WWFは、日本政府が石炭火力発電所を大幅に廃止する方針を歓迎する


ただし、新規増設や原子力によってその廃止分を埋めてはならない

7月3日に発表された梶山経済産業大臣の「再エネの主力電源化に向けて、2030年までに非効率な石炭火力発電のフェードアウトを確実にする」方針を歓迎する。

パリ協定のもと国際的に加速する「脱炭素」、「脱石炭」の流れに逆らい、化石燃料の中でも最も二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電を、先進国の中でほぼ唯一推進してきた日本は、これまで激しい国際批判にさらされてきた。ESG投資の潮流が世界的に強まり、石炭事業に注力する日本企業から投資を引き上げる動きも広がる中、ようやく日本政府も石炭廃止の方向へ舵を切ったことを、WWFジャパンは大いに歓迎する。

これまで国内の発電量に占める石炭火力の割合は、2018年度で32%にのぼっており、事実上、日本の主力の電源となっていた。さらに国内ではいまだ900万kWに達するような新増設計画を抱え、国外へは公的資金で石炭火力発電の輸出を推進するなど、「脱石炭」の国際的な流れに長らく逆行してきた。

石炭火力発電をめぐっては、ヨーロッパの国などを中心に、段階的な廃止を掲げる「脱石炭」の動きが加速している。国際的にはカナダとイギリスの主導によって2017年に「脱石炭連盟」が設立され、ドイツやフランスなど主要国が参加する大きなイニシアティブとなっている。イギリスでは、2010年に28%だった石炭火力発電の割合を、2024年までにゼロにする方針を掲げており、フランスに至っては2022年までに石炭火力発電を廃止する宣言をしている。さらに国内で産出する褐炭のために、脱石炭を躊躇していたドイツも2020年1月に、政府の諮問委員会が遅くとも2038年までに廃止することに合意した。
この中で遅きに失した日本ではあるが、ようやく脱石炭の方向へ舵を切ったことは、日本がかけ続けた世界の温暖化対策のブレーキをはずしたという点で大きな意義がある。

一方で、効率の良い石炭火力発電所は引き続き新設も認めることにしており、完全な廃止ではない。高効率とはいっても、二酸化炭素を大量に排出する発電方式であることに変わりはない。パリ協定の実現のためには、非効率、高効率問わず、石炭火力は全廃しなければならないことは科学的にも明らかである。また石炭火力発電の輸出計画も、現在計画されている案件も含めて速やかに全廃するべきである。さらにその代替電源として原発の推進を図ろうとする意図も見える。温暖化対策のためという口実で原発を推進してきた過去の失敗を繰り返してはならない。

今後始まるはずの政府の「エネルギー基本計画」見直しの議論では、非効率、高効率を問わず石炭の全廃計画を反映し、さらに原発も含めた長期的なエネルギー政策の議論に入るべきである。前回2018年に改定された「第5次エネルギー基本計画」では、国民不在のまま、中身が決められてしまったが、国民生活に大きな影響を及ぼすエネルギー選択、ひいては将来社会の選択であるため、十分な国民的議論のプロセスを経た見直しとするべきである。

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