四国に飛来するツル類の保護対策について(2017年)


共同依頼書 2017年10月2日

徳島県知事飯泉嘉門様 香川県知事浜田恵造様 愛媛県知事中村時広様 高知県知事尾﨑正直様

国土交通省四国地方整備局長殿 農林水産省中国四国農政局長殿

公益財団法人日本野鳥の会
公益財団法人日本自然保護協会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン
公益財団法人日本鳥類保護連盟
日本ツル・コウノトリネットワーク
四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク

平素からツル類など野鳥の保護につきましては、ご理解とご配慮をいただき深謝しております。 一昨年度に四国各地で合計約300羽のナベヅルが渡来し、100羽以上が長期滞在(越冬)しました。昨年度は27年度ほど多くの個体は渡来しませんでしたが、最終的な越冬数は約50羽で、例年と比べると飛躍的に越冬数が増加しています。ツルは学習能力が高く、同じ越冬地を選ぶ傾向があることから、一昨年度からの様々な関係者の配慮や努力による成果ではないかと思われます。長年の課題である新越冬地の形成の兆しが見えつつあるように感じます。

つきましては、今シーズンもツル類の渡来が予想されますので、引き続きご協力いただきたく、お願い申し上げます。詳細は別紙1をご覧ください。チラシ・ポスターを製作しましたので、ご活用ください。

また、下記の通り、関係者への周知にもご協力いただきたく、重ねてお願い申し上げます。

1 ツル類の渡来地の関係者

  • 県の鳥獣、自然保護、農業、漁業、河川担当部署と出先機関
  • 市町村の上記担当部署
  • 県内で登録した狩猟者、猟友会、内水面漁業協同組合
  • 地域住民等

※上記以外にも関係者がいらっしゃる場合は、適宜ご対応くださいますようお願い申し上げます。
なお、四国地方整備局、中国四国農政局には別途依頼しています。

2 資料一式

  • 別紙1ナベヅル、マナヅル保護に必要な配慮事項と対象地域
  • 別紙2ナベヅル、マナヅルについて
  • チラシ、ポスター「みまもって!ナベヅル・マナヅル」(別封)
  • 送付状※必要に応じてご利用ください

【問合せ】公益財団法人日本野鳥の会自然保護室伊藤、野口、葉山
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23
電話/Fax:03-5436-2633/2635Eメール:hogo@wbsj.org


【別紙1】ナベヅル、マナヅル保護に必要な配慮事項と対象地域

1.配慮事項

(1)銃猟について

銃声に驚いて飛去してしまいますので、ツルの飛来地域周辺での銃猟はご遠慮ください。
鳥獣被害対策の場合も実施方法についてご配慮をお願いします。詳細につきましては、当会もしくは地元のツル保護関係団体等にご相談ください。

(2)ツルとの距離について

ツルは非常に警戒心が強く、人の接近を嫌いますので、ツルを見かけたら200~300mの距離を保つようにしてください。300m以内でツルと出会ってしまったら、車の場合は、そのまま通りすぎてください。ツルを見ようとして止まったり、車内から出たりすると、ツルが警戒して飛び去ることがあります。徒歩の場合は、可能であれば迂回を、無理であれば急な動きはせずに通行してください。また、犬も警戒しますので、散歩中は飼い犬を放さないようにしてください。

(3)ねぐらへの立入りについて

河川や湿地、ため池の浅瀬をねぐらとして利用します。特に夜間はツルの警戒心が強いので、日の入1時間前~日の出1時間後は、ツルのねぐら及びその周辺に立ち入らないよう、さらに車のヘッドライトを向けないように、ご協力お願いします。

(4)その他

  • ツルの近くでの工事作業等、ツルへの影響が懸念される活動がある場合は、実施場所や期間、時間等について、ご配慮をお願いします。
  • ツルの渡来場所の詳細が報道されると、カメラマンや見物客が増えてツルに影響が出る場合がありますので、情報の取り扱いについては、地元のツル保護関係団体等とご協議ください。

2.対象地域

(1)徳島県

  • 海部川下流域及び周辺水田(海陽町)
  • 那賀川下流域及び周辺水田(阿南市)
  • 吉野川流域及び周辺水田(阿波市、上坂町、坂野町、藍住町、吉野川市、石井町、徳島市)

(2)香川県

  • 丸亀市南部ため池群及び周辺水田
  • 柞田川河口域(観音寺市)
  • 高松市南部ため池群及び周辺水田

(3)愛媛県

  • 関川河口域及び周辺の水田地帯(四国中央市)
  • 加茂川・中山川河口域及び周辺の水田地帯(西条市)
  • 宇和盆地(西予市宇和町)

