「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」発足!


2020年までに持続可能な紙利用を目指す、企業とNGOの協働

2013年11月19日、紙の利用について先進的な取組みを行う企業とWWFジャパンは、「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」を立ち上げました。世界の自然林の減少と紙の原料調達には、依然として多くの問題が報告され続けています。こういった現状があるなか本コンソーシアムは、森林資源の持続的な利用のためには、紙の利用量を削減し、古紙を多く利用することに加え、より環境や社会に配慮された紙製品を「選択」することも大切と考えます。

しかし、このような取組みは、単体の企業や団体の行動だけでは社会全体に広げることは困難です。そこで、以下の5社と国際環境NGOであるWWFジャパン、そして企業の持続可能性の推進をはかる株式会社レスポンスアビリティが協働して、持続可能な紙利用を実現すべく、本コンソーシアムを立ち上げました。各メンバーがそれぞれの立場から環境や社会に配慮した紙利用を推進することを通じて、持続可能な紙利用の社会全体への拡大、浸透を目指します。

参画企業(2017年5月時点、50音順)

 

味の素株式会社、イオン株式会社、花王株式会社、カシオ計算機株式会社、キリンホールディングス株式会社、JSR株式会社、ソニー株式会社、株式会社ニコン、三井住友信託銀行株式会社

運営アドバイザー:株式会社レスポンスアビリティ


世界の自然林減少と日本の紙利用

世界の自然林は、現在も減少を続けています。特に、自然の森の大規模な破壊は、環境面の問題はもちろん、人々の生活や土地利用をめぐる社会的な問題にまでも発展しています。こういった問題の背景には、さまざまな要因がからみあっていますが、その一つに、製紙用の原料調達や植林地として利用するための土地開発があります。日本の紙・板紙生産量・消費量は、ともに世界3位、一人当たりの消費量も世界平均の約4倍(※)です 。多くの紙製品や原料を海外から輸入する日本は、この問題に深く関与しているといえます。

  • RISI Annual Review 2012

持続可能な紙利用を社会全体で推進するために

紙は、全てのビジネス、そして人々の生活に欠かせないものです。
日本では長らく、紙の節約や再生紙の利用が推進されてきました。もちろん、紙の無駄使いを減らすことや再利用は、資源の有効利用につながりますが、節約やリサイクルが可能な回数には限りがあるうえ、古紙配合率の高い紙は、質的にもバージンパルプ由来のものとは異なります。

つまり、今ある紙のリサイクルだけで社会全体の紙需要を満たしてゆくことは難しく、一定量のバージンパルプの投入は欠かせません。また、バージンパルプの利用については、安易な紙の選択が世界の自然林減少の一因になってしまっているという現実がある一方で、市場には、FSC(Forest Stewardship Council)のような信頼できる森林認証制度に認められた製品も存在します。

そのため、紙の利用について先進的な取組みを行う企業とWWFジャパンは、自然の森を守りつつ紙を使い続けていくためには、紙の生産や供給に関わる事業者が適切な森林管理や責任ある調達を行うことはもちろん、紙を利用する側においても十分な配慮を行うことが不可欠と考えます。

「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」は、こうした紙利用に関する考え方に賛同し、責任ある調達方針を策定した、もしくはその予定の企業・団体をメンバーとし、2020年までに自らの事業活動において持続可能な紙利用を実践するとともに、その意義が社会全体に広まるよう、情報発信や普及啓発活動等を行います。

具体的な活動は、以下のようなものを予定しています。

  • 持続可能な紙の利用を進めるための情報提供
  • 情報発信や普及啓発活動
  • メンバー間での定期的な情報共有
  • サプライヤーや取引先への取組みの拡大、等

関連記事

 

関係者のコメント

株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹

環境に配慮した紙を使用している企業が、再生紙を使っているに過ぎないことが日本では少なくありません。再生紙を使うことは資源の有効利用という面では有意義ですが、環境負荷全体を考えるとサプライチェーンでの管理が必要であり、国際的にもサプライチェーン全体を意識した紙の利用が求められています。このような中、社会的責任に対する意識の高い企業5社が、森林管理や製造プロセスも含めて環境に配慮した紙利用を推進するために集まったことは、日本の紙利用に関する取組みを大きく前進させるきっかけになるものと期待します。

WWFジャパン 森林プログラム 古澤千明

WWFの森林保全活動では、林産物のサプライチェーンに対し、責任ある生産・供給・消費を呼びかけてきました。日本では紙の利用に関して、使用量の削減と再生紙の利用が長年推奨されてきました。勿論それらは、資源の有効利用に貢献しますが、紙の原料としてより森林資源に直結するバージンパルプの環境配慮についても十分確認されるべきです。さらに、本コンソーシアムのサプライチェーンへも取組みを拡大しようとする動きは、この認識を社会全体に広める上で大変重要です。先進企業の行動と発信によって、よりこの輪が拡大することを期待します。

持続可能な紙利用のためのコンソーシアム 関連資料

問合せ

WWFジャパンウェブサイト 森林プログラム 古澤千明
(Tel:03-3769-1364 chiaki@wwf.or.jp)

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP