【WWFジャパン声明】国際プラスチック条約策定は今後の見通しを示すことなく再度先送りに。野心的条約に向けて新たな機会も追及すべき。
2025/08/18
2025年8月5日から8月15日にかけて、スイス・ジュネーブで、プラスチック汚染を根絶するための国際条約文書制定に向けた政府間交渉委員会第5回会合再開セッション (INC-5.2) が開催されたが、今回も合意には至らなかった。
WWFジャパンの声明ポイントは以下の通り:
- 元々条約文書合意を目指していた2024年末から8か月を経過した今回の再開セッションでも、条約策定のための明確な計画が示されることもないまま、再度将来の再開会合へと議論を持ち越すこととなった。
- 今回のINC-5.2においても、多くの国がプラスチック汚染を終わらせるためにライフサイクル全体に対処する法的拘束力のある効果的な条約へ強い意志を改めて示したものの、一部の野心の低い国との意見の隔たりは埋まらなかった。
- WWFは、全会一致(コンセンサス)での合意を前提にINCプロセスを継続することで野心的な条約に到達できないのであれば、既に多数派を占める野心的な国々を中心に、INC以外の機会も視野に入れた形で、早期に効果的な条約を制定することを呼びかける。
自然環境を破壊し、人の健康への影響が懸念されるグローバルなプラスチック汚染を根絶するために、第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)の決議5/14(2022年3月)では、政府間交渉委員会(INC)に、プラスチックのライフサイクル全体に対処する、義務的措置を含めた、国際的に法的拘束力のある条約の策定を求めている。
今回のINC-5.2でも、メキシコやスイスをはじめとした85カ国が、問題のあるプラスチック製品や懸念のある化学物質をリスト化し段階的に禁止を義務付けることを求めるなど、汚染を根絶するのに効果的な条約を求める多数派の国々の強い意志が改めて示された。しかし、ライフライクル全体ではなく廃棄物管理に特化し、各国が管理措置を自主的に決められる野心の低い条約を求める一部の国との深い隔たりは埋まらなかった。
そして、条約策定に向けた明確な計画も示されないまま、将来の再開セッションへと議論が持ち越されることとなった。
INCにおいては、「全会一致の合意」を事実上の絶対原則としているが、このことは強硬に反対する少数の国に拒否権を与えているのに等しく、汚染の根絶に向けて効果的な条約を求める多数派を占める国々の声は、条約策定に十分に反映されてこなかった。今後もINCプロセスを継続することが効果的でないのであれば、野心的な国々を中心に異なるプロセスを追求する必要がある。
ついては、WWFは、既に多数派を占める野心的な国々を中心に、INC以外の機会も視野に入れた形で、早期に効果的な条約を制定することを呼びかける。