再生可能エネルギーを重視すべき!外務省・有識者会合が提言


2018年2月19日、WWFジャパンも参加する外務省・気候変動(地球温暖化)に関する有識者会合が「エネルギーに関する提言」を発表、河野外務大臣に提出しました。同提言文書は、日本が気候変動問題解決により積極的に貢献するために、再生可能エネルギーを内政・外交の両面で重視する姿勢をとっていくことを提言しています。この提言内容は、WWFジャパンの主張にも近く、今後の政府の議論の中で活かされていくことが期待されます。

やや異例な提言

2018年2月19日、WWFジャパンの担当者も参加する外務省・気候変動に関する有識者会合が「エネルギーに関する提言」を発表しました。

これは、2018年1月からほぼ毎週開催されてきた同会合の第8回目に、中間とりまとめとして、河野外務大臣に提出されたものです。

この中で有識者会合は、日本政府が、気候変動(地球温暖化)問題の解決により積極的に貢献するために、「再生可能エネルギーを内政・外交の両面で重視する姿勢をとっていくこと」を提言しました。

風力や太陽光などを主とする再生可能エネルギーを重視したこの提言内容は、原子力や石炭火力発電所を重視する、現状の日本政府の姿勢とは大きく異なる内容です。

あくまで、外務省の下に設置された『有識者会合の』提言であるため、すぐにこの提言内容が『政府の』姿勢になっていくわけではありません。

しかし、こうした政府の有識者会合において、政府の既存の立場と大きく異なる提言が出ること自体がやや異例です。

WWFジャパンが重視する提言内容

「石炭・原子力重視」から「再生可能エネルギー重視」へのシフト

2015年のパリ協定採択以降、国際社会では「脱炭素化」に向けた取り組みが加速しています。

その背景には、気候変動の影響が深刻化することへの危機感に加えて、解決策に取り組むことがビジネス機会にもなっているという事実があります。

その代表例が、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの分野。

近年、急速な勢いで世界各国において普及し、市場も拡大し、価格も低下してきています。

しかも、その流れは今後も加速してくことが予測されています(図)。

(出所)有識者会合提言の「資料集」で引用された国際再生可能エネルギー機関の資料。

しかし、再生可能エネルギー分野における日本の取り組みは大きな遅れをとっています。

2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降、太陽光を中心に普及は進んではいますが、普及のペースも、それに伴う価格低下の恩恵も、国際的にリードをとる国々と比較すると遅れています。

他方で日本政府は、化石燃料の中で最も排出量の多い石炭や、持続可能性に大きな疑問符の付く原子力を重視する従来のエネルギー政策から脱却できていません。

こうした国内での遅れは、外交面にも影を落としており、「技術を輸出する」といったときに、「石炭火発」技術の輸出が重視され、それが、国際的な「脱炭素化」の潮流に逆行するということで、国際的な批判を招いています。

こうした認識を踏まえ、今回の有識者会合の提言では、むしろ再生可能エネルギーを内政および外交の中心に据え、推進する姿勢を、積極的に打ち出していくことを提言しました。

また、世界では、途上国を中心にいまだに12億人もの人々が電気を使うことができない「エネルギー貧困問題」が存在していますが、その解決策としても、再生可能エネルギーやエネルギー効率改善を推してくことを提言しています。

さらに、石炭については、「国内の石炭火力の段階的廃止のロードマップを示す」ことや「石炭火力輸出への公的支援は速やかな停止をめざす」ことなどを提言。

原子力についても、「原発依存度を可能な限り低減する」という(震災直後の)「原点」から出発することを提言しています。

政府議論の中に反映されていくのか?

今回の提言はあくまで有識者会合の提言であるため、すぐに政府の姿勢となるわけではありません。

しかし、河野外務大臣は、この提言を受け、2018年2月23日の予算委員会での答弁でも、「政府内部の議論でしっかり活用していきたい」という主旨の答弁をしています。

現在、政府では、いくつかの重要事項に関する議論が進んでいます。

1つは、2030年を目標年とした「エネルギー基本計画」の見直しです。

これは、主に経済産業省の審議会で議論がされており、ここでの議論が今後どのようになっていくのかが、一つの注目点です。

2つ目は、2050年を見据えた気候変動に関する「長期戦略」の議論です。

これについては、経済産業省および環境省の下の審議会で議論がされており、日本政府は「2020年という期限に十分先立って」長期戦略を国連に提出予定です。この中で、今回のような提言が反映されるかどうかが大きな課題です。

今回の提言は中間とりまとめ的な位置づけであり、2018年4月には、エネルギーだけでなく、気候変動全般に関する提言も発表される予定です。

今回提言を行なった有識者会合には、外務省の要請を受けたWWFジャパンのスタッフも、2018年1月の初回より委員として参加。

その議論に参加しながら、温暖化の防止につながる指針や提言の策定に尽力してきました。今後も引き続き検討に参加し、日本の政策の改善につながるよう貢献していきます。

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