プロジェクト始動!MSC認証の取得を目指す黄海のアサリ漁


日本の食卓に欠かせない海の恵み、アサリ。その消費の約半分は、海外からの輸入により、まかなわれています。その多くを生産しているのが、東アジアを代表する大陸棚の海、黄海。日本にも多く飛来するシギやチドリなどの渡り鳥にとっても重要なこの海で、2016年11月、海の環境に配慮した持続可能なアサリ漁をめざす漁業改善のプロジェクトがスタートしました。プロジェクトが目標としているのは、持続可能な漁業の国際認証であるMSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)の基準を満たすよう現地のアサリ漁の改善を行い、最終的にMSC認証を取得すること。これが実現すれば、日本にも海の環境に配慮した持続可能なアサリがやってくることになります。

「持続可能なシーフード」を求める声に応えて

今回のプロジェクトの現場となるのは、重要な湿地帯が今も残る、黄海の北部、遼寧省東港市の鴨緑江河口域。WWF ジャパンとWWF中国は、2002年以降、連携してこの地域の保全活動を行ってきました。そして今回の新たなプロジェクトで主体となるのは、この地域でアサリの生産・加工を行なっている中国企業、泰宏食品です。

泰宏食品は、日本企業の株式会社ニチレイフレッシュに、アサリを供給する現地企業として、その輸出に大きくかかわってきました。

その泰宏食品が今回、海の環境や地域社会に配慮した漁業を認証する、MSC認証の取得に乗り出したのです。

この動きの背景には、株式会社ニチレイフレッシュが泰宏食品に対し、資源や環境に配慮した「持続可能な水産物」の調達を求めてきた経緯がありました。

世界的にも重要な環境を有する地域で、WWFと水産物を生産・供給するサプライチェーンにかかわる企業が、豊かな生きもののくらす海の自然を守る漁業の推進を連携して行う取り組みが、初めて、中国と日本をまたいだ形で本格的にスタートしました。

日本の食卓にMSC認証のアサリがやってくる日

このプロジェクトの始動にあたり、中国の青島で2016年11月1日、泰宏食品、株式会社ニチレイフレッシュ、WWF、CAPPMA(中国水産流通加工協会)が共同で、開始式典を開催しました。

開始式典には、現地の漁業局、MSCの関係者も参加。プロジェクトの概要の発表や関係者からのプロジェクトへの期待が述べられました。

漁場の生物多様性への影響や、持続可能な資源量のレベル、また他のアサリが混ざらないような徹底した管理体制など、MSC認証が求める基準は厳しいものですが、それが国際的な信頼につながっています。

泰宏食品が行なっているアサリ漁については、2016年4月にすでにMSCの予備認証を終了。現時点で課題となっている点を明確にしました。

今後、明らかになった課題を克服し、2017年夏の本審査入り、2018年のMSC認証取得を目指し、取り組んでいきます。

これが実現すれば、日本の食卓にもMSCのラベルが付いた認証製品のアサリがやってくることになります。

これから大きくなる「食」の問題

アサリをはじめ、人の食料となっている自然の恵みは、決して無限のものではありません。

再生の速度を考慮せず、乱獲を続ければ、必ず枯渇してしまいます。そしてその過程で、資源だけではなく、周辺の生物多様性も損なわれてしまいます。

世界人口が増加し、今後さらに多くの食料が必要とされる中、資源を枯渇に追い込まず、その母体になる自然を守りながら行なうべき漁業の確立は、これからの未来においても、非常に重要な課題です。

そうした中で、市場と生産の現場が、国境を越えて一つにつながり、持続可能な漁業を推進していくことには、大きな意味があります。

今回のプロジェクトの開始にあたり、株式会社ニチレイフレッシュの国田英紀氏は、次のように述べています。

「今回、パートナーである泰宏食品と共に、鴨緑江河口域での二枚貝漁業改善のプロジェクトにおいて、WWF中国、WWFジャパンおよび中国漁業政府関係者の皆様、海洋研究者の皆様とともに参加できることになり大変光栄に思います。当社もあさり製品のMSC取得に向けて全力を尽くしたいと思います。」

また、WWFジャパン海洋水産グループの吉田誠は、「世界的な課題となっている持続可能な水産資源の利用と生物多様性保全のためには、関連する多様なステークホルダーが一致団結し、持続可能な未来を目指して取り組んでいく必要があります。鴨緑江河口域での環境保全と持続可能なアサリ漁業を確立することで、今回のプロジェクトが、今後の東アジア地域の漁業改善のモデルとなり、さまざまな生きものたちが息づく海を守るその一歩となることを期待しています」と述べています。

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