夕空に舞う、2万羽のツバメ


春に日本へ渡ってきて、家の軒下や駅舎などに巣を作り、ヒナを育てるツバメ。

子育て中は、完全な「核家族」ですが、それ以外の時期は、群れで暮らしていることをご存じでしょうか。

8月初旬、そんなツバメの生態を観察する機会がありました。

場所は多摩川の中流部。周囲にはマンションやオフィスビルなどもある「街なか」の河川敷です。そこに、アシという水辺の植物が茂る一角があり、ここがツバメたちのねぐらになるのです。

(C) Y.Takahashi

午後6時半ごろ。どこからともなく、ツバメの飛来が始まりました。

アシの上を飛び回ったり、夕空へ舞い上がったり。みるみるうちにその数が増えていきます。

やがて日が沈み、乱舞がおさまったころ、薄暗いアシ原に、双眼鏡をとおして目をこらすと、アシの先端部にまさに「鈴なり」にツバメたちがひしめいていました。

垂直に伸びる茎に対して、横に葉が伸びるアシの形が、ツバメにとってはちょうど、とまりやすいのだそうです。

また、草丈が高いのでネコなどには届かず、ヘビが登ろうとすると草全体が揺れるので、すぐに異変に気づくことができるなど、安全なねぐらでもあるようです。

特に、巣立ったばかりの若いツバメたちにとって、アシ原は貴重なシェルターになっています。

この観察会を主催したNPO法人バードリサーチの方によると、この日は、2万羽ほどのツバメが集まったのではないかということでした。

このアシ原のある自治体でも、市民を対象にした観察会をやっているそうです。 なんでもない草むらが、実は野生動物にとって大切な生息地になっていることを知る人を増やす、とても貴重な機会だと思います。

旧暦の8月は「燕去月」とも呼ばれます。南へ向かって旅立つまで、ツバメたちにとって、おだやかな東京の夜が続きますように(広報室・佐久間)。

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C&M室
佐久間 浩子

WWFではずっと「伝える」ことに携わってきました。今は会報を担当しています。

なにごとも決めつけてはいけない。知ったつもりになるな。複雑なものを、複雑なまま受け止める覚悟を持て。想像力を磨き、ヒトの尺度を超える努力をせよーー動物や植物に教えられたことを胸に、人と自然の問題に向き合い続けたいと思います。

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