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目撃者の証言:古き森を蝕む気温の上昇
ヨーロッパ(ドイツ):ゲオルク・スペルベルさん
1933年にドイツのニュルンベルクで生まれたゲオルク・スペルベルさんは長年、森林管理や林学の教育についての仕事に携わってきました。スペルベルさんが管理に携わってきた森の一つに、その名を広く知られた広大な落葉樹の森「シュタイガーヴァルト」があります。この森で20年以上も自然を間近で観察し、観察日記を書き続けてきたスペルベルさん。今、気温の上昇や干ばつがこの森の木々を弱らせ、また害虫を大量発生させて貴重な森林を破壊し、人の生活にも大きな影響を及ぼしていると証言しています。
古きドイツの森からの証言
私の名前はゲオルク・スペルベルです。ドイツのバイエルン地方の出身です。私は30年以上も森林監督官として働いてきました。しかし、私がずっと働いてきた森では今、環境が変化しています。特に最近20年の間に目にしてきた変化の種類や激しさは、驚くべきものでした。私は地球温暖化がその大きな原因だと確信しています。

ゲオルク・スペルベルさん
(C)Julia Balz/WWF-Canon
森に異変が
温暖化については、多くの人がテレビや新聞などで多くの人が見聞きしていることでしょう。しかし、森の中にいれば、たとえ気候科学の驚くべき事実を知らない人でも、危機を感じることができるのではないかと思います。1990年代は、観測史上最も暖かい10年間でした。これは、自然と関わる人ならば、誰にとっても明らかに知り得ることに相違ありません。
私の森では、マツ科のトウヒに大きな変化が見られました。トウヒはドイツの林業にとってとても重要な樹種で、ドイツの森林の実に28%を占めています。
しかし、気候変動による平均気温の上昇と、頻繁に起こる干ばつが、トウヒを弱らせています。
さらに、暖かくなって大発生するようになった害虫のキクイムシが、木々を痛めつけている上、温暖化がもたらした気候変動によって威力を増した台風並みの嵐も、トウヒの森を破壊しています。

ドイツ南部の町ニュルンベルクに程近い、シュタイガーバルトの森。豊かな広葉樹と針葉樹が織り交ざる、
(C)Julia Balz/WWF-Canon
トウヒの森がいずれなくなる?
降雨パターンも大きく変わりました。シュタイガーヴァルトの森では、以前は植物が一番水を必要とする春と初夏に、最も多くの雨が降っていました。
ところが1990年代に入り、雨が最も多く降る季節が秋に変わりました。全体的に天候を予測することがとても難しくなり、林業がたいへんな被害を受けています。トウヒの森は将来、温暖化によってなくなってしまうかもしれません。
温暖な気候を好む害虫も、キクイムシだけではありません。シャチホコガ科に属するガの大発生も深刻です。このガは毒を持っており、その体毛が人間の皮膚に触れると、痛みを伴う皮膚炎が発症し、治るのに2年もかかることがあります。温暖化は、森だけでなく私たちにも影響を与えているのです。
1950年代に私が森林について学んでいた頃、このガは昆虫学の上ではまだ珍しい種でした。
しかし今では、このガの駆除のためにマインフランケン地方の各自治体が、消防団を雇わなくてはならないほどになっています。ガが生息しているナラの森は、一般の人々を守るために、これまでに何度も封鎖されてきました。
そして、消防団員は森に入る時に、防護服を着なくてはなりません。

甲虫の一種キクイムシ(右下)とキクイムシに食い荒らされた木の樹皮
(C)Julia Balz/WWF-Canon
渡り鳥が変化する
8年前に退職した私は、以前に増してよく森に出かけるようになりました。
私は渡り鳥に魅かれているのですが、温暖化は鳥たちの生活も脅かしています。最近は、毎年春になるとやってくる渡り鳥が、いつもの年よりも少し早くやって来て、秋にはいつもの年よりも遅く帰って行くようになりました。
本来は夏の間しか見られないはずのチフチャフやズグロムシクイといった鳥たちの中には、越冬地に渡らずに、ここで冬を越そうとするものもいます。
そして私は時々、以前は見かけなかった種類の鳥を森で見かけるようになりました。私はそんな時、珍しさにとても興奮してしまうのですが、同時に恐ろしくもなります。それは、森の環境が、それほど変化している一つの証ともいえるからです。
地球温暖化がもたらす気候変動は、私たち人間が直面している最も大きな課題です。今、私たちは子供たちや孫たちに大きな負担をかけようとしています。私たちは、間違いなくそのことに気づいています。そして、このままではいけないということも、よく分かっているのです

シャチホコガ科の毒蛾の一種(Thaumetopoea processionea)に襲われたナラの木。(C)Julia Balz/WWF-Canon

完全装備でガの退治に向かう消防団員
(C)Julia Balz/WWF-Canon
WWFインターナショナル/ホームページ掲載日:2005年12月1日
Climate Witness: Georg Sperber, Germany
科学的根拠
ドイツや中央ヨーロッパの森林の分布を決定しているのは、主に大気の気温と降雨量で、これらはまさに気候変動によって変化しているファクターです。平均気温の上昇と水循環の変化は、ドイツ全域の木々や森林に、短期的・長期的な影響を与えています。水供給量の低下による森林に対する影響は特に大きく、ある地域では夏の降水量の減少(IPCC 第4次評価報告書WG2 [12.4])と土壌中の水分量の低下により、十分な水の確保ができない状況です。
その結果、木々に対して乾燥ストレスを引き起こし、成長が遅くなり、生命力が低下して嵐や害虫による被害をますます受けやすくなります。そしてこのような懸念される展開は、経済的な影響をも意味します。
こういった森林の被害が原因で伐採された木材は、一般的に高い価値では売買されません。いわゆる「想定外の収穫」によって流通する木材の量が増えると、市場での単価は通常低くなってしまうからです。今日、いくつかの地域ではこのような「想定外の収穫」が、全木材産出量の約40%を占めています。
一部の害虫は温暖化の恩恵を受けています。これらの害虫にとって、気温の上昇はより生息に適した環境を広げる要因となり、結果として大量発生、生息域の拡大、新種の移入につながるのです。
全ての記事は「温暖化の目撃者・科学的根拠諮問委員会」の科学者によって審査されています。
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公開日:2005/12/01
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