第三者委員会報告について


(2020/11/24公開)

2019年3月にWWFの自然保護活動において人権を侵害する行為があったとの一部報道を受け、元国連人権高等弁務官のナビ・ピレイ判事を議長とする独立調査を行う第三者委員会をWWFインターナショナルは設立し、調査を実施。この度、報告書が第三者委員会からWWFに公表されました。

それを受け、WWFは本日、「Embedding Human Rights into Nature Conservation: from Intent to Action(自然保護への人権の組み込み:意図から行動へ)」をWWFの声明として発表しました。WWFが活動している地域で、一部の政府レンジャーによる人権侵害が報告されたことをきっかけとし、今回の第三者委員会の報告を踏まえて、WWFは運営体制を見直しています。

第三者委員会では、人権保護を自然保護活動に組み込むよう勧告を出しており、WWFは勧告を全面的に受け入れます。

また、第三者委員会はWWFのスタッフが人権侵害に加担したり、奨励したり、助長したりしたという証拠はないと判断しました。さらに、人権侵害の報告がWWFへ通報されたとき、WWFのスタッフは対応し行動を起こしていることも確認しました。ただし、すべてのフィールド活動の現場で、地域コミュニティへのコミットメントを一貫して果たせているわけではないことが指摘されました。

WWFインターナショナル総裁のパヴァン・スクデフは「人権侵害は、どのような状況であっても決して容認されるものではなく、私たちの中核的な価値に反するものです。だからこそ我々は第三者委員会による独立した調査報告を依頼しました」と述べました。WWFインターナショナル事務局長のマルコ・ランベルティーニは「WWFは世界各地で地域コミュニティと協力して活動しており、コミュニティの声に耳を傾け、権利を保護し、私たちの活動に参加してもらうことに対し、責任があると認識しています。被害に遭われた方が苦しんでいることは、私たち全員にとって深い悲しみです。我々は第三者委員会の勧告を非常に真摯に受け止めており、コミュニティへのコミットメントを果たすためにすでに実施している行動に加えて、これらの勧告すべてに取り組むことを約束します」と続けました。

第三者委員会ではまた、政府が人権保護の責任を果たすよう、WWFがより明確に主張し、侵害行為があったとの指摘を受けている政府レンジャーを含めて、政府に働きかけることを求めています。WWFでは、すでに世界各地で活動する際には、統一したグローバルなアプローチへと変更していますが、これは第三者委員会の勧告に沿ったものとなっています。コミュニティが懸念を申し立てたり通報する方法を改善し、リスクの高い自然保護プロジェクトを集中的に審査し、承認を経る手続きへと変更しています。この審査により、人権へのコミットメントが果たせないと判断された場合は、該当プロジェクトへの支援を中止する用意ができています。

第三者委員会の各勧告に対してすでに対応を開始しております。以下「WWF Response(報告に対するWWFの声明)」と「Management Response(運営体制の改善)」で、改善策の着手状況の概要をまとめていますのでご覧ください。
■WWF Response(報告に対するWWFの説明)
■Management Response(運営体制の改善)

