ASC認証を受けた養殖サケが日本で発売開始


2014年3月1日、自然環境に配慮して生産された養殖水産物として「ASC認証」を受けた製品が、日本全国で販売されることとなりました。ASCのラベルが付いた水産物を、消費者が自ら選んで買えるようになることは、水産物の利用を持続可能なものへと改革していく上で、とても大きな意味があります。WWFは、今回、ASC認証ノルウェー産養殖サケの販売を開始した総合スーパー「イオン」と共同で、2月28日に記者発表会を行ないました。

「海をまもって育てたさかな」

会見を行なったのは、東京・西葛西にある「イオン葛西店」です。全国425店舗でASC認証サケの販売を開始するのは3月1日ですが、イオン葛西店では、特別に2月28日に先行販売を実施。これにより、マスメディアと消費者の双方に、環境に配慮した水産物を紹介し、それを選ぶことの大切さを訴える場づくりが実現しました。

会見には、WWFジャパン事務局長の樋口隆昌、イオンリテール株式会社取締役兼専務執行役員・食品商品企画本部長の土谷美津子氏、ASC(水産養殖管理協議会)最高責任者のクリス・ニネス氏、日本レロイ株式会社代表取締役社長の小井土慶太氏が出席しました。

WWFの樋口からは、海洋生態系の保全と、水産資源の利用の両立を図っていく上でASC認証制度が果たす役割が非常に大きいことを説明。また、認証制度が実際に機能するようになるためには、企業、NGO、消費者のそれぞれが行動を起こすことが重要であると強調しました。

ASCのニネス氏は、ASC認証制度の仕組みについて解説。研究者や環境NGOだけでなく、生産者やバイヤーなど多様なステークホルダーが参加して、認証制度の根幹となる基準作りが行なわれること、世界でも信頼性の高い認証制度として評価されていることなどを話しました。

イオンリテール株式会社の土谷氏は、2006年から扱ってきたMSC認証(天然水産物の認証制度)を受けた製品とともに、ASC認証製品の強化にも取り組みたいと表明。環境への配慮、品質、おいしさを届けることで、日本の魚食文化を未来の子どもたちに残していきたいと述べました。

日本レロイ株式会社は、今回、販売が開始されるASC認証のタイセイヨウサケ(アトランティックサーモン)の養殖場を経営している総合水産企業・レロイ社の日本法人です。代表取締役社長の小井土慶太氏は、ASCの認証取得に取り組んできた生産の現場として、ようやく消費者にASC認証サケを届けられ、手応えを感じていると語っています。

記者発表会のあとは、イオン葛西店に来店中の一般の方々を対象にイベントを開催。ASC認証制度の紹介や、「ASC認証つき生アトランティックサーモン500グラム」が当たる抽選会、そして試食会などが行なわれました。

WWFとASC認証制度

WWFは、「資源の持続可能な利用」を実現するにあたって、木材、紙、植物油、水産物などの生産や調達を、環境保全や人権などに配慮した形に変革する取り組みを進めています。そのひとつの方法が、認証制度の普及です。

WWFはこれまで、FSC(森林管理協議会)、MSC(海洋管理協議会)、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの設立を支援し、認証のための基準づくりなどにも参加してきました。養殖水産物の持続可能な利用をめざすASC(水産養殖管理協議会)についても、同様の取り組みを進めています。

天然水産物の漁獲量が頭打ちとなる中、近年は、養殖による水産資源の生産量が拡大しつつあります。現在では、世界の水産物全体の半分を、養殖水産物が占めています。

養殖は、自然の生態系とあまり関係がなさそうに思えますが、そんなことはありません。

例えば、養殖場を開発するために行なわれる自然環境の破壊や、排出される汚水や廃棄物、薬品などによる海洋環境の汚染。養殖魚が野外に逃げることによる、病気などの拡散や外来生物の問題。さらに、養殖するために捕獲される魚の稚魚や、餌にする天然魚の乱獲なども生じています。

こうした問題を解決していくために、2010年、WWFとIDH(オランダの持続可能な貿易を推進する団体)の支援により、発足したのがASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)です。

イオンリテール株式会社取締役兼専務執行役員・食品商品企画本部長 土谷美津子氏

ASC(水産養殖管理協議会)最高責任者 クリス・ニネス氏

日本レロイ株式会社代表取締役社長 小井土慶太氏

認証制度が効力を持つために必要なこと

WWFは、養殖水産物をはじめ、さまざまな自然資源の利用を、環境に配慮した形に改善していく上で、認証制度は大きな役割を担うと考えています。しかし、認証制度が存在するだけでは、変革は起こりません。

その制度を採用し、認証水産物を継続的に扱う企業が出てきてはじめて、そして、その認証製品を積極的に選ぶ消費者がいてはじめて、環境の保全と、資源の利用を両立できる未来へのチャレンジが始まるのです。

WWFは、海洋環境の保全はもちろんのこと、労働環境や先住民の権利など社会的な側面にも配慮した「責任ある水産物」が生産され、調達され、消費者に届けられ、選ばれるようになることをめざしています。

今回のイオンの取り組みをきっかけに、日本の企業と消費者の双方に、責任ある水産物への関心が高まることを期待しています。

 

関連情報

試食会では、レモンソースであえた生サーモンなどが供されました

抽選で10名の方々に、生アトランティックサーモン500グラムがプレゼントされました。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP