深刻化する海の危機『Living Planet Report<海洋編>』発表


2015年9月16日、WWFは『生きている地球レポート<海洋編>(Living Blue Planet Report)』を発表しました。これは、失われつつある海の自然環境の豊かさの現状と、人間による消費活動が海の環境にかけている負荷の大きさを、数値で示したものです。今回の発表では、魚類など海洋生物の生息数が40年間で半減し、その豊かさが大きく失われている現状が明らかになりました。

半減した海の「豊かさ」

地球の青、それは、地表の四分の三を覆う、海の青といっても過言ではありません。

それは最初の生命を生み出した母体であり、今も数多くの生きものが息づく、恵みの自然でもあります。

しかし、その海の環境が今、深刻な危機にさらされています。

2015年9月16日に発表した『生きている地球レポート<海洋編>(Living Blue Planet Report)』の中で、WWFは海に生きる哺乳類、鳥類、爬虫類、そして魚類の生息数がここ40年間でおよそ半減している現状を指摘しました。

これは、WWFが2年毎に発表している『生きている地球レポート(Living Planet Repot)』の中の、特に海洋に注目したレポートで、海の自然の危機と共に、その大きな原因となっている人間による消費、環境への圧力の増加についてまとめたものです。

海の自然と恵みはどうなる?

その内容によれば、下記のような危機が指摘されています。

マグロやサバ、カツオなどが過去40年間で74%減少

  • これらマグロをはじめとするサバ科魚類など、商業的に重要な水産資源の激減が、乱獲や生態系の破壊、そして気候変動などの影響により引き起こされている。

サンゴ礁や海草藻場に生息する魚類が過去40年間で34~70%減少

  • 世界中の浅海域に広がる生物多様性の豊かなこれらの自然が、開発などの影響により、急減。これらの自然に生きる魚類の減少も引き起こしている。

また今回のレポートにおける報告の他にも、現状のまま地球温暖化が進行した場合、海水温の上昇をはじめとする複合的な要因により、2050年には、海洋生物の25%以上が生息し85億人の暮らしを支える、地球上のサンゴ礁が全滅する可能性なども指摘されています。

これらの危機はいずれも、現在のものではない、地球の未来に影を落とす深刻な問題です。

海洋生物の推定個体数を基に試算した「生きている地球指数」。海の自然の豊かさがどれくらい失われたかを示す。

未来のため、国際社会は協力を!

このレポートの発表にあたり、WWFインターナショナルの事務局長、マルコ・ランベルティーニは、次のように述べています。

「世界の海の危機的な状態を知ってもらうため、私たちは今回、この報告書を緊急に発表しました。私たち人類は短期間で、魚の繁殖ペースを上まわる速さでの漁獲を続け、稚魚の成長に必要な海の自然を破壊し続けています。次世代に海の恵みを引き継いでゆくためには、今ここで、破壊と乱獲の悪循環を変える大きな変化が必要です」。

また、WWFと共に2年に一度、『生きている地球レポート』を発表している、ロンドン動物学協会のケン・ノリスもこう述べています。

「私たちの生活に、海の自然は欠かせません。それは、きれいな空気、食料、その他さまざまなサービスを提供してくれています。また、それ以上に、私たちは海やそこに棲む生きものたちに魅了されています。自分が生きているわずかな期間に、これほどに多くの海洋生物が失われ、それが孫の世代まで負の遺産として残ってしまうのは、大変恐ろしいことです」。

この報告書はまた、2015年9月下旬の国連総会で採択される2030年までの「持続可能な開発目標」の中で、生息環境の破壊や海洋生物の乱獲を食い止めるための措置を講じることが重要であると指摘。

さらに、12月にパリで開催される国連の気候変動会議(COP21)で、温暖化防止のため、国際社会が意欲的な合意を交わすことができなかった場合、未来の海洋の健全さは、大きな打撃を受けるおそれがあると、改めて強調しています。

地球の各地で海洋環境の保全に取り組んできたWWFは、これからも世界の指導者たちに対し、その自然と、数十億の人々の幸福と生活を守るための協力と、海洋環境の回復に向けた取り組みの推進を働きかけてゆきます。

報告書のダウンロードはこちら

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