WWF 「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクト 第2弾 『輸送用機器』業種


記者発表資料 2015年2月24日(火)

第2弾 『輸送用機器』業種のランキング発表

【東京発】WWFジャパンは、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトにおける報告の第2弾として、本日、『輸送用機器』の業種に属する日本企業28社の調査結果を発表した。日産自動車が第1位(100点満点中87.5点)となり、以下 本田技研工業(同70.4点)、豊田合成(同65.0点)、トヨタ自動車(同63.9点)が続いた。2014年に環境CSR報告書類の発行がなかったダイハツ工業、タカタ、日産車体の3社は評価の対象から除外し、残りの25社について評価を行った

順位企業【総合得点】
(100点満点)
【目標・実績】
(50点満点)
【情報開示】
(50点満点)
第1位日産自動車 87.5 37.5 50.0
第2位本田技研工業 70.4 27.3 43.1
第3位豊田合成 65.0 28.9 36.1
第4位トヨタ自動車 63.9 26.0 37.8

重要7指標

  • 長期的なビジョン
  • 削減量の単位
  • 省エネルギー目標
  • 再生可能エネルギー目標
  • 総量削減目標の難易度
  • LC全体での排出量把握・開示
  • 第3者による評価

本結果は、環境CSR報告書などで公開されている情報のみに基づき、各企業の取り組みレベルを同一の指標(全21指標)を用いて評価したものである。評価指標は、温暖化対策の①目標および実績に対する評価(計11指標)と②情報開示に対する評価(計10指標)の2つの側面から成り、いずれにおいても、温暖化対策の実効性を重視している点が大きな特徴である。21の指標の中で、実効性の観点から特に重要な7つの指標は上記の通りである(上記カコミ参照)。第1位の日産自動車は、重要7指標の内、長期的ビジョン、再生可能エネルギー目標、ライフサイクル全体での排出量の開示など計5つの指標で満点を獲得し、2位以下の企業に差をつける結果となった。

省エネと共に温暖化対策の鍵をにぎる再生可能エネルギーの普及拡大において、企業は極めて重要なステークホルダーであるが、評価を行った25社の内、日産自動車と豊田合成の2社が、定量的な再エネの導入目標を掲げた上で、着実に取り組みを進めていることが判った。

自動車業界は、自社の事業範囲(Scope 1,2)に比べ、その上流および下流(Scope 3)における排出量が大きいことが特徴である。したがって、自社での排出削減の取り組みが一定レベルに達したら、次のステップとして、GHGプロトコルの基準にしたがい、上流及び下流からの排出量を把握し、ライフサイクルを通じた削減活動へとつなげていくことが重要である。25社の中で、豊田合成や日産自動車、本田技研工業、マツダなど計7社が、Scope 1,2にくわえScope 3(15カテゴリー)の排出量を開示しており、この業界の先進性が伺えた。

国連気候変動会議においては、気温の上昇幅を「2度未満」に抑えることを目指すことが世界の共通認識となっており、IPCCによると、そのためには2050年までに世界で約40~70%の排出削減(2010年比)が必要であることが示されている。企業の温暖化対策においても、こうした長期的な視点を考慮に入れた上でそれと整合するような対策を講じていくことが重要である。

25社の中で、日産自動車と本田技研工業は、2050年に向けた長期的な数値目標を掲げ、それらとリンクした戦略的な取り組みを進めていることが判った。ともに自動車メーカーであり、製品使用時に巨大な排出を伴うが、両社に共通しているのは、各々の長期的な目標に向けて、短期では製品のエネルギー効率の更なる向上、中長期では電気自動車や燃料電池自動車といった次世代自動車の普及、更にはそれらのエネルギー源として再生可能エネルギーを利用する、といった筋道を明確に描いているところである。反対にトヨタ自動車は、こうした点で取り組みの遅れが見られ、今後、より長期的な展望に立った環境十全性のある取り組みが求められる。

WWFとCDP、WRI、国連グローバル・コンパクトが共同で立ち上げたイニシアチブ「Mind the Science, Mind the Gap」では、「2度未満」に向けた筋道への早期の移行を促すことを目的に、企業が「2度未満」と整合する自社の削減目標を立てるためのガイダンスやツールの策定を行っている。「Science Based Targets」と呼ばれる、文字通り科学に基づいた削減目標である。既に「Sectoral Decarbonization Approach」という目標設定のための具体的なガイダンスを発行している。これは、IPCCなどが示す科学的知見に基づき、「2度」と整合する炭素予算を考慮した上で、2050年までに許容される各業種の排出量をベースに個別企業の削減目標を算出する方法論である。今後、このような科学に基づく長期的な視点に立った目標設定が企業にも求められてくる。

日本は、2030年に向けた削減目標の議論が大幅に遅れており、政府レベルでは温暖化対策の取り組みが停滞しているが、今回の評価の結果、積極的に行動している企業が多数存在することが明らかになった。WWFは、国の政策が滞っているときにこそ、中長期的な視点を持ち、着実に対策を進めている企業が、温暖化対策を牽引していくことを期待している。

添付資料

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