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APP社の「森林保護方針」実施状況の評価報告書が発表

インドネシアの貴重な熱帯林を大規模に破壊してきたことで、多くの批判を浴びてきた製紙メーカー、APP社。このAPP社が、2013年2月に新たな「森林保護方針」を発表してから2年が経過した2015年2月5日に、本方針の実施状況を、独立した第三者の立場から評価した報告書が、熱帯林の保全等に取り組む国際的な組織レインフォレスト・アライアンスから発表されました。

破壊の末に発表された誓約

スマトラ島中部リアウ州の森林破壊

主にインドネシアのスマトラ島で、過去30年にわたり200万ヘクタール以上におよぶ熱帯林を、紙の原料調達と、植林地として利用するために破壊してきた製紙メーカー、APP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社。

現地では、森林破壊やそれにともなう野生生物への悪影響、地域社会との紛争、そして泥炭地と呼ばれる土中に大量の炭素を含む湿地から水を抜き、乾燥させることによる温室効果ガスの大量排出など数多くの問題が発生し、その企業活動は、インドネシア国内のみならず、国際NGOやグローバル企業、科学者など、世界からもその深刻さが指摘されてきました。

誓約の確実な履行、そして現場での変化を

失われゆく森には絶滅寸前のスマトラトラも生息する

拡大する伐採地。奥に残る濃い緑が自然林

そうした中、2013年2月に、APP社は「森林保護方針」を発表し、自然林の伐採を止め、管理下にある土地において保護価値の高さや炭素蓄積量を測るためにアセスメントを実施することを宣言。

翌年の2014年には、スマトラ島とカリマンタン(ボルネオ島インドネシア領)にて100万ヘクタールの森林再生と保全支援を行なうこと、また自らの誓約の実施状況を、独立した第三者であるレインフォレスト・アライアンスに評価させることも公表しました。

長年、独立した立場にあるステークホルダーとしてこの問題に関わってきたWWFは、こうした多くの誓約が同社から発せられたことに、慎重ながらも歓迎の姿勢を示しましたが、過去に同様の宣言をしては、自ら反故にしてきた経緯があることなどから、現場において確実に履行され、変化が確認されなければならないと主張してきました。

下記は、今回のレインフォレスト・アライアンスによる評価の結果に対する、WWFインドネシアの見解です。


WWFインドネシア:記者発表資料 2015年2月5日

APP社 保全のためには皆伐停止以上の行動を

スマトラ島にあるAPP社の工場

ジャカルタ発(2015年2月5日):APP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社が新たな「森林保全」のための方針を発表して2年が経過した。皆伐を停止するという同社の誓約は保たれているが、その管理下にある森林は今も失われ続けている。

APP社の伐採許可地では、保護価値が高く、炭素蓄積量も多いと特定された地域においてさえも、不法占拠者や住民などの部外者による森林破壊と違法行為が続いている。

WWFと地元NGOによるこの調査結果は、本日公表されたレインフォレスト・アライアンスの評価報告書により、事実であることが確認された。

WWFインドネシアの森林プログラムリーダー、アディティヤ・バユナンダは「APP社は、自らによる皆伐を停止し、伐採許可地内での大規模な調査に着手したが、現場での変化はそれほど大きくない。森林は減少を続け、泥炭地からの排水も続き、社会的な紛争も未解決のままだ。法的に保護義務のある森林でさえも、保護できずにいる」と言う。

APP社は、泥炭地に広大な伐採許可を持つが、そこで気候変動問題に及ぼす影響を軽減する措置はとられていない。レインフォレスト・アライアンスの評価報告では、APP社は、新たな水路の開発を中止した以外には、管理下にある100万ヘクタールを超える泥炭地からの排水と開発により生じる温室効果ガスの排出削減に向け、何の行動もとっていないことが確認された。

WWFは、数百にのぼる社会的な紛争の解決についても、同社の取組みに進展がみられないことに大きな懸念を抱いている。これについても、地元NGOの調査結果がレインフォレスト・アライアンスの評価報告で事実と確認され、APP社には、大きな警告が発せられたことになる。

WWFは2014年、APP社が発表した、法的義務にとどまらず、100万ヘクタールの熱帯生態系を再生・保全するという声明を歓迎した。これは、推定200万ヘクタールの熱帯林破壊という負の遺産に対する適切な対応として発表されたものであった。

アディティヤ・バユナンダは「声明発表以来、WWFは、数多くの利害関係者会合やタスクフォースに参加しているが、協議はわずかな進展しかみせていない。森林を再生・保全する地域、資金などについて、具体的な計画は何一つない。APP社が優先地域とするブキ・ティガプルにおいてさえ、同社が約束した対策はいまだ講じられていない。野生生物のための回廊(コリドー)を整備し、同社の伐採用道路から違法伐採者や密猟者、不法占拠者が侵入するのを防ぐための対策は、実行されないままである」と言う。

WWFは、APP社が進捗状況の評価をレインフォレスト・アライアンスに委託したことを評価するとともに、評価により明らかになった事実を迅速かつ断固たる態度で対処するよう同社に対して強く要請する。また同調査報告を慎重に点検し、それに基づいて同社の取引先に助言を行う。

WWFインターナショナルの森林プログラムディレクターのロッド・テイラーは「アセスメントと計画立案に2年を費やした今、APP社は行動することに集中すべきである。今日APP社は、転換を約束した。

WWFは、同社がどれだけ森を守ることに真剣かを見極めるべく、今後の取組を監視していく。APP社顧客は、木材供給地における森林破壊、そして泥炭地からの炭素排出が排除できないこのような企業とのビジネスにはリスクがあることを認識すべきである」と言う。

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