【インタビュー】EARTH HOUR 2014 映像制作 未来への、Smart Choice


  • 各界で活躍されている方々に「One Planet Lifestyle」について語っていただきます。

今回のインタビューは:高橋優さん(株式会社電通)と古屋遙さん(太陽企画株式会社)のお二人。28歳以下を対象に毎年開催されるヤングカンヌ(ACC カンヌライオンズ「ヤング クリエイティブ コンペティション」で、私たちが出会ったクリエイターです。ヤングカンヌのフィルム部門は、当日課題が発表され、わずか48時間で30秒CMをつくるという時間とアイデアが勝負の過酷なコンペティション。若いパワーだからできるユニークで新しいアイデアがたくさん集まる大会です。この2013年の大会のテーマが、WWFが毎年世界規模で展開する『アースアワー』。3月のある1日に全世界で同じ時刻に消灯するというイベント。国内選考会ファイナリストの1組として選ばれたのがお二人の作品でした。やわらかくあたたかな映像が印象に残り、再編集をお願いして完成版ができあがりました。では、すっかり息の投合したお二人に、話を伺ってみましょう。

 

まずお二人の出会いのきかっけは?

高橋:ヤングカンヌのフィルム部門に参加したいと思い、以前から知っているプロデューサーに古屋さんを紹介してもらいました。コンペの1週間前に、とある"鯛茶漬け屋"で。すぐに気があって...(笑)。

ヤングカンヌの48時間という戦いはどうでしたか?

古屋:楽しかったですがなかなかハードではありました!二人とも、学生の時から物を作ることはしていたので、そののりかと思っていたのですが。一方で広告業界に勤めているので中途半端なものは作れないというプレッシャーもありました。

テーマをどのように調理しようと思いましたか?

高橋:直感で楽しくできそうだなと思いました。ただ電気を消すというアクションは簡単なようで意外とハードルが高のでは?と思い、その電気を消すことの価値が変わって見えるといいなと思ってうまれたのが今回の映像です。電気を消すことでうまれるハッピーを、部屋の中でつくる影絵で表現してみました。電気を消すことは不便じゃなくて、誰かの幸せにつながる時間なんだということを考えるきっかけになったらいいな~と思いました。

古屋:1時間という時間の中で、アースアワーに参加する人が電気を消した後に何をしているのだろうと具体的に考えてみました。ロウソクの光があれば影ができるじゃないかと。そこから発想をふくらませていったかんじです。

やわらかい、あたたかな雰囲気の映像、そのメイキングにどんな苦労があったのですか?

古屋:影絵のコンテを描かせていただいいたのですが、実際に撮影するスタッフに説明した時に「この影絵はCGで作るんですか?」と聞かれて、「いえ、これから48時間ですべて手づくりでやります」といったら、とてもびっくりされて。これ終わるかなという声がありました。

高橋:検証する時間もなくぶっつけ本番でした。ペンギンの影をつくりたかったのに、鳥になってしまったりとか。時間とのせめぎ合いでした。日用品を使って、部屋の中でできることを表現したくて。本棚がろうそくの光によって氷山に見えるとか...。日常の世界が電気を消すことで世界とつながるということを表現したかったのです。そのため、日用品を使うというルールが暗黙のうちにできて、そのルールが二人の首を絞めていったんです。(笑)

古屋:コップの後ろにビルの影が出る場面があるのですが、その影の濃淡をだすのに、カルピスを水で薄めて調整していたんですが、途中でなくなってしまって...。あわてて牛乳を水で薄めて撮影したりしましたね。その間、スタッフがストローで呑み続けているんです。陰に隠れた苦労があったんですよ。(笑)

古屋:納品の3時間前になって、砂漠に木を生やすというのをどうしてもつくらなくてはいけなくて。日用品を使うことをルールとしていたので、最初は人の手で簡単につくれるものというのを表現したかったんですが、何をどうしても木に見えなくて。明け方でお店も開いてなくて、シュシュなんかを手に巻き付けてなんとか間に合ったということもありました。

今回再編集をしていただいたのですが、どの辺りにこだわりましたか?

高橋:コンペティションの時は、時間に制約があったのでディテールがつめきれなかったところがあって、その辺りを中心に再編集しました。

古屋:ディテールに手を加えることで、きちんと伝えることができるように仕上げられたとことは大きいと思います。部屋が地球とつながっているということをぼやっと伝えるに留まっていたのですが、今回の修正で意思をもって伝えたいと手を加えました。ちゃんと伝えられているといいな~。

次にお仕事について伺います。どのような仕事をされているのですか?

高橋:アートディレクションを軸に、企業や自治体のプロモーションや、企業と社会問題を結びつけて課題解決につながるようなソーシャルプロジェクトに取り組んでいます。グラフィックやムービー、全体の企画やウェブやプロダクトとかとか。

古屋:映像制作会社で、ディレクターとプランナーをしています。映像、空間、プログラミングといった要素を掛け合わせて、企業や団体と一緒に、どう新しい文化や慣習を作っていけるかに日々挑戦しています。

職場に女性は多いのですか?

高橋&古屋:女性は少ないですね。

高橋:前よりも最近はだんだん増えてきているようですが。それでも男性社会だと感じます。

古屋:現場に行くと、ほとんどがムキムキの男性で、重い機材を運んでいたりして、私も気づくと梯子を抱えたりしていて。(笑)

高橋:ガテン系ですよね。

古屋:仕事と私生活の境目がなくて。仕事のことは常に考えてますね。全部がネタとして活きてしまう...。例えば、満員電車で電車の窓が全部映像だったら、空を飛んでいる映像ができるのに、なんて考えたり。

高橋:満員電車で座りたいなと思って、降りる人が瞬間でわかるアプリとかできたらいいなとか。(笑)

古屋:それだったら、そこに人が殺到して、結局すわれないんじゃない?

