2月22日「ネコの日」に考える ~ネコ科の野生動物を守る意味


世界の自然に生きる野生のネコたち

サバンナの王者ライオン。寒さ厳しいシベリアの森に生きるアムールヒョウ。熱帯の島スマトラの森に生きるスマトラトラ。そして、世界の屋根ともいわれるアジアの高山帯に生きるユキヒョウ。

あなたはどんな野生のネコたちに魅力を感じますか?

世界に37種が知られるネコ科の野生動物は、世界各地のさまざまな景観に息づいています。
海辺のマングローブの森から標高5,000mを超える高山の懸崖。また、熱帯の森からサバンナ、半砂漠まで。

その多様さは地球の自然環境の多様さそのものと言っても過言ではありません。

野生のネコ科動物がさらされる危機

そして、この野生のネコたちは今、さまざまな環境問題の影響を受けています。

東南アジアや中南米、極東ロシアなどの森では、森林の伐採により生息環境が消失・分断されています。

サバンナや樹木のまばらな低木林、半砂漠のような水の貴重な場所では、農地拡大や家畜の放牧の増加によって獲物となる草食動物が減る一方、家畜を襲う害獣として駆除される例が生じています。

ペットにすることや、毛皮、骨などを狙った密猟も跡を絶ちません。

さらに、近年は温暖化による地球規模の気候変動も、保護区を含めた貴重な自然環境に大きな影響を及ぼそうとしています。

世界で最も気候変動の影響を強く受けるといわれる環境の一つであるヒマラヤ、その高山帯に生きるユキヒョウは、その代表といえるでしょう。

また、世界自然遺産にも指定され、ベンガルトラの重要な生息地となっている、ガンジス川の河口部に広がるスンダルバンス国立公園のマングローブ林も、海面上昇による消失が懸念されています。

さまざまな生態系を「象徴」するネコ科の動物たち

野生のネコ科の動物たちは、もちろん全て肉食。他の小さな(時には自分の何倍もある)動物を襲い、食物として生きています。

つまり、どのような生息域においても、多くの場合、地域の生態系ピラミッドの上位に立つ野生動物、ということです。

こうした野生ネコの強さは、逆に考えれば、その獲物となる草食動物や鳥、両生類や爬虫類といった、小さな生きものたちに支えられている、といえるでしょう。

森であれ、サバンナであれ、海辺であれ、高山であれ、その場所の自然に適応した、さまざまな野生の生きものが豊富にいる場所でなければ、肉食の動物たちは生きていくことができないのです。

その意味で、ネコ科の動物たちは、世界の各地で見られる多様な生態系と、その豊かさを象徴する存在ともいえるでしょう。

【事例】地図データで見るトラの生息地と自然の豊かさの関係

日本からも近い極東ロシアの沿海地方には、アムールヒョウやシベリアトラといった、世界で最も北に生きるヒョウとトラの亜種が生息しています。

こうした絶滅の危機にあるネコ科動物の生息エリア(左)を、生物多様性の豊かさを示す図(中央)や、自然が危機に脅かされているエリアの図(右)と並べてみると、トラが生物の豊かな地域に多く生息し、なおかつそのエリアの多くで自然が危機にさらされていることがわかります。

こうした情報に加え、針葉樹や広葉樹といった森の植生の地図や、保護されているエリアの地図の情報を重ね合せることで、特に優先的に保護活動に力を入れねばならない地域が見えてきます。これらは、必要な調査や保護のための施策を考え、活動資金を有効に活用した取り組みを行なう上で、欠かせない知見となります。

出典:Amur-Heilong River Basin Reader(Eugene A. Simonov and Thomas D. Dahmer:February 2008)

野生ネコたちが生きる自然を守ろう!

現在、IUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト(絶滅の恐れのある野生生物のリスト)」には、17種のネコ科動物が「絶滅の恐れが高い種」として記載されています。

この数字は今後、環境問題が深刻になれば、さらに増えてくる可能性あるでしょう。

美しく、愛らしくもある、ネコ科の動物たち。

ですが、野生動物としてのネコ科の生きものたちを守らねばならない一番の理由は、「かわいそうだから」ではありません。

その保護は、より多くの野生の生きものたちを守ることであり、さらには、地球に今のこされている多様な自然環境を守ることでもあるからです。

人もまた、自然の恵み無くしては生きられません。

ぜひ、彼らの眼差しの向こうに、豊かな世界の自然と、私たち自身の未来があることを。

そして、地球の財産を守り、子どもたちの世代に引き継いでゆく取り組みが今、求められていることを。

ご一緒に考えていただければと思います。

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