目撃者の証言:マラリアがやってきた


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アフリカ(ケニア):ネリー・ダマリス・チェプコスキーさん

ケニア西部で農業を営むネリーさんは、日々の生活や、森を守るボランティア活動の中で、自然や気候の明らかな環境の変化を感じているといいます。草が枯れてしまうほどの気温上昇や、死者まで出るようになったマラリアの発生など、これまで無かった変化が、食糧不足や収入の低下、健康被害などを地域にもたらしています。

ケニアの森の村からの証言

私の名前はネリー・ダマリス・チェプコスキー、50歳です。私の家は農家で、ケニア西部のケリチョ県にあるキプチェボという村に住んでいます。結婚していて、5人の子どもの母親でもあります。私の農場ではトウモロコシやお茶を育て、乳牛を何頭か飼育しています。

ネリー・ダマリス・チェプコスキーさん
(C)Nelly Damaris

森で活動する女性たち

私は900坪(3,000平方m)ほどの土地で、この地にもともと生えていた在来の樹木の苗木も育てています。この苗木は、売ったり、学校のような地元の団体に寄付したりして、森林の保全に役立てています。

さらに、地域社会を結集するボランティアとして、フォレスト・アクション・ネットワーク(Forest Action Network) とも一緒に活動しています。

私は森を守ることの大切さを地域の人々に教えていますが、これは自分が仕事をする上でも必要なことだと思っています。私は女性たちと一緒に森の保護活動を行なうことが多いのですが、女性たちはこれまで、森林保護に関する知識をほとんど与えられてこなかったからです。

地域の女性たちと仕事をしていると、ここ20年から30年の間に地元で起こった環境の変化について、よく話を聞くことがあります。

そしてその変化の多くは、私自身も目にしているものです。この中には、新たな農地や居住地を作るために、野放し状態で行なわれている原生林の開拓も含まれています。

ケリチョ周辺の森と農地 (C)WWF

苗を育てているネリーさん。地域の女性たちと、森の保全活動に取り組んでいる。(C)WWF

雨が変わり、草が枯れる

しかし、とりわけ私たちの生活に大きな支障を来たしているのは、天候の変化です。

この10年の間に、地域の降水パターンは変わってしまいました。ここケリチョ県は、以前は一年を通じて雨が降っていました。昔は大雨が降る中、家族でクリスマスのお祝いをしたことをよく覚えています。

それが今では大きく変わってしまい、クリスマスの時期には大抵、空気が乾燥しています。

気温もこの10年間で上がり続けてきました。雨季の間でさえも気温は上昇しています。これはケリチョ県では、本当に異常なことなのです。

20年前とは違い、今は乾季になると、全ての草が乾燥して枯れてしまうほど暑くなります。こんなことは、今までは起こりませんでした。乾季であっても、草は緑色だったものです。

この変化によって、牛に飼料となる草を十分に与えることができなくなりました。牛の乳の出も悪くなり、収入も減っています。そして、乾季に草が枯れて土がむき出しになったところに、雨季の雨が降り始めると、土地が浸食されてしまいます。

炊事の支度をする。燃料は木の薪に頼っている。住民の多くは、今も暮らしを森に頼っている (C)WWF

迫るマラリアの脅威

気温の上昇によってこんな影響も出ています。標高の高いケリチョ県は、以前は蚊が生息できないくらい涼しい気候でした。しかし、気温が高くなったことによって、この辺りでも蚊が見られるようになり、蚊が媒介するマラリアの発生数も増えました。

このような現象は1980年代から始まり、今ではマラリアで死ぬ人もいます。こんなことは20年から30年前にはまず起こらなかったことです。

一方で、食糧不足の季節に、この地域でよく食用にしていた虫は、いなくなってしまいました。このことは、私たちの村がこれからますます作物の栽培に頼らなければならなくなり、雨の減少や不作の影響を、ますます受けやすくなるということを物語っています。

まずいことには、気候が暖かくなるとともに、作物に影響を及ぼす害虫は増えています。その結果、より多くの農薬が使われるようになりました。農薬のコストが増えるということは、農業からの収入が減るということであり、しかも環境を汚染している、ということでもあります。

私たちの村でも見られるような、このような地域の環境や気候の変化は、毎年のように起きては、食糧不足や貧困をもたらしています。今すぐにも対策が必要なのです。

WWFインターナショナル/ホームページ掲載日:2006年11月16日
Climate Witness: Nelly Damaris Chepkoskei, Kenya

科学的根拠

高温や集中豪雨のような気候変動や異常気象は、特にケニア西部、ウガンダ、エチオピア、タンザニア、ルワンダ、マダガスカルのような標高の高い地域でマラリアの流行を引き起こす決定的な要因になっています(IPCC 第4次評価報告書)。
マラリアの流行は季節的なもので、暖かく雨の多い時期に限られていますが、年間を通じて雨の日や暖かい日が続いたり、増えたりするといった気象条件の変化は、マラリアの発生を増加させます。マラリアの拡大に適した季節が長くなることに加えて、以前は涼しかった東アフリカ高地において、気温も上昇しています。
結果としてこのような地域では、病気にさらされることのあまりなかった人々がマラリアの流行に直面しているのです。

全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。

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