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太陽光リサイクル義務化に向け加速する市民と国の動き

この記事のポイント
気候変動対策として期待される太陽光発電。一方で将来のパネル大量排出への懸念から、いま国の対応が問われています。そのなかで、2026年1月22日に、WWFも加盟する気候変動問題に取り組む環境団体の集まりClimate Action Network Japan(CAN-J)が、太陽光発電のパネルリサイクル義務化を求める市民署名(41000筆)を国に提出しました。署名提出の翌日には、休止していた国のリサイクル検討の審議会も再開され、新たな“太陽光発電のパネルリサイクル”の方針案が示されるなど、いまリサイクルに向けた議論が動きつつあります。
目次

注目される太陽光発電リサイクルへの国の対応

気候変動対策やエネルギー自給率改善の切り札でもある太陽光発電。

その太陽光発電を巡り、いま国が、これまでの支援や規制のあり方を変える政策転換をしようとしています。「対策パッケージ」と呼ばれるこの政策転換は、政府により2025年12月に示されました。

このなかでは、さまざまな既存制度の改革が謳われていますが、なかでもとりわけ注目を集めているのが、「太陽光パネルのリサイクル対応」です。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/megasolar/pdf/countermeasure.pdf

2012年にスタートした「固定価格買取制度」(FIT制度)。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを国が発電事業者から約20年間にわたり買い取る制度ですが、この初期に認定された事業の買取期間が2030年代から順次終了していきます。

そしてこれにあわせて、事業を終えた太陽光発電所から、大量のパネルが排出されると予測されています。

廃棄による最終処分場への負担増を避けつつ、資源循環を進める観点からはリサイクルが望まれますが、これに国がどう対応するのか、いま注目されているのです。

2030年代以降のパネル排出量はピーク時で約50万t/年だが、現状は約15万t/年の処理能力に留まり、県によっては処理能力が全くないところもある

2030年代以降のパネル排出量はピーク時で約50万t/年だが、現状は約15万t/年の処理能力に留まり、県によっては処理能力が全くないところもある(出典:環境省、太陽光発電設備リサイクルWG第10回資料を基にWWFで図化)

国は当初、“太陽光パネルリサイクルの義務化”を目指して、審議会での検討を実施。その取りまとめを以て法制化を目指していましたが、その過程で、断念をしてしまいました(2025年8月)。

市民団体から義務化を求める署名提出

このままではリサイクルが危ぶまれると、2025年8月、WWFを含む複数の環境団体が、義務化を求める共同声明を発表。

さらに、同年10月には、WWFも加盟する気候変動問題に取り組む環境団体の集まりClimate Action Network Japan(CAN-J)が、リサイクル義務化を求めるオンライン署名を開始しました。

【オンライン署名サイト】
https://www.change.org/solarpanel-recycle

その結果、2026年1月19日までに41,000筆を超える署名が集まりました。

© CAN-Japan

これをうけて、1月22日には、CAN-Jがこの市民の声を環境省と経産省の両省に提出。現在も署名活動は継続されており、1月23日時点で42272筆と、さらに署名数を伸ばしています。

【署名提出プレス(CAN-Jより)】
https://www.can-japan.org/press-release-ja/4218

国による新制度案の発表

そして、まさにリサイクル義務化への市民の期待が募る最中の1月23日、国はしばらく休止をしていた太陽光リサイクルに関する審議会を開催。そこでは、“新しい太陽光パネルのリサイクル制度案”が示されました。

https://www.env.go.jp/council/content/03recycle03/000371843.pdf

その主旨は、“多量排出事業者(大きな発電事業者)でまずは義務化を進め、次第にその対象範囲を広げ強化していく”というものです。

これは国が義務化断念をして以降、一部で報道されていたような努力義務化を目指すとした方針に比べ、義務を課すとした点、さらにはその義務化の範囲を今後拡大していくと示した点で一定の評価ができます。

しかしながら、この義務化は、あくまで“排出計画(リサイクルの計画)の提出”に対するもの。その実行に対しては、指導・助言の範囲に留まります。

新法制度(案)でのパネル排出者ごとの規制内容

新法制度(案)でのパネル排出者ごとの規制内容(出典:環境省、太陽光発電設備リサイクルWG第10回資料より)

なお、計画が不十分な場合には、国が勧告・命令を課すとしていますが、計画だけ立派でも実行が担保されなければ意味はありません。そのため、未実施への厳しい罰則が今後の詳細設計で設けられなければ、実行性は担保されず、“見せかけの義務化”になる恐れが十分あります。

審議会では、今回の方向性に対して、委員から大筋の合意が示されたため、今後は法制化、さらには制度の詳細設計に移っていくものと考えられます。

今後の詳細設計で実効性ある内容にできるよう、WWFでは引き続きこの議論を注視し、必要な対策を訴えていきたいと思います。

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