(4)高知県

  • 四万十川下流域、中筋川下流域及び周辺の水田地帯(四万十市)
  • 小筑紫町福良川下流域及び周辺の水田地帯(宿毛市)
  • 物部川下流域及び周辺の水田地帯(南国市及び香南市)

※上記地域以外にツル類が飛来した場合はこの限りではありません。
※飛来地の詳細につきましては、下記までお問い合わせください。

3.期間

2017年10月中旬~2018年3月末

4.各地の保護対応相談及びツル情報提供先

日本野鳥の会徳島県支部(徳島県) 電話:0886-33-0180Fax:0886-32-0170
日本野鳥の会香川県支部(香川県) 電話:090-9458-4414(矢本)
日本野鳥の会愛媛(愛媛県) 電話/Fax:089-923-3081
四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク(高知県) 電話/Fax:088-841-5400Eメール:ecotrust@me.pikara.ne.jp

【別紙2】ナベヅル、マナヅルについて

冬季に日本の水田地帯に飛来する絶滅の恐れのある鳥類で、かつては全国に飛来していましたが、乱獲や圃場整備等による湿田の減少等によって、現在は国内外でも非常に限られた地域にしか飛来していません。鹿児島県出水地方では長年継続した保護施策により、ナベヅルは約1万3千羽、マナヅルは約3千羽が越冬するようになりましたが、世界のナベヅルの約9割、マナヅルの約5割が当地に集中していることにより、重篤な感染症が発生した場合に絶滅の恐れが高いことなどから、一極集中は大きな問題となっています。

出水地方以外に複数箇所の越冬地を確保することが重要との観点から、環境省や関係自治体、自然保護団体等が協力して新たな越冬地形成にむけて努力しているところです。しかしながら、非常に警戒心が強いため、飛来があっても銃猟による銃声や、落ち鮎漁等での河川への夜間の立入り、カメラマンや見物客の過度の接近等により定着が阻害され、ほとんど越冬には至っていないのが現状です。特に、飛来して間もない期間は警戒心が強くなります。一方で、ツル類は寿命が長く、越冬地では定住性をもつため、越冬できた場所は学習し、翌年以降も渡来する可能性が強いため、越冬実績を重ねることで、安定した越冬地が形成されます。

(1)ナベヅル(Grus monacha)

ロシア南東部、中国東北部の高原の湿地帯で繁殖する。つがいごとになわばりをもち、最大2個の卵を産む。秋になると、その年に生まれた幼鳥と共に西日本、韓国南部の水田地帯に渡り、越冬する。日本には、10月~3月に渡来する。

越冬地では、主に穀類の落ち穂や植物の種子、根茎、昆虫、小型の水生生物を食べる。開けた空間を好むので、干拓地のように広い水田地帯に生息するが、周南市八代のような盆地の水田も利用する。

基本的に冬も家族単位でなわばりをもって行動する。環境条件によって数十羽の群れを形成する場合もある。夜間は、水深10~20センチ程度の河川の中州や干潟の干出部、湿地、ため池等でねぐらをとる。

  • 全長約100㎝
  • 世界の推定個体数約16,000羽
  • IUCNレッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
  • 環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
  • 日ロ渡り鳥条約
  • 日中渡り鳥協定
  • ワシントン条約附属書Ⅰ
  • 種の保存法国際希少野生動植物種
  • 文化財保護法特別天然記念物
  • 「鹿児島県のツルおよびその渡来地」
  • 「八代のツルおよびその渡来地」

(2)マナヅル(Grus vipio)

ロシア、中国、モンゴルの国境を流れるアムール川流域やウスリー川流域の湿原で繁殖する。越冬地は、西日本、朝鮮半島の非武装地帯、中国南部の湖沼。日本には、11月~2月に渡来する。開けた環境を好むため、干拓地のように広い水田地帯に飛来する。冬の生態はナベヅルと同様。両種がゆるやかな群れを作り、一緒に行動することがある。ナベヅルより湿潤な環境を好むとされている。

  • 全長約127㎝
  • 世界の推定個体数約6,000羽
  • IUCNレッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
  • 環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
  • 日ロ渡り鳥条約
  • 日中渡り鳥協定
  • ワシントン条約附属書Ⅰ
  • 種の保存法国際希少野生動植物種
  • 文化財保護法特別天然記念物
  • 「鹿児島県のツルおよびその渡来地」

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