アマゾンの熱帯林破壊を呼ぶブラジルの「森林法」の変更


アマゾンの熱帯林の大半をその国土に有するブラジルで今、森林保全にかかわる国内法、森林法(Brazil Forest Code)の法改正がなされようとしています。この法改正は、ブラジル国内での森林破壊を深刻化させるおそれのある「改悪」となるため、WWFは現在、森林保全と温暖化防止の視点から、この変更を実行しないよう、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領に求めています。

ブラジル「森林法」とアマゾンの危機

ブラジルの森林法は、もともと国内の森林所有者に開発行為を制限するため、1965年に作られた法律です。
この規制を緩和させる措置を盛り込んだ修正案が、現在ブラジルで検討されており、これが成立することによる、森林保全への悪影響が懸念されています。

ブラジルの「森林法」は、これまでも決して厳守されてきたものではありませんでしたが、従来の法では、保全すべき森林に土地を所有している者に対し、面積の80%以上を森林として維持することを求めており、これが開発を規制する上で一定の役割を担ってきました。

しかし、今回の修正案では、この森林の維持率が50%まで引き下げられており、保全につながる規制が実質的に緩められることになります。

この法律の変更が実施されると、今後新たに失われる可能性のある森林の広さは、アマゾンをはじめ、大西洋沿岸林など、ブラジル国内の森林79万平方キロ(およそ日本の面積の2倍弱)に及びます。

さらに、森林の回復に外来種の樹種を用いることが可能になるなど、生物多様性保全の観点からも、問題が指摘されています。

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温暖化防止を後退させる

また、このブラジルにおける森林の危機は、地球温暖化防止の観点からも懸念すべき、大きな問題です。

現在、各国で起きている森林破壊は、温暖化の主要な原因の一つである、二酸化炭素の世界の総排出量のおよそ20%を占めており、今後もその影響が心配されています。

ブラジルのアマゾンの熱帯雨林も、無論、二酸化炭素の吸収源として、また、気候を安定させる環境として、大きな役割を果たしています。しかし今回、ブラジルで法律が変更され、森林の大規模な破壊が進むと、これによって排出される可能性のある二酸化炭素の量は、実に290億トンにのぼると見られています。

この結果として、ブラジル政府は、2009年に開かれたCOP15でのコペンハーゲン合意において、自らが掲げた温室効果ガスの削減目標が達成できなくばかりでなく、森林の喪失による水害や、異常気象による影響を被るおそれがあります。

また、その影響はブラジル一国にとどまらず、周辺国や、温暖化の深刻な被害をすでに受けている国々にまで、広く及ぶことになります。

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「リオの精神」に立ち返ることを

今回ブラジルで進められようとしている、法改正による規制緩和は、これまでの違法行為を不問に付すものでもあり、さらには、ここ数年、ブラジルが実現してきた森林保全の成果をも、無駄にしてしまう危険性を秘めています。

実際、ブラジルは2006年から2010年までの間に、アマゾンの森林の減少率を、それ以前の5年間と比べ、ほぼ半分にまで抑えることに成功しました。この結果保全された森林の広さは、5万9000平方キロ。排出を防いだ二酸化炭素の量は22億トンに及びます。

こうした実績を損ない、国際的な信用を失墜させる可能性のある、今回のブラジルでの森林法の変更について、WWFは強く反対すると共に、2011年11月末から12月にかけて南アフリカのダーバンで開催された、国連の温暖化防止会議(COP17/CMP7)でも、この問題について訴えました。

2012年は、世界中を環境問題に目を向けさせた「地球サミット(国連環境開発会議)」から、ちょうど20年目を迎えます。
そして、20年前と同じく、ブラジルのリオデジャネイロでは「リオ+20(国連持続可能な開発会議)」が開催されます。

生物多様性のホットスポットであるアマゾンの熱帯林保全に、また地球温暖化の防止に、大きな役割が期待されるブラジルのルセフ大統領の決断が、問われています。

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