【チャンピオン決定】第6回ジャパン・サステナブルシーフード・ アワードが大阪・関西万博にて授賞式を開催 資源循環によりウニ資源回復とブルーカーボン創出を実現した北海道積丹町のプロジェクト、現場起点で水産改革を進める水産未来サミットがチャンピオンに
2025/09/30
WWFジャパンが実行委員を務める第6回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード(JSSA2025)の授賞式が、本日大阪・関西万博「BLUE OCEAN DOME(ZERI JAPAN)」ドームCにて開催され、7組のファイナリストの中から2組のチャンピオンと1組の特別賞が発表されました。本授賞式は、同会場で9月29日から10月5日まで開催されている「選んで守るサカナの未来 Week」のプログラムの一つとして実施されました。

画期的な取り組みで業界のパイオニア的存在となったプロジェクトを表彰する「リーダーシップ部門」では、「循環型藻場造成『積丹方式』によるウニ増殖サイクルとブルーカーボン創出プロジェクト」がチャンピオンに。複数組織が協働しノウハウを共有することで実現した意欲的なプロジェクトを表彰する「コラボレーション部門」では、「現場起点で日本の海の未来を考える水産未来サミット」がチャンピオンとなりました。
また、アジアにおける先駆的モデルとして成長を遂げた「インドネシア・エビ養殖業改善プロジェクト(AIP) 第三期」も、特別賞を受賞しました。
審査員の1人である宮原 正典(農林水産省顧問 よろず水産相談室afc.masa代表)氏は、「今回は過去最多レベルの応募があり、藻場再生や水産改革、国際的な養殖改善など、多彩でいずれも高水準の取り組みが集まりました。未来へ持続的な水産業を牽引する、とりわけ具体的な成果を着実に結びつけているプロジェクトが選出されています。これらの挑戦が次世代への道を切り拓いていくことを期待します。」とコメントしました。
各チャンピオン・特別賞受賞プロジェクト
※各プロジェクトの詳細は、JSSA2025特設ページからご確認ください。
リーダーシップ部門チャンピオン
循環型藻場造成「積丹方式」によるウニ増殖サイクルとブルーカーボン創出プロジェクト
(北海道積丹町におけるブルーカーボン創出プロジェクト協議会)

受賞理由:
磯焼けによって失われた藻場を再生し、ウニ資源を循環的に活用する「積丹方式」が機能し、大きな成果を上げていることが高く評価されました。廃殻肥料化による藻場造成や収益向上、CO₂削減を同時に実現した点がポイントであり、ウニを資源に持つ他地域にも応用可能な地域モデルとして、さらなる展開が望まれます。
プロジェクト概要:
積丹町では磯焼けで減少したコンブを再生するため、2009年に漁業者が中心となり「海の森づくり」を開始し、ホソメコンブ藻場の再生に成功。2019年には廃棄ウニ殻を肥料化する「積丹方式」を開発し、2023年に1.5ヘクタールのコンブ場を再生、ウニ剥き身重量で444kg・約3,550万円の増収を実現。さらにJブルークレジットで6.4トンのCO₂削減が認証され、廃棄物削減と資源回復、経済効果を同時に達成する世界初の循環型モデルとして注目されています。
コラボレーション部門チャンピオン
現場起点で日本の海の未来を考える『水産未来サミット』(水産未来サミット実行委員会)

受賞理由:
全国の漁業者や行政、研究者など多様な立場の関係者が集い、本音の議論から実際のプロジェクトや政策提言につなげている点が高く評価されました。従来にない全国規模の共創の場を自立的に築き、現場から水産改革を動かす仕組みは先進的で、他の地域や分野への波及も期待されます。今後は成果の可視化や長期的な方向性の提示が重要な鍵となり、持続的な成長に注目が集まります。
プロジェクト概要:
生産者、行政、企業、NGOらが集う合宿形式の共創型サミットです。議論にとどまらず具体的なアクションにつなげる点が特徴で、2024年の第1回(気仙沼)では約120名が参加し15の協働プロジェクトが誕生、2025年の第2回(垂水市)では約200名が集い20件以上の取り組みが始動しました。女性漁師や経営者、社会課題解決の専門企業など、多様な参加者による協働から生まれた提言は、国の政策にも反映され資源管理や調査予算の拡充につながっています。2026年3月には能登で第3回の開催が予定されています。
特別賞
インドネシア・エビ養殖業改善プロジェクト(AIP) 第三期(日本生活協同組合連合会)

受賞理由:
インドネシアでのASC認証取得やマングローブ再生活動など、国際協働による持続可能な養殖モデルを構築してきた点が評価されました。ブラックタイガー養殖という困難な分野で改善を積み重ね、生態系保全と地域の暮らしを両立させてきたことは、アジア地域における先駆的な成果です。長年の取り組みをさらに発展させ、他魚種や国内への知見還元につなげていくことが期待されます。
プロジェクト概要:
日本生活協同組合連合会は、WWFや現地企業と協力し、持続可能なブラックタイガーエビ養殖に取り組んでいます。2017年に開始し第三期が進行中で、2024年に中部ジャワ州でASC認証を取得し、同年10月からラベル付き商品の販売を開始。現在11.1ha・4名の養殖者が認証を得ており、2026年までに100ha・30名以上を目標としています。生残率は当初の7〜13%から24〜27%に改善。さらに25.4haのマングローブ再生や親エビ漁業の管理計画策定も進み、生態系保全と地域の暮らしの向上を両立しています。
蛍光灯ガラスをアップサイクルしたトロフィー

チャンピオンおよび特別賞を受賞した3組には、蛍光灯のガラス部分を100%リサイクルして制作されたトロフィー(株式会社サワヤ・スタジオリライト制作)が贈られました。使用済み蛍光灯から水銀を安全に除去・回収した上で残ったガラスをアップサイクルしたもので、意匠性と持続可能性を兼ね備えた特別なトロフィーです。
「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」概要
【応募スケジュール】
応募期間:2025年5月19日(月)〜7月21日(月)
選考期間:2025年7月22日(火)~8月下旬
ファイナリスト発表:2025年9月8日(月)
チャンピオン発表・授賞式:2025年9月30日(火)
会場:2025大阪・関西万博「BLUE OCEAN DOME(ZERI JAPAN)」
【公式サイト】
https://sustainableseafoodnow.com/2025/award/
【受賞特典】
・ファイナリストに選出された方々は、授賞式(2025大阪・関西万博)へ招待
・授賞式にてチャンピオン、特別賞にはトロフィー、ファイナリストへは賞状授与
・チャンピオンは、「Seafood Legacy Times」などのWEBメディアにて紹介予定
・チャンピオンには、公式チャンピオンロゴの使用が許可されます
【審査員(敬称略)】
足立 直樹(株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)
宮原 正典(農林水産省顧問 よろず水産相談室afc.masa代表)
山本 麻里子(サラヤ株式会社 社長付 大阪・関西万博ブルーオーシャン・ドーム 名誉館長付)
【主催】ジャパン・サステナブルシーフード・アワード実行委員会
【ジャパン・サステナブルシーフード・アワード実行委員会】
ASC(水産養殖管理協議会)ジャパン https://jp.asc-aqua.org/
一般社団法人 MSC(海洋管理協議会)ジャパン https://www.msc.org/jp
一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局 https://sailorsforthesea.jp/
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)https://www.wwf.or.jp/
株式会社シーフードレガシー https://www.seafoodlegacy.com