  • WWFが活動するすべての国で効果的な申し立て対応体制を確立し、コミュニティからの申し立てがし易くなり、その受理と経過の把握と対応ができるようにする。中央アフリカ共和国の人権センター(2016年に設立)は、第三者委員会がベストプラクティスと称賛したもので、複雑な環境下での申し立て対応メカニズムを統合したWWFのモデルの一つである。
  • 社会的・環境的セーフガードを強化する。これは地域コミュニティとの関係性を深め、リスクを特定して管理することを義務化する。これらは世界各国すべてのWWF理事会で承認され(2019年7月以降)、新たに設置された専門部署のグローバル・セーフガード部が中心となって実施されている。
  • WWFの影響力をより強固に人権保護に活用し、セーフガードが満たされない場合は、プロジェクトを中断または撤退する用意をしている。
  • WWFは、コミットメントとセーフガードに対する説明責任を果たし、WWFが活動する地域コミュニティに対立を解消する支援を提供する、独立したオンブズパーソン部を設立する準備を進めている。
  • 地域コミュニティと政府のレンジャー間の対立を減らすための追加的な措置を講じる。例えば、法執行に関わるWWFのプロジェクトでは人権保護についての研修を義務化、世界的な行動規範の策定を行いレンジャーの専門化を目指す国際的な連合であるユニバーサル・レンジャー・サポート・アライアンス(2020年)の設立支援を行っている。
  • リスクの高い自然保護プロジェクトはすべて、WWFの主要な自然保護専門家で構成される新たなハイレベルの「自然保護品質委員会」による審査と承認を義務付ける。
  • 世界中の7,500人のスタッフ全員にすでに新しいセーフガード制度について研修するなど、スタッフの能力を構築する。
  • セーフガードと人権に関するWWFのコミットメントを、関連する支援に関する契約条項として盛り込む。

(2021/12/1追記)第三者委員会調査報告に対するWWFの人権保護の取り組み進捗報告書の公開について

WWFは第三者委員会の79項目の提言をすべて受け入れ、3年間の行動計画に基づいて、WWFネットワーク全体でこれらを実施してきました。開始から3年後に第三者委員会の提言事項に照らし合わせて評価を行う予定です。一方、WWFはより説明責任を果たすため、進捗状況を定期的に報告するグループを設立、この度、1年目の進捗状況を公開する報告書を発表いたしました。以下にてその概要をお知らせいたします。

第三者委員会によって評価されたWWFが世界各地で支援する景観(大規模な生態系)において、次の代表例を含む進捗を公開いたしました。中央アフリカ共和国ではレンジャーの研修に人権に配慮して進めるため設立した人権センターを引き続き支援、カメルーンでは地域の人権及び先住民グループと協力して苦情処理メカニズムを強化、コンゴ民主共和国では国立公園に関する政府との協定を新たに結び、密猟防止において人権を保護し活動する体制を整備、ネパールではWWFが活動する地域以外での人権侵害に対する政府へ圧力を実施、インドでは政府が運営するレンジャー研修のカリキュラムに人権保護の内容を組み込むなど、取り組みを進めています。

また、各国毎に独自で実施していた自然保護活動に伴うリスク調査・評価手法「Environmental and Social Safeguards Framework(環境社会セーフガード枠組み、以下ESSF)」を全世界で統一するとともに、独立したオンブズパーソンも迎えました。ESSFでは、広くフィードバックを求め、受け取ったフィードバックを反映するため人権セーフガードとポリシーの改定も進めております。さらに、政府への働き掛けとして新しい協定や契約に人権を保護する条項を組む込み、加えて世界レンジャー支援アライアンスUniversal Ranger Support Alliance(URSA)を通じてレンジャーの行動規範を確立、またWWFのリスク調査・評価手法を強化するためのツール開発を行ない、全世界でのWWFの取り組みを対象とした監視委員会を通じて、引き続き取り組みを進めてまいります。

WWFジャパンでは、WWFインターナショナルのESSF担当部局と連携し、WWFジャパンが支援している国内と海外の事業へのリスク評価に着手しました。環境および社会的なリスクを特定するスクリーニングのプロセスを現在進行中です。また、新入局スタッフを含む全スタッフを対象とした研修と外部通報窓口の設置を完了しています。WWFジャパンの支援している国内外のリスク調査・評価の進捗状況については今後ウェブサイトにて公開し、引き続きリスク評価と軽減策・緩和策は遅滞なく実行し、透明性を高めてまいる所存です。

本件についての情報は下記ウェブページにて公開しております。
https://wwf.panda.org/wwf_news/wwf_independent_review_/year_1_implementation_update/

今後の取り組みの進捗状況につきましては、ウェブサイトを通じてお知らせいたします。

(参考)
■環境および社会的セーフガード・フレームワーク(Environmental and Social Safeguards Framework)について

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