第5回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード チャンピオン決定!


北三陸のウニ再生養殖や、愛知県の水産高校による未利用魚の活用が受賞
日本の水産業のサステナビリティに貢献した取り組みを表彰

サステナブル・シーフード(持続可能な水産物)の普及や日本の水産業のサステナビリティに貢献したプロジェクトを表彰する第5回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」(主催:ジャパン・サステナブルシーフード・アワード実行委員会)のチャンピオンが、2023年10月17日(火)、東京サステナブルシーフード・サミット2023(主催:株式会社シーフードレガシー、日経ESG)会期中の授賞式にて発表されました。

業界のパイオニア的な存在となったプロジェクトを対象とするリーダーシップ部門、複数の企業、組織、もしくは個人が協働して大きなインパクトを生むプロジェクトを対象とするコラボレーション部門、学生を含む30歳未満の個人・組織を主体とするプロジェクトを対象とするU-30部門からそれぞれ3つのファイナリストが9月に選出されており、その中から最もインパクトの大きいプロジェクトがチャンピオンとして発表されました。

リーダーシップ部門

「北三陸から、世界の海を豊かにする」プラットフォームの構築
(株)北三陸ファクトリー、(一社)moova

地球温暖化などにより増えすぎたウニの食害によって藻場が減る磯焼けは、ウニの餌を減らすことにもなります。そこで、痩せたウニを廃棄せず、身入りを良く美味しくする「ウニ再生養殖」とウニ殻でつくられた堆肥ブロックを用いた藻場再生に取り組んでいます。さらに、取り組み強化のために水産業界以外の人たちも巻き込んだプラットフォームを設立しました。

受賞理由:
磯焼けの具体的な解決策を事業化させていること、国際的にも展開していることが大きく評価されました。ウニ殻から藻場再生に取り組んでいる点も評価されました。藻場造成の効果や管理体制、ウニ以外の生態系内の生物への効果が示されることが期待されます。

コラボレーション部門

(該当者なし)
ファイナリストに選出された取り組み「地元横浜の昆布を使って「かずのこ昆布」をつくろう」「生命(いのち)の海プロジェクト」は複数の組織と協働してはいるものの、取り組みの対象となっている資源のサステナビリティをどのように追求しているかが応募用紙からは判断が難しかったため、今回は該当者なしとなりました。今後も取り組みを続け、実績が生まれることを事務局、審査員ともに期待、応援しています。

U-30部門

未利用資源活用による担い手育成の研究
愛知県立三谷水産高等学校、ヤマサちくわ(株)、愛知県淡水養殖組合

同校は10年ほど前から未利用資源の6次産業化に着目し、近年はSDGsを取り入れた学習活動を行っています。昨年と今年は、殻むきが困難で廃棄されてしまう「ジンケンエビ」を用いたさつまあげをヤマサちくわと、地産地消を目的に、アマゴと無斑点ニジマスを掛け合わせた3倍体種(絹姫サーモン)の商品を愛知県淡水養殖組合と共同開発しました。

受賞理由:
本来混獲魚種である未利用魚の資源管理については注意が必要なものの、その有効活用や、地域の巻き込み、人材育成として大きな意義があると評価されました。SDGsの学習を行うにあたり、水産資源の現状や漁業・養殖業の課題についても知見を膨らませることで、さらなる活動の視野が広がることが期待されます。

特別賞

「あなたの専属漁師」完全受注漁による持続可能な漁業
邦美丸


プロジェクト概要:
岡山県玉野市で、“あなたの専属漁師” をコンセプトにした国内初の「完全受注漁」を始めました。ECサイトやSNSを活用して消費者から事前に注文を受けた魚だけを獲り、注文以上に獲れた場合はリリースします。これにより、水産資源の乱獲や価格の不安定性などの課題解決が見込まれます。

受賞理由
小規模ながら着眼点がユニークで、過剰漁獲を抑えつつ、経済、労働面でも成果が出ている点が評価されました。他の事業者への規模拡大性、資源が低下している魚種への対応も含め、漁業の可能性を大きく変える興味深い取り組みとして今後に期待がもたれます。

審査員 (*順不同、敬称略)
足立 直樹(株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)、國田 英紀(株式会社ニチレイフレッシュ 水産第一グループ チームリーダー)、鈴木 彩子(株式会社セブン&アイ・ホールディングス ESG推進本部サステナビリティ推進部 オフィサー)、鈴木 康子(バードライフ・インターナショナル 主席海洋スペシャリスト)、乗藤 紘吏(フィッシュ・アンド・プラネット株式会社代表取締役、銀座大新 7代目)、吉高 まり(東京大学教養学部 客員教授(環境ビジネス)、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 講師(非常勤)、一般社団法人バーチュデザイン 代表理事)

各プロジェクトの詳細は公式サイトをご覧ください。

ジャパン・サステナブルシーフード・アワード実行委員会プロフィール

■ASC(水産養殖管理協議会)ジャパン https://jp.asc-aqua.org/
環境や地域社会と人に配慮した、責任ある養殖により⽣産された⽔産物を対象とする認証制度を運営する 国際非営利団体。2023年9月現在、世界99カ国で27,000品目以上の ASC ロゴの付いた、環境と社会に 配慮して養殖された⽔産品を販売。世界1969養殖場、国内では45養殖場がASC認証を取得しています。またCoC認証件数は、世界で2969件、国内では192件が認証されています。

 

 

■一般社団法人 MSC(海洋管理協議会)ジャパン
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を置き世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は、2021年度には世界62カ国で20,000品目以上、日本では500品目以上が販売されました。国内ではイオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、マクドナルドなどで購入できます。詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp

 

 

■一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局  https://sailorsforthesea.jp/
米国ロックフェラー家当主であるディビッド・ロックフェラーJr.が設立した海洋環境保護NGOの日本支局として2011年に発足、その後日本の一般社団法人として独立運営の形をとり、世界最大の海洋環境NGOでワシントンD.C.に本部を置くOceana、モナコのアルベール2世大公財団とアフィリエイト契約を結んでいます。活動は、「ブルーシーフードガイド」の発行を中心に水産資源の持続可能な消費の啓発、クリーンレガッタプログラムの運営による海洋スポーツの環境保全基準値設定とプラスチックゴミの削減、KELPプログラムによる子供達の海洋教育の3つのプログラムを基軸に広範に及びます。

 

 

■株式会社シーフードレガシー https://www.seafoodlegacy.com
シーフードレガシーは、社会・経済・環境におけるサステナビリティを念頭に、海と人をつなぐ象徴としての水産物(シーフード)を豊かな状態で未来世代に継ぐ(レガシー)ことを目指すソーシャル・ベンチャーです。世界を網羅する幅広いネットワークや専門知識を活かし、国内外の水産企業、NGO、政府等と協働して日本の水産業に適した解決策を描きます。詳細はWebサイトをご覧ください。

 

 

■公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来を目指して、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。

 

 

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人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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