マダガスカルの自然保護に向けた新たな一歩


多くの固有の生きものたちが息づく生物多様性の宝庫、マダガスカル島。2014年5月、WWFとマダガスカル国立公園(MNP)は、この島の環境を保全するため、3年間にわたる新たなパートナーシップを結ぶことを発表しました。この取り組みが、保全の対象とすることをめざすエリアは、合計すると、マダガスカルの国土全体の約29%におよび、そこには、キツネザル類や固有の鳥類などの主要な生息域も多く含まれています。

失われる「太古の島」の自然

今から6500万年前に他の諸大陸と分離したといわれる、マダガスカル島。

その長い歴史は、島に固有の自然をはぐくみ、陸上はもちろん、河川や湖沼といった淡水環境にも、独特な景観を造りあげてきました。

島の北部を占める山岳地帯、東部に広がる熱帯雨林、そして西部から南部にかけて続く乾燥地帯に見られる、とげ植物の珍しい森。

さらには、沿岸のマングローブや大小の水系、サンゴ礁など、そこに見られる生物多様性もまた、世界的にも群を抜いた多様さを誇ります。

現在までに知られているマダガスカルの野生動植物の種数はおよそ25万種。その8割が、30種あまりのキツネザル類に代表される固有種(マダガスカルでしか見られない生物)とされています。

しかし、今から約2000年前、この島に人類がやってくると、その自然は大きく変わり始めました。

最も大きな脅威となったのは、農地の拡大や伐採などを目的とした森林の火入れと開発。さらに、それにともなう水系での土砂の堆積や洪水の頻発、水温上昇なども生じ、景観の基盤が各地で急激に失われてゆきました。

さらに近年は、人口の増加が燃料用の木材の採取を増加させているほか、過剰な漁獲や狩猟、外来魚種の導入なども、環境の大きな脅威となっています。現在までに絶滅が確認された生物種も少なくありません。

マダガスカルの景観

固有種のキツネザル

島では長年森林破壊が続いている

保全に向けた新たな一歩

このマダガスカルは、WWFにとっても最も古い活動フィールドの一つです。

マダガスカル政府を支援して、国内に保護区を作る取り組みを支援し始めたのは、WWFが設立されてから間もない1965年。以来、自然環境と野生生物の保全活動に取り組んできました。

そして2014年5月、その取り組みは、もう一つ新たな段階を迎えました。

生物多様性の保全と、野生生物の保護を実現するためのプログラムを共同開発し、またそのための活動資金を確保するために、WWFはマダガスカルの国立公園(MNP)と3カ年のパートナーシップを結ぶ契約を交わしたのです。

この新しいパートナーシップが、保全の対象とすることをめざすエリアは、マダガスカルの陸域や海域を含めた、計17万平方キロ以上。島全体の約29%に相当します。

これは、WWFがマダガスカルで優先的に保全を目指している5つのエリアを中心としており、特に絶滅のおそれの高いキツネザル類の85%、同じく島固有の鳥類の99%の生息域をカバーするものです。

WWFマダガスカルと国立公園による協力は、すでに2005年から、島の南西部にある2つの国立公園で始まっており、ここでは、自然環境を大きく損なわないよう配慮した農業を促進するための取り組みを展開。

航空機を使った監視プログラムを実行し、国立公園とその周辺での焼畑農業の発生率を大きく減少させることに成功しました。

今回のパートナーシップについても、保全対象となるのはあくまで、マダガスカル全体の一部に過ぎません。

しかし、こうした協力をより深めることができれば、現地での生物多様性の保全と、地域社会に利益をもたらす持続可能な開発は、より大きな効果を引き出すことが可能になるでしょう。

世界的にもその希少性が知られるマダガスカルの自然が、この取り組みによって今後、さらに広く保全されることが期待されています。

保全の中心となる5つのエリア。貴重な野生生物の生息域を含む(クリックすると拡大します)

キンイロヒキガエル

ホウシャガメ。いずれもマダガスカル固有種

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