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「暖かな危機」キャンペーン報告会を開催

この記事のポイント
地球温暖化を防ぐためのWWFの活動に対して、広くご支援をお願いした「暖かな危機」キャンペーン。その報告会を、2018年6月17日、WWFジャパンの事務局にて実施しました。温室効果ガスの排出削減をめざして、WWFがどのようにして国や企業の行動を変えようとしているのか、何に配慮しながら自然エネルギーの普及を進めているのか… 報告会では、そうした活動のようすを、舞台裏まで含めてご紹介。予定時間をオーバーして参加者との対話が続く、活発な会となりました。

改めて見つめる、温暖化の脅威

報告会は、ティーブレイクを挟んでの二部構成で行ないました。第一部は、現在予測されている、あるいはすでに現れ始めている地球温暖化の脅威について、最新の情報を交えてお話ししました。

WWFイギリスが2018年3月に発表した新しいレポート『Wildlife in a Warming World』。これは、WWFとイースト・アングリア大学、ジェームズ・クック大学による、地球温暖化が世界の自然環境に与える影響に関する研究をまとめたものです。

このレポートによると、特に深刻な影響を受ける地域は、南米のアマゾン、アフリカ南部の森林地帯、オーストラリアの南西部。もし地球の平均気温が4.5℃上昇した場合、アマゾンでは、植物、鳥類、哺乳類、爬虫類、両生類のすべての分類群で、60~70%を越える種の絶滅が起きるおそれがあることなどが指摘されています。

「暖かな危機」キャンペーン メインイメージ

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また、人間への影響としては、世界銀行のレポートを紹介。早急な温暖化対策をとらなかった場合は、2050年までに、サハラ砂漠以南のアフリカ、南アジア、ラテンアメリカの3地域だけで、約1億4,300万人が難民になるおそれがあると警告しています。

日本の自然環境や、暮らしにも大きな影響が予測されています。環境省は、もしこのまま温暖化対策をとらなければ、北海道や本州の高山帯を除いて、ブナ林が消失するおそれがあることを指摘しており、気象庁からは、一日の降水量が200ミリを超える大雨の年間発生回数が2倍以上になるとの予測が示されています。

©WWFジャパン

報告会は、新しいオフィスにある「セミナールーム」で開催しました(WWFジャパンは2018年5月にオフィスを移転)

視覚と味覚で感じる、温暖化の影響

報告会は、ここでいったん「お茶の時間」に。抹茶のようかんと透明感のある寒天部分が二層になった和菓子を味わいながら、やはり温暖化の話題に。

寒天の製造には、「氷点下に冷え込む夜」と、「10度程まで気温があがる昼」が交互に来ることが重要だといいます。

原料となる海藻の天草(てんぐさ)やオゴノリを煮溶かして固めたものを、夜間の冷気にさらして凍らせ、昼間の太陽で溶かす、という過程を繰り返すと、徐々に水分が抜けて、寒天ができあがります。

©WWFジャパン

下がようかん、上が寒天の二層になった和菓子。温暖化が進むと、天然寒天の製造にも影響が出てくると懸念されています

温暖化によって、氷点下に下がる日が減ると、寒天の製造に適した時期が短くなってしまいます。また、日中の気温が上がりすぎて、寒天の脱水が早く進んでしまうと、透明感が失われたりして、質の良い天然寒天にならないそうです。

天然寒天の生産を行なっている長野県などでは、温暖化による寒天産業への影響が懸念されていて、調査や、対策の検討なども始まっているようです。

国・企業・自治体に変化を促すWWFの活動とは?

第二部は、皆様からお寄せいただいたご支援をもとに、WWFが実施している温暖化防止活動について、ご報告させていただきました。

近年、WWFが特に活動の対象としているのが、国、企業、自治体です。

日本は世界第5位の温室効果ガス排出国ですが、国としての、温室効果ガスを削減していく意欲はかなり低いといわざるをえません。そのため、企業などに削減を義務付けたり、削減の実施を支援したりする政策も不十分です。それが、企業の削減の伸び悩みにもつながっており、再生可能な自然エネルギーの普及もあまり進んでいない状況です。

WWFでは、日本において、次のような変化を起こすことをめざしています。

・国が、温室効果ガス削減に対して高い目標を掲げ、その実現に向けた政策を強化する
・企業が、より積極的な温室効果ガスの削減目標を持ち、それに向けて行動する
・自治体が、地域の人々と共に、再生可能な自然エネルギーの普及を推進する

この目標を実現するために、WWFでは、意見交換ができる場を作ったり、逆にプレッシャーをかけたり、相手を説得できる情報を揃えたりと、さまざまな角度からの働きかけを続けています。最終的には、相手が納得して動いてくれるようにするために、気候変動・エネルギーグループのスタッフが、日々講じている「あの手この手」の工夫を、ちょっとしたオフレコ話も交えてご説明しました。

会場からの声

日曜日にもかかわらず、20名を超える方々がご参加くださり、「お茶の時間」をはさんで約2時間、日本でもっと温暖化防止の取り組みを進めるにはどうしたらよいのかを、皆で考える時間を共有することができました。

特に、自然エネルギーへの導入には期待する一方で、太陽光パネルや、風力発電の風車などの建設のために、日本の山野が開発されることを心配する声も会場からあがりました。

©WWFジャパン

WWFは、自然エネルギーの導入適地を、環境や文化、生活などに配慮しながら、地域が主体になって選定していく「ゾーニング」という取り組みを進めています。今後、日本の各地で、実際に多くの人が直面する課題であることが、改めて認識された場面でした。

報告会が終了した後も、WWFスタッフと参加者の方々が、あちこちで立ち話を続ける姿が見られました。温暖化防止や、自然エネルギーのことはもちろん、日ごろから気になっていた活動へのご質問などもいただき、直接、お話ができる良い機会となりました。

「暖かな危機」キャンペーンには、のべ3,998名の方より、合計で3,256万4,100円のご支援をいただいています。遠方であったり、ご都合が合わず、報告会にご参加いただけなかった方々も含め、ご協力くださった皆さまに、この場を借りて、改めて厚く御礼申し上げます。

日時 2018年6月17日(日) 14:00~15:30
場所 WWFジャパンセミナールーム(東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル本棟 地下1階)
参加者数 21名
主催 WWFジャパン
©WWFジャパン

プログラム終了後も、いろいろな話題で盛り上がりました

©WWFジャパン

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