2000キロを飛ぶチョウを追って


皆さんは「アサギマダラ」というチョウをご存知でしょうか?

名前の通り、羽の色はごく薄い藍色の浅葱色(あさぎいろ)をしており、胸にはマダラ模様がある、非常に美しいチョウです。

先日、福島県・裏磐梯で行なわれたアサギマダラの観察会に、個人的に参加させていただきました。

このアサギマダラは少し前まで、5月頃に成虫が平地に現れ、夏は山地へ集まり、秋になると再び平地へ移動。幼虫で越冬する、と考えられていました。

夏の裏磐梯。アサギマダラの住む高原は、Tシャツでは肌寒いくらいでした。

ところが、沖縄本島で観察をした人があることに気付きます。

「春と秋、突然ものすごい数のアサギマダラが現われ、数日で全く見られなくなる。これは集団で移動する途中に立ち寄っただけではないだろうか?」

そこで、全国の有志がアサギマダラの移動経路の調査を始めました。

羽にマークをつけて放し、次にそのアサギマダラが見つかった地点を結ぶ、というもので、今回、私が参加させてもらった観察会もその一環です。

アサギマダラのオスは、高原に見られるヨツバヒヨドリの花の蜜を好みます。

こうした調査から、今ではこのチョウが本州の高山帯から九州、沖縄、果ては台湾まで、個体によっては2,000キロ以上もの長旅をしていることが分かりました。

さらに冬の間、南の島で羽化した新しい個体が、春になると北上し、見たこともないはずの本州の高原に姿を見せることも明らかにされています。

世代をこえて、どのようにこの「旅」の行動を伝えているのか?

海を越えて飛ぶ、美しくも多くの謎を秘めたアサギマダラへの興味は尽きません。

近年は北限であった東北地方を越え、北海道の函館あたりでも姿が見られるほか、移動の時期が早まっているなど、温暖化の影響を心配する声も聞かれます。

私たち人間が、アサギマダラの旅を邪魔しないようにしたいものです。(企画調整室 谷野)

ヨツバヒヨドリ。アサギマダラのオスは、この蜜に含まれる毒性のアルカロイドを利用してフェロモンを作ります。

【動画】ストローのような口吻(こうふん)をせわしなく動かし、吸蜜している様子が観察できました。


関連情報

企画管理室 ITグループ長
谷野 要

ライフワークは、ITと自然保護を繋げる方法をあれこれ考えることです。

社会人になってからはIT畑一筋。WWFでは、技術書よりも動物図鑑をこよなく愛するIT担当者です。生き物好きの世界に入り込んだのは約40年前。昆虫写真家の海野和男さんの写真に興味をひかれたことがきっかけです。以来、昆虫好きにはじまって、魚・両生・爬虫・鳥・哺乳類と、いろいろな野生動物を観察してきました。趣味は、2000kmを旅するアサギマダラの飛来調査とムササビの観察会。

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