「水産流通適正化法の対象魚種7種を、全魚種対象へ」 ーー漁業関係者、シェフ、ダイバーからのメッセージ動画とイラスト解説を公開


公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWFジャパン)は、水産資源の枯渇や海洋生態系の悪化を助長する「違法・無報告・無規制(Illegal, Unreported, Unregulated) 漁業(以下 IUU漁業)」をわかりやすく解説するイラストとともに、海に携わる8名の危機感や想いを集めたメッセージ動画を新たに公開しました。世界の漁獲量の約3割がIUU漁業由来とされ、また日本が輸入する天然水産物の約3割がIUU漁業由来と推定されるなど、私たちの食卓ともつながりの深い深刻な問題です。*1 
WWFジャパンは現在、2022年12月に施行された水産流通適正化法の対象魚種7種を全魚種対象にするよう呼び掛けていますが、その署名数がまもなく1万人を突破。さらなる賛同署名を呼びかけます。

海や魚に関わる方々からの「メッセージ動画」

署名キャンペーンに賛同し、声を寄せていただいた方々は、以下8名(五十音順)。武知実波さん(プロサーファー)、津田祐樹さん(フィッシャーマンジャパン販売責任者)、露木志奈さん(環境活動家)、生江史伸さん(レフェルヴェソンス シェフ)、パティマ・タンプチャヤクルさん(LPN:労働権利推進ネットワーク 代表)、堀潤さん(ジャーナリスト)、武藤由紀さん(フリーダイバー)、四角大輔さん(執筆家)。「まずは意識を近づけることから」「海は私にとって家族のような存在」「問題の原因の一部になっているということは必ず解決の一部にもなれる」など、海や魚に関わる様々なジャンルの多様な熱い想いがつまったメッセージ動画となっています。

人気イラストレーター・による「IUU漁業のイラスト解説」

さらに、人気イラストレーターのぬまがさワタリさんのご協力により、IUU漁業問題をわかりやすく図解。日本の対IUU法となる、水産流通適正化法の課題点、私たちにできることは、など、イラストを用いて丁寧に解説し、さらなる署名を呼び掛けています。

「メッセージ動画」ならびに「IUU漁業のイラスト解説」ページ

URL:https://www.wwf.or.jp/activities/project/5205.html
是非、上記の「メッセージ動画」と「イラスト解説」をご覧いただき、IUU漁業問題への対策推進のための署名を呼び掛けてくださると幸いです。水産流通適正化法をさらに強化し、対象魚種7種から全魚種に拡大することで、IUU漁業由来の水産物を日本の市場に流通させない実効的な仕組みの確立を求めてまいりたいと思います 。

署名サイト

「12/1施行の新法は不十分!奴隷労働や違法漁業由来の魚は食べたくない――。日本の市場からIUU漁業をなくすために、あなたの力を貸してください!」
URL:https://www.change.org/IUUfishing
宛先:水産庁、農林水産大臣

水産流通適正化法の強化に向けて

近年、世界的にIUU漁業への規制強化の動きが進みつつあります。日本でも、対IUU法ともいえる「水産流通適正化法(正式名称:特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律)」が2022年12月1日に施行されました。しかし、対象種がわずか国内水産物3種、輸入規制対象4種しかありません。最大の水産物輸入市場(金額ベース)であるEUではすでに全魚種が対象となり、続く米国でも全魚種に向けて進んでおり、日本がIUU水産物流通の抜け穴となってしまう可能性があります。WWFジャパンは、2年後の2024年12月に水産流通適正化法の見直しがされるタイミングで、全魚種対象への拡大を目指しています。

*1 出典:Agnew, D.J., Pearce, J., Pramod, G., et al. (2009) Estimating the Worldwide Extent of Illegal Fishing. PLoS ONE 4, e4570. および G. Pramod, T. J. Pitcherb & G. Mantha (2017) Estimates of illegal and unreported seafood imports to Japan. Marine Policy 84.

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