横浜市内で小学校向け教育プログラムが普及


WWFジャパンは横浜市内で、持続可能なライフスタイルにつながる、小学校向け教育プログラムの普及を進めています。これは、WWFジャパンと横浜市のあいだで2015年3月に締結された環境分野の連携協定に基づき、持続可能な都市作りを進める活動の一環となります。環境教育の出前授業を実施したり、教員向けESD講座を開催したりしています。この教育プログラムに沿って、2017年度は市内の小学校4校が香港の小学校との国際交流に参加しました。省エネやゴミの分別など、双方で熱心に行なわれている活動がある一方、香港の学校には地域の自然に接する機会が豊富にあることもわかりました。子どもたちが環境についての学習を深め、やがて持続可能な社会の担い手へと育っていくことが期待されます。

横浜の小学校と香港の小学校が交流

WWFジャパンは、横浜市と2015年3月に締結した環境分野の連携協定に基づき、持続可能な都市作りのための活動を横浜市内で展開しています。その柱のひとつが持続可能な都市を目指す教育プログラムになります。

この教育プログラムに基づき、2017年6月、横浜市内の小学校の先生方を対象に、「明日の授業に活かせるESD講座」を開催しました。
持続可能な社会を作るために、地球温暖化問題について学んでいただいたり、学校で子どもたちとともにできる実践的なアクティビティを習得していただいたりしました。

その講座の中で、持続可能な社会をめざす教育を、同様に展開している香港の小学校との国際交流を提案しました。
WWF香港は、充実した教育プログラムを持つ、WWFネットワーク内の事務所のひとつです。

2016年度は、試験的に横浜の小学校1校と香港の小学校1校の国際交流を橋渡ししましたが、2017年度は規模を拡大。ESD講座に参加いただいた学校の中から、横浜市内の小学校4校を香港に紹介しました。東京都内の学校からも趣旨を理解いただいた1校をお誘いしました。

秋になると、この5校から、香港の学校向けに、環境について学んだことをわかりやすくまとめたメッセージが、次々と届き始めました。

絵で環境問題を表現した学校。学校ビオトープの整備をして、その詳細な記録をまとめた学校。絵本を制作した学校。スカイプによる電話会議に挑戦した学校など、多様な交流内容となりました。
子どもたちと先生方のご希望をうかがいながら交流を実現していったのです。

香港の小学生の作品。地球環境のこと、野生生物のこと、温暖化のことなどがまとめられています。

香港の小学生がイルカの保護をめぐる物語を紙芝居にした。

香港の子どもたちと日本の子どもたち

香港の学校からも絵やグリーティングカード、学習のまとめなど、いろいろな形式で仕上げた作品が11月から届き始めました。

日本の子どもによる日本語作品は英語へ、香港の子どもによる英語作品は日本語へと翻訳する作業は、WWFジャパンが請負ました。
日本の作品はWWF香港経由で香港の学校へ、香港の作品はWWFジャパン経由で日本の学校へ届けました。

作品から、省エネやゴミの分別、リサイクルなどが、双方で熱心に行なわれていることが確認できました。こうした共通点を通して、親近感が湧きます。

一方、香港では地域の自然や生物多様性に接する機会が豊富にあることも理解できました。マイポという湿地を守る国際条約(ラムサール条約)に登録された湿地のこと、あるいはそこに飛来する渡り鳥のことを調べ、絵に描いてくれた子どもたちが何人もいました。

WWF香港はマイポにある観察施設の運営を香港政府から委託されています。何人もの職員が常駐しており、香港の小中学生による湿地や渡り鳥についての学習をサポートするため、分かりやすく伝える経験が豊かです。

香港の子どもたちは毎年、学校単位でたくさんマイポを見学に訪れます。湿地に置かれた木道を歩き、鳥を観察する学習は楽しくためになるため、その記憶は鮮明になるようです。
今回の交流で、鳥の絵を描き、湿地の成り立ちを作品にまとめてくれた香港の子どもたちがいたのはそういうわけです。

日本にも、横浜の水源林のことを調べた小学4年生がいます。また、ビオトープのそばに植えられた草木について、熱心に調べた6年生もいます。教わったことを丁寧に記録する力に感心させられました。

2017年秋、横浜市の小学校でWWFジャパンが出前授業を実施。

横浜市の小学6年生による学校ビオトープについての作品。班ごとに詳細なまとめが用意された。

スカイプによるテレビ電話会議

作品交換以外に、スカイプというインターネットによるテレビ電話会議に挑戦した学校もあります。

タブレットを用いて、インターネットで香港とつなぎ、言葉を交わすものです。時差が1時間であるため、日中の授業時間内にやりとりができます。

香港の子どもはあらかじめ用意していたプレゼンを披露。学校で取り組んでいる省エネ活動のことや、水耕栽培のことなどが話されました。日本の子どもたちは、プレゼンが一人終わるごとに香港に向けて拍手を送りました。

予定した時間が過ぎてしまい、日本の子どもたちは残念ながら、その場では準備したプレゼンをすべて相手に示すことはできませんでしたが、自分たちの言葉が相手に届いたことに大いに教室が湧きました。

横浜の子どもたちとスカイプで話す香港の子どもたち(香港の教室で撮影)。

国際交流から持続可能な社会の担い手へ

現代では、世界の情報は、いくらでも日本に入ってきますが、外国の子どもたちがどんなことに関心を持ち、何を考えながら毎日を過ごしているのか、皮膚感覚としてはなかなかわからないものです。

この国際交流の機会を利用して、子どもたちは互いのことを紹介し合い、理解が深まったようです。双方の共通点と、相違点などについて、多くの発見がありました。

海の向こうにいる子どもたちと考えを伝えあいながら、環境についての学習を深めていきます。環境を改善してもっと暮らしやすくしたり、安心して過ごせる未来を作りたい。そんな気持ちが双方から感じられました。
きっと将来の持続可能な社会の担い手が、ここから育っていってくれると信じています。

未来の社会の主役は子どもたち。こうした経験を踏まえて、子どもたちが成長していけるように、WWFジャパンとWWF香港では、2018年度も、環境学習の機会を提供していきます。

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