温暖化対策に逆行する石炭火発増設


温暖化・エネルギー担当の山岸です。
新政権になってから、温暖化対策全体に関する政策は、「ゼロベースでの見直し」以外は具体的には見えてきていません。

その一方で、ここ数カ月、やや懸念のある動きがあります。

東京電力が、2020年ごろに必要となる電力供給に関しての「入札募集」を行なう意志を昨年11月に表明したのですが、これに問題があるのです。

それは、応募要領には書いていないものの、上限価格から判断するに、この入札募集が明らかに「石炭火力発電」を想定していることです。

日本は、1990年以降、国内の石炭使用量を劇的に増やしてきました。石炭は、化石燃料の中で最もCO2排出量が多いエネルギー源で、日本のCO2排出量が増えてきたことの大きな要因となっています。

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震災後、原発を代替した天然ガスによるコスト増がやり玉にあがったことで、安い石炭への転換を狙っているものと考えられます。

しかし今、世界的に温暖化対策の強化が必要とされている中、石炭への依存をこれ以上増やすことは、避けなければいけません。

そもそも、入札募集の前提となっている東京電力の計画では、電力需要の増加が想定されていますが、この見通し自体が過大で、2020年までにやるべき省エネ・節電努力は想定されていません。

他にも、いくつかこの「石炭想定」入札には疑念があります。温暖化対策全体の議論が停滞している陰で、こうした形で、温暖化対策が実質的に後退してしまう危機が発生しています。

予定通りであれば、この入札は2月から行なわれます。
日本の中で、温暖化対策がどんどん軽視されていくこの傾向に歯止めをかけなければなりません。そこで、この問題についての情報や懸念事項をまとめたブリーフィング・ペーパーを作成しました。ご覧頂ければ幸いです。

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自然保護室 気候変動・エネルギーグループ所属
山岸 尚之

国連交渉や国内の気候・エネルギー政策でのアドボカシー(提言)活動を担当。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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