • 核燃料サイクルは中止するべき

5.熱・燃料政策と水素

  • 再生可能エネルギーから作る水素の活用に重点を置くべき

6.実質的な市民参加の確保

  • 能動的に市民からの意見を収集するべき
  • 市民参加を組み込んだ政策設定スケジュールを設定するべき

参考リンク

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP