社員・職員有志でWWFジャパン「暮らしと自然の復興プロジェクト」現場視察ツアーを実施


2013年7月5日、6日に、有限責任監査法人トーマツは、グループ会社を含む社員・職員有志25名で、宮城県南三陸町の「暮らしと自然の復興プロジェクト」現場を訪問しました。WWFジャパンは、宮城県漁協志津川支所戸倉出張所の協力のもと、環境に合わせた養殖業の確立を通じた復興支援に取り組んでおり、今回、出荷の最盛期を迎える養殖ギンザケの水揚げや市場での選別作業を見学、その後漁業関係者の方と座談会を開きました。

プロジェクトの現場を見るツアー

WWFジャパンは現在、2011年3月の東日本大震災により被災した、沿岸域の生態系の回復と、海と共に生きる暮らしの復興をめざした、「暮らしと自然の復興プロジェクト」を展開しています。これは、WWFが国内外で実績を積んできた活動の知見を通じて、被災地の復興支援をめざすものです。

有限責任監査法人トーマツには、2011年度、2012年度の2年間にわたり、この「暮らしと自然の復興プロジェクト」へ、社員・職員によるボランティア活動などに連動したご寄付をいただきました。

また、同法人は、WWFジャパンの法人会員として、20年以上にわたり継続的なご支援に取り組んでこられたことから、今回それを記念した、WWFのプロジェクト現場を訪問するツアーが開催されることになりました。

この企画は、同法人の社員・職員に対し、長年支援をしてきたWWFジャパンの活動とその意義を、広く認知してもらうことを趣旨として、同法人の主催により実施されたものです。

熱心にレクチャーを聞く様子

復興を目指す水産業の現場へ

ツアーで訪問した先は、宮城県南三陸町の宮城県漁協志津川支所戸倉地区。
当日は、WWFジャパンからプロジェクト担当者ほか1名のスタッフが現地で合流し、活動内容の説明にあたりました。

まず最初に行なったレクチャーは、以下の4点についてです。

  1. WWFジャパンの水産プロジェクトについて
  2. 被災地の現状と課題について
  3. 水産業の現状と課題について
  4. 普段の生活でできることについて

参加者の皆さまには、事前に資料をお渡ししていたこともあり、強く関心をお持ちいただけたのか、スタッフの話を熱心にお聞きになっていました。

また、質疑応答の時間にも、震災前後の漁業の変化や、会計士、税理士ならではの経営に関することなど、終了時刻ぎりぎりまでたくさんのご質問をいただきました。

翌日は、早朝4時に漁船に乗って、戸倉の波伝谷漁港を出港し、ギンザケの養殖場へ。

クレーンの網で巨大な生簀からサケをすくい取り、船に揚げる様子を見学した後、カキ、ホタテ、ワカメの養殖場を見ながら船で移動。そしてギンザケ収穫の最盛期を迎えた、大賑わいの魚市場へと向かいました。

船の上でお話をしてくださった地元の漁業者の方によれば、震災前は、養殖設備(イカダ)の設置間隔が非常に狭く、漁師の間ではイカダの上を歩いて岸まで戻れると話すほどの過密状態だったとのことです。

それが、現在は100メートル間隔で設置されています。過密養殖を改善することで、水産物を良い環境で大きく育て、価値の高いものとする効果を期待されている様子でした。

「ギンザケの水揚げを見学」
迫力のある作業に、驚きや感動の声があがりました。

「ギンザケの選別作業」参加者は少人数のグループに分かれて、ギンザケの選別作業などを見学

現場との交流の中で

その後、参加者のご一行は、宮城県漁協志津川支所戸倉出張所(漁協)へ集合し、出張所の所長、サケ副部会長、カキ部会長、ホタテ部会長、ワカメ部会長の皆さんと座談会に臨みました。

地元の漁業関係者の方々が見せてくださった、各水産物の養殖方法などについてのプレゼンテーションでは、震災の影響による課題や、震災の前と後でどのような変化があったか、またこれからの課題に関する内容で、その中には被災地の水産業が、いかに立ち直り、新しい未来を目指してゆくか、その道筋についてのお話がありました。

震災前、地元では、養殖しているカキやサケなどの排泄物や与えるエサなどで海が汚れたり、成長が遅くなったりする、過密養殖の悪影響がすでに知られていました。そこで震災後、漁協は生産者との話し合いを繰り返し、養殖密度を下げ、海の環境に合わせた高品質のモノ作りに取り組むことを決意しました。

カキは養殖いかだを従来の3分の1にまで減らしましたが、震災後はカキの成長がおよそ三倍に早くなり、また良質のカキが育つため、以前と変わらない収益が見込まれています。くわえて、津波や台風などで施設が損壊しても、被害額も低く抑えられるなど、減災効果も期待されています。

