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サンゴ礁の危機: サンゴの白化
■白化現象がサンゴを襲う
1998年の夏、世界各地の海で、大規模なサンゴの白化現象が確認されました。白化(はっか)とは、文字通り、サンゴが白く脱色したようになる現象です。規模が大きいとサンゴ礁が丸ごと真っ白になってしまうこともあります。
サンゴの白化は、なぜ起きるのでしょうか。
サンゴの体内には褐虫藻(かっちゅうそう)という単細胞の藻類が共生しています。この褐虫藻は、水温が30度を超えたり、サンゴが何らかのストレスを受けると、サンゴの体内から逃げ出してしまいます。このため、サンゴは褐虫藻と共にこの藻類の色素を失い、白く見えるようになります。これを、サンゴの「白化」と呼びます。
白化したサンゴは、褐虫藻を失うために、光合成が出来なくなり、栄養が十分に確保できなくなります。しばらくすると、褐虫藻が元に戻り、白化が解消される場合もありますが、白化が長時間に及ぶとサンゴは死滅してしまいます。そして、その死骸がさらに海藻などに覆われ、新しいサンゴも育たなくなり、サンゴ礁自体が壊滅してしまう、ということが起きます。
サンゴの白化は、それ自体がそれほどに珍しい現象ではありません。しかし、昔はサンゴ礁全体に及ぶような大規模な白化は、ほとんど起きなかったといいます。1998年の大規模な白化は、おおよそ海水温の上昇が原因であったとされています。この時、白化は、太平洋、インド洋、紅海、ペルシャ湾、地中海、カリブ海沿岸の、少なくとも32カ国で起きました。その中には、シンガポールやアンダマン海などこれまでに白化が記録されたことのない場所も含まれていました。
地球温暖化によって加速したエルニーニョ現象が関係しているという説もありましたが、大規模な白化の原因は、近年の海の環境悪化とも関係があるのではないか、と見ている人もいます。
白化状態
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回復後
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1998年年夏、WWFモニタリング調査チームが確認した、バラオハマサンゴの白化現象。9月の上旬(写真上)には明らかに白化していたサンゴ群体が、11月上旬には復活していた(写真下)。しかし、全てのサンゴが回復するとは限らない。 |
■白保のサンゴ礁の白化
1998年の世界的な白化現象は、日本の海でも起きました。
この年の11月に東京大学で開催された日本サンゴ礁学会第一回大会では、各地で調査を行なう研究者から、各地で水温が例年より高く、過去の白化時にも死ななかったサンゴが死滅した例、また、サンゴにすむエビやカニが激減した、などの報告がありました。
日本でもある程度の規模の白化は1970年頃から80年代にかけて、数回起こっていましたが、この時ほど広範囲で深刻なものは初めてでした。白保のサンゴ礁も例外ではなく、その規模は、地元の海人(ウミンチュ=漁師)でさえ、これまで見たこともないようなものだったといいます。
サンゴの白化は、規模が大きければ大きいほど、サンゴに依存する生物だけでなく、漁業や観光などにも大きな打撃となります。また、規模が小さくても、繰り返し白化現象に見舞われれば、サンゴの生命力自体が弱くなってしまうおそれもあります。白化したサンゴは、必ず死んでしまうとは限らず、回復するものも多くありますが、生命力が弱まると、回復の力も衰えてくるかもしれません。
現在も白保では、毎年夏になり、海水温が高くなると、規模は小さいながら、サンゴの白化が確認されます。種によっては白化しにくいサンゴや、白化しても回復が早いものもあるようですが、いずれにしても、サンゴが白化するのは、何らかのストレスを受けているからに他なりません。
白化の原因は特定できない場合が多くありますが、海の環境と、サンゴ礁の保全を考える上では、決して望ましいことではありません。
「しらほサンゴ村」では、白化したサンゴの確認と記録を行ない、その経過を観察しています。また、赤土の流入などが、白化を引き起こす原因となっていないか、その関係性についても調べています。
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