目撃者の証言:島で育つ作物が変わる


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北アメリカ(アメリカ):スティーブ・ベンセルさん リニア・ベンセルさん

ベンセル夫妻は、ワシントン州サン・ファン諸島でヌートゥカ・ローズ農場を経営。長年農業に携わってきました。2ヘクタールほどの土地で、ニンニクやサラダ菜、キイチゴ、スイートコーンやトウガラシなど、たくさんの種類の作物を栽培し、毎週開かれる朝市で作物を販売しています。しかしこの数年間、島の気温が上昇し、天候のパターンが変わってきていることがとても気になっているといいます。

ワシントン州サン・ファン諸島からの証言

私スティーブと妻のリニアは30年以上、サン・ファン諸島で農業をしています。私はカリフォルニア州中部の農村で育ち、リニアは生まれてからずっとサン・ファン諸島に住んでいます。私たちには娘がふたりいますが、彼女たちは私たちの誇りです。二人とも、大学入学のために家を出るまで農作業を手伝ってくれました。小さな農場ではありますが、集約型農業を営んでおり、私たちにとって唯一、収入を得る手立てになっています。

スティーブ・ベンセルさん リニア・ベンセルさん
(C) Linnea Bensel

変化が早くなっている

地球規模の温暖化が及ぼす最初の影響は、まず天候が変わりやすくなること、そして、予測がつきにくくなる、という形で現れます。そして、この変化は次第に極端になってゆきます。

私たちが目にした変化は、次のようなものでした。過去3年の間に起きたことです。最初の2年は干ばつが続き、3年目の年には史上2番目に雨が多い、記録的な秋が訪れました。さらに非常に雨の多い冬が続き、めったになかった吹雪による被害が出ました。そして、これまでで最も雨の多い春がきて、2007年3月28日には霜が降り、植物がだめになってしまいました。

気候は常に、ある程度は変わりやすいものです。しかし、最近のパターンは過去30年以上、私たちが見てきたものとは異なるものです。

暖かくなっていること、特に季節が早くなっているのを感じています。この変化は多くの植物に影響を及ぼしているようです。例えば30年前、5月3日のリニアの誕生日は、ライラックが咲き始める季節でした。ところが今では、彼女の誕生日まで、少しでも花が残っていれば良い方なのです。

農業には毎年同じパターンで繰り返されるものもあります。
庭でよくみるイヌホオズキ類の雑草は、いつも晩夏から初秋にかけて庭中に勢力を広げます。芽を出すのは7月中旬で、この時期は、この土地で農業を続けてきた30年間、変わりませんでした。ところが3年前から、この雑草は陽射しが暖かくなる6月頃に芽を出すようになり、夏から秋にかけて、より広い範囲にはびこるようになりました。

農場で作業するスティーブさん。島での農業は、種まきや収穫のサイクルの変化、雑草や害虫の問題など、さまざまな課題に直面しています。
(C)Steve Bensel

ベンゼル負債の農場で収穫されたトマト。気候が変わったことで、収穫が増えた作物の一つ。
(C)Linnea Bensel

変化は、私たちの農場だけでなく、島の森林にも見えるようになり、その変化はますます大きくなっています。多くの要素が絡んでいると思いますが、間違いなく地球温暖化は大きな要因となっているように思います。この2年間は連続で、春がとても暖かく乾燥していました。この事が樹木へのキクイムシの被害を悪化させ、たくさんの島のモミの木を、枯れさせる結果となりました。

影響の結果

これまでの長い経験から、農作業で必要とされるさまざまな作業のタイミングが作物の出来高を大きく左右することはわかっています。しかし、気候が今以上に予測困難になると、農業を続けていくために何をすればよいのか判断することがとても難しくなります。

私たちは長年この土地で農業を続ける中で、地元の市場に新鮮な野菜を供給する上で、最適な種まきのスケジュールを考案してきました。ところが、新しく、極端な気象や気候の変動が起こると、これまで使っていたスケジュールは役に立たなくなってしまいます。3月にジャガイモを植えても、4週間後に霜が降りてそれがだめになってしまったら、植えた意味がないのです。

予想していたことですが、気温の高い夏には利点もありました。2年間、暑く乾燥した夏が続いたおかげで、海洋性気候のこの島では、育てるのが難しいはずのトウガラシとトマトが豊作でした。

WWFインターナショナル/ホームページ掲載日:2007年5月30日
Climate Witness: Steve and Linnea Bensel, USA

科学的根拠

スティーヴン・W・ラニング教授(Steven W Running)アメリカ合衆国モンタナ大学、森林学・自然保護学部(College of Forestry & Conservation, University of Montana, USA)
ベンセル家が住んでいる地域の平均気温が上昇していることは記録的にもはっきりしています。しかし、降雨パターンが変化しているかどうかは明らかではありません。過去100年に太平洋北西部は地域全体の気温が約0.8度上昇しました。2007年の春の雪解けのピークは、1948年に比べると10日から30日早くなっています。
またベンセル夫妻の証言によれば、通常をはるかに上回る数百万ヘクタールに及ぶキクイムシの異常発生が、彼らの農場から数百キロ離れたロッキー山脈、とりわけ、コントルタマツの林で起き始めています。
これまでの定説では、異常気象は極めて稀なので、「どんどん異常になっている」のかどうかを見極めるのが極めて困難でした。そして降雨よりも気温の変化の方がより注目されています。ワシントン州西部では干ばつと洪水がこれまでに何度も起きています。
2007年のIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change=気候変動に関する政府間パネル)報告には降雨量の増加例がいくつか挙げられていますが、ベンセル家が住む合衆国の太平洋岸北西部については言及していません。従って、彼らの目撃談は、科学者が変化を予測する上で役立ちます。本当に異常気象に変化が起きているのかどうかを見極めるには、今後数十年間、特に干ばつと洪水の頻度を観察する必要があります。

全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。

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