座談会の様子。試食!?をいただきました。

これからの新しい漁業をめざして

WWFでは、水産業の復興のため、「暮らしと自然の復興プロジェクト」を通じ、以下の3つの提案を行なっています。

  • 個々の漁業生産構造に合わせた協業化をすすめ、作業の効率化を図る
  • 自然環境に配慮した適切な養殖施設の配置や操業計画の設定を行う
  • 高品質化を図り、産地としての差別化、ブランド化を進める

その一つである、操業の協業化については、これまで漁師ごとに別々に行なってきたことを、一つにまとめる必要があったため、それぞれの考え方の違いなどから大変なご苦労があったようです。

漁協の皆さんと記念撮影。お疲れ様でした。座談会終了後には隣接の直売所で水産物を購入し、漁協の皆さんと記念撮影

それでも、ともに大きな災害を経験し、水産業を復興するには、お互いに協力をすることが不可欠であると考え、新たな取り組みに向けた一歩を踏み出したとお話くださいました。

この結果、以前は、クレーンなどの漁業用設備を一人一台所有することもあったようですが、協業化することで、経費の削減や作業効率の向上にも繋がったそうです。

また、席を寄せての質疑応答では、ギンザケ、ホヤ、ウニの試食をいただきながら、ときどき冗談も交えての活発な意見交換が行なわれました。

参加者の皆さんからは、協業化のメリットやデメリットに関する質問や、人間関係に関わる質問などがあり、また、品質向上や差別化をめざす地元の漁協の皆さんからは、試食の味について率直な意見を求めるなど、双方にとって貴重な交流の時間となったようです。

一泊二日の短い行程ではありましたが、今回の視察を終了し、参加者の皆さまの間からは、現場の方と非常に近い距離感で交流ができたことへの満足感が寄せられました。

皆さまからいただいた感想からいくつかご紹介いたします(一部抜粋)。

  • 震災復興と、環境問題をうまく組み合わせられた活動だと思いました。運用にあたってはなかなか難しいものがあるとは思いましたが、WWFの方々の取組みは今後も注目していきたいです。そして私自身の行動も変えていきたいと思いました。
  • 南三陸町における漁業関係者の「協働化」に関する取り組みは、とても良い成功例になっていると思います。この例が、他の地域の漁業関係者の方にも理解され、よりよい養殖事業が展開されるように、今後とも期待しております。
  • 持続可能な養殖業を成立させるため、子どもも含めて環境への配慮について啓蒙活動を行うこと、地元に寄り添ってこれを継続していくことは企業や自治体などではなかなか難しいことと思いますし、大変素晴らしいことだと思いました。
  • 太陽光パネルや水質調査など、地元の人たちが、何を必要としているかを的確に分析し、プロジェクトが実施されていることを知りました。
    そして、何より、地元の方と、WWF ジャパンの方との信頼関係を感じました。地元の方は、お忙しい中、さまざまな視察ツアーなどに積極的に協力をして下さっているのも、震災以降、地元に根付いたプロジェクトを実施してきたWWFジャパンの方の努力だと感じました。
  • WWF ジャパンからの一方的な提案プロジェクトではなく、漁師の皆様方の感情にも配慮した、双方で力を合わせて行われているプロジェクトとなっており、素晴らしいと思いました。
  • 震災ですべて失ってしまった漁協の方々が、以前と同じ方法でではなく、新しい方法を取り入れ、グループで協力して漁業を営まれている様子を知り、深く感動いたしました。震災復興だけではなく、環境問題にも取り組まれ、さらに同業者との連携の過程で起こる様々な葛藤を乗り越えながら、今なお努力をされていらっしゃる漁協の方々には深い深い敬意を表します。
    南三陸にはまだ電車も通っておらず、ただただ広い土地があるだけの状況でした。静かな海と緑が広がる広大な土地を見ていると、まるで何もなかったかのような錯覚に陥ってしまいそうですが、震災のことは決して忘れてはいけないと思います。恥ずかしながら現地に行くことで初めて身近なこととして実感できたような気がします。このような機会をいただきまして本当にどうもありがとうございました。
  • 参加したメンバーと一体感を持てて真摯に視察に臨むことのできた2日間でした。本日、職場の二人から視察ツアーを聞かせてと依頼があり、昼食を兼ね現状等を私なりに話す経験をしました。今後は家人と南三陸へ行こうと思っています。
  • まだまだ復興途中だとは思いますが、力強く生活されていらっしゃる漁師さんたちを見て、こちらが学ぶべきことがたくさんありました。
  • 被災地の現状を知り、地元の方々と交流し、考える機会を持てたことは、とても貴重な経験でした。参加前は、ボランティアではなく、単なる視察で、申し訳ないような不安な気持ちもありましたが、漁協の方の生き生きとした表情を拝見し、自らの五感で知ることの大切さを感じ、本当に参加して良かったと思いました。

WWFの「暮らしと自然の復興プロジェクト」の目標は、震災からの復興を通じて持続可能な未来を創ることにあります。

これからの未来に向け、海の自然と調和した人の暮らし、社会を、どのように創ってゆくのか。プロジェクトは、企業や個人のサポーターの皆さまに支えられ、今後も継続される予定です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

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