高橋&古屋:(笑)

世の中をおどろかせるとか、変えるとか、そんな可能性がありますよね?

古屋:親しみを感じさせることができるのではないかと、最近考えてます。ハイテクな世界って男性が多くて、かっこいいんですけど、もっと日常に浸透させられるようにしていきたいなと思うんです。最近思うのは、映像って電気だなあということ。私はいつもそこに悩んでいて。社会問題を解決することにかかわりたくて、映像をつくっているのに、どうしても電気を消費しないとつくれないのが悩み。電気を使わない映像機器がつくれないかなと思ってるんです。たとえば、昔カメラは箱に小さな穴をあけて太陽の光を借りて撮っていたんですね。ムービーも手回しで映していたんですね。昔にもどっていくのだけど、「進んでいく」的なことができないかな。自然現象と共存した表現とか。例えば蜃気楼なんかそうですよね。そんなことを最近考えています。いろいろな技術が世の中にあって、その技術をみんなが共有して、また新しいことが考えられる、オープンソース的な仕組みが広がっていけばいいですよね。

高橋:物作りをしている上で目指したいのは大学時代から変わってなくて、世の中の滞りをやわらげたいなというのがひとつあります。大学の頃に影響うけたアーティストが、単にポップとかかっこいいだけじゃなくて、社会的に伏せたい現象をあえてアートとして見せていき世の中に訴えかけていくことをしていて。風刺的な発想も影響を受けているなと思います。ここ数年はデザインxプログラミングというのに興味があり今学び中です。技術を知っているとアイデアがもっとぶっとばせるなとか解決できることが増えるんじゃないかとか、企画を考えながらいつもそこにストレスを感じたりして。

男性社会の中で、後に続く女性の後輩たちへのメッセージをお願いします

古屋:専門的な知識は入社してから習得してきました。一番会社にはいって良かったと思うのは、会社に入る前にあった興味が今も続いていることです。世の中の何に興味があるということは後々自分を助けてくれるのではないかと思います。

高橋:筋肉をつけよう!自分も!(笑) でも体力とクリエーティブ力は比例しているので、体力ないといいものつくれないなと日々感じています...。元々は1枚絵のグラフィックでどう伝えるところからはじまったのですが、1枚絵だけでは伝えるのに限界があるのではないかとある海外コンペに行ったときに痛感してから、映像だったりプログラミングだったり伝える術を広げていきたいなと思います。

古屋:今は良い意味で垣根を越えて、壁がなくなっていくのではないかな。地球環境という問題は特定の企業の悩み事だけというのではなく、業種とか競合他社とかという壁を越えている。広告という世界にいる中で、企業と企業を結ぶとか、人と人を繋ぐ仕事ができるのではないかな、と感じています。何に興味をもっているというのが、そういうところで役にたっているのかもしれません。

高橋:ワンプラフェスもいろいろな企業があつまった良い例ですよね。

古屋:個々の興味がバラバラに動くのではなくまとまることでパワーになりますよね。そういう意味では、ワンプラフェスはオープンなプラットフォームになれると思うんです。例えばワンプラフェスx NPOとかワンプラフェスx企業とか学校とか。TEDみたいな感じですね。アメーバ式にフェスが広がっていくといいですね。

高橋:一部のソーシャルマインドが高い人の集まりになってはもったいないと思います。全然関係ないと思っている人をどう巻き込んでいくのかというところも挑戦したいですね。

後輩たちへのメッセージに留まらず、WWFが2013年12月に実施したイベント「One Planet Festival(ワンプラフェス)x TOKYO」にも話がひろがりました。One Planet Lifestyle~地球にちょうどいい生きかた~で心がけていること、感じていることはありますか?

高橋:一人がどれだけ頑張っても世の中を変えることは中々難しいと思うので、そういう力が少しずつ集まって変えられるといいなと思います。ちょっとしたことが大切ですよね、生産地を選ぶとか電気を消すとか。日常の些細なことだけどネックに感じてしまうことが、自然と楽しくできるような仕掛けをつくれたらいいですね。

古屋:家庭の事情で海外生活が長かったので、一つの国の視点ではなくて、いろいろな国の人と話すことの大切さが身に付いているのかもしれませんが。地球がひとつしかなくて、日本だけが頑張っていてもよくなるわけではなく、でも国ごとの悩みもシビアにあって。歴史的、宗教的背景も違うけれど、日常の何の変哲もない会話の中から大事にしていくことは大切だと思います。地球人的感覚をみんなが持てればいいですよね。自分が住んでいるところがすべて地球なんだという感覚が、どうしたらもてるんだろう。日常忙しい中で、海外の友だちと話すと、「あ、つながってるんだ」って思うんですよね。

映像を見る人へメッセージをお願いします

古屋:私たちはものをつくることが仕事なのですが。電気を消すことで世界とつながるということが、映像がなくても想像できるような、想像すること自体がもっと身近になるといいなと思います。

高橋:電気を消すというアクションの時に、その時間がどこかのだれかが幸せになる時間につながっているなと少しでも想像するきっかけになったらいいなと思います。せわしく過ごしていると無駄に消費していたりする自分への戒めでもありますが、なにげなく過ごす日常の中で、ちょっとだけ誰かが幸せになることを想像してみる。そんなきっかけにこの映像がなればいいなと。


インタビュー中、笑いの絶えないお二人。ひとりでは難しくてもみんなが集まれば、また、ちょっとしたことから感じること、心がけることの大切さを知っているのは、クリエーションの世界で日々感じ、悩み、仕事をしているからこその実感でしょう。意気投合したお二人が、次にどんな仕掛けをうみだしてくれるか、とても楽しみです。

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