岩合光昭写真展「Pantanal」ギャラリートーク開催報告


2017年12月3日、東京・新宿のオリンパスギャラリー東京で、動物写真家・岩合光昭さんの写真展「Pantanal 生命みなぎる大湿原--パンタナール」のギャラリートークおよびサイン会が行なわれました。一般の方々、およびWWFジャパン会員の皆さまを迎えて開催されたイベントの様子をお伝えします。

33年目を迎えた「オリンパスWWFカレンダー」

2018オリンパスWWFカレンダーの完成を記念して、岩合光昭写真展「Pantanal 生命みなぎる大湿原―パンタナール」が開催されました。このカレンダーはオリンパス株式会社から毎年WWFジャパンに寄贈され、WWFの通信販売「パンダショップ」が販売しているもので、利益は全てWWFの活動に活かされています。このご支援は、今回で実に33年目を迎えます。

この写真展の開催に合わせて、オリンパスギャラリー東京では岩合光昭さんのギャラリートークが行われ、WWFジャパン会員の方もここに招待していただきました。

冒頭に、WWFジャパンの渡辺よりご挨拶させていただきました。

世界最大級、南米の大湿原パンタナール

岩合さんがパンタナールについて初めて興味を持ったのは、1980年代のことでした。アフリカのセレンゲティと同じくらいの魅力がある、と人に勧められたのがきっかけだったそうです。とはいえ、パンタナールは年の半分は水没する大湿地帯。ジャガーをはじめ多くの野生動物が生息しているものの、当時はまだ、知る人ぞ知るという土地であったがために、ほとんど情報もなく、さすがの岩合さんも、すぐに撮影に飛ぶまでには至らなかったそうです。

2000年代後半に入ると、パンタナール縦貫道と呼ばれる幹線道路ができ、この大湿地帯も人のアクセスが比較的容易になりました。大勢の釣り人がボートで入るようになり、宿泊施設なども徐々に整備されてくるなかで、ジャガーが撮影できる場所として世界的に有名になり、プロアマ問わず多くの写真家が訪れる場所になりました。

熱心にお話しくださった岩合光昭さん

岩合さんがパンタナールを初めて訪れたのは2015年のこと。走行中の車を覆うほどの大量の蝶や、道を横切るアナコンダ、川べりに集う100匹超のカイマンなどを目にして、すっかりこの地に魅了されたそうです。以降、岩合さんは何度も撮影でこの地に足を運ぶことになりました。

パンタナールは自然保護区とは違い、昔も今も変わらず、現地の人たちが普通に生活をしています。かつて、周辺の牧場では家畜を襲う害獣とみなされ、ジャガーが狩られることもよくあったそうですが、ジャガーを求めて観光客が増加するにつれ、現地の人々もジャガーを殺すことは減りました。

ジャガーの声を聞く

今回のカレンダーに収められた写真のひとつに、川岸に姿を現したジャガーがじっとこちらを見つめている印象的な一枚があります。周辺の静けさと、ピンと張りつめた緊張感が伝わってくるように思えます。実際のところ、現地では、ジャガーの姿を一目見よう、カメラに収めようと大勢の人々がボートで川を行き来しているため、ジャガーが姿を現すと、我先にとジャガーの行く手に船首を向ける光景が目につくそうです。

人に危害を加えられないことをパンタナールのジャガーは知っているそうですが、それでも、あまり多くの人間が見つめていては伸び伸びと狩りをすることができません。岩合さんは、観光客がいない時間帯にボートを出してジャガーを探しますが、その姿を見つけても、決してボートをジャガーの進行方向に出さないようにするなど、怖がらせないように細心の注意を払うそうです。

ジャガーにしてみれば、人間が前方に先回りしたら当然、嫌になる。自分の撮りたいアングルを優先して動物を追うのではなく、動物の気持ちになって考えるのが重要だと岩合さんは言います。動物の「声」を聞くと撮影許可をくれる。動物の気持ちにならないと、いい写真は撮れないと語りました。

長年、野生動物を撮影してこられた岩合さんならではのお話しは非常に説得力のあるもので、参加者の皆さんも大きく頷いておられました。

サイン会の様子。丁寧なご対応に参加者の皆さんは感激されていました

会場には約60名のファンの方々がお越しになりました。ギャラリートークの後に行われたサイン会でも、お一人お一人が岩合さんと言葉を交わし、皆さん大変、嬉しそうな良い表情でお帰りになられる様子が印象に残りました。

長年、この企画を通じてWWFの活動にご協力いただいているオリンパス株式会社と岩合光昭さん、そしてカレンダーをお買い上げいただいている皆さまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。(広報担当 辻紀美代)

イベント情報

「岩合光昭写真展 生命みなぎる大湿原―パンタナール」ギャラリートーク

主催 オリンパス株式会社
日時 2017年12月3日 9:30-11:00
場所 オリンパスギャラリー東京
参加人数 約60名

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