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  サンゴ礁の危機: 赤土の問題
赤土を被り、壊死したサンゴ。
赤土を被り、壊死したサンゴ。

■サンゴを脅かす赤い土

  サンゴ礁の自然を脅かす大きな要因の一つに、「赤土」の流入があります。
  「赤土」とは、琉球列島の島々に見られる、粒子の細かい赤茶色の土のこと。これが、沖縄では、亜熱帯特有の強い雨が降るたびに地表から流れ出し、水路や川を伝って海へとに流れ込みます。

  海に流れ出た赤土は、サンゴをはじめとするさまざまな生きものたちに打撃を与えます。赤土自体に毒性などはありませんが、粒子が細かいため、一度水に混ざると、なかなか沈殿せず、水を長時間にわたって濁らせてしまいます。すると、雨が止んだ後も日光が遮られ、 サンゴは体内に共生している藻類による光合成ができなくなって、栄養不足になり、死んでしまうことがあります。また、直接赤土を被った場合も、サンゴは大きな打撃を受けます。

 かつては、赤土がそれほどたくさん海に流れ込むことはありませんでした。強い雨が降っても、豊かな森や曲がりくねった川、湿地などの自然環境が、赤土の流入を食い止めていたからです。しかし、これらの自然が開発されてきた結果、赤土はサンゴ礁に大きな被害を及ぼすようになりました。
  もともと、沖縄の海岸の大半は、サンゴのかけらや貝殻などによって出来た白い砂で覆われていますが、近年はこの赤土の流出によって、浜が赤茶色く染まってしまう場所も増えています。
 
 

青い海を赤く染める赤土。白保、轟川河口にて。
青い海を赤く染める赤土。白保、轟川河口にて。

■沖縄の海を襲う赤土被害

  沖縄の海で、サンゴ礁への「赤土流出」が大きな問題になりはじめたのは、 第二次世界大戦後、パイナップル栽培がブームになり、大規模な畑地の造成が行なわれるようになってからのことでした。
  その後、1972年の本土復帰以降に実施された沖縄振興開発計画による農業基盤整備事業や道路・ダム建設等により、赤土の流出は急増。1995年に、沖縄県赤土等流出防止条例が施行されたことを受け、沖縄県内の開発事業に伴う赤土流出量は1/3に減少しましたが、大きな発生源と考えられる農業用地からの流出量は、ほぼ横這いのままです。

 残念なことに、「魚湧く海」といわれる白保でも、集中豪雨のたびに農地から赤土が流出しています。
  轟川(とどろきがわ)流域では、これまでにも流出防止対策事業が実施されてきましたが、実際の対策は、これらの事業に同意した農家が所有するわずかな農地などにとどまり、十分な防止対策は確立されていません。
  現在、環境省の委託を受けた沖縄県により、流域全体をモデル地域とした対策事業はじめられています。
 

■「しらほサンゴ村」の取り組み

「しらほサンゴ村」で実施してきた赤土調査の調査ポイント
 「しらほサンゴ村」で実施してきた
  赤土調査の調査ポイント

ボランティアの参加を得て行なっている赤土調査
ボランティアの参加を得て行なっている赤土調査
 

 いつ、どのような形で赤土による被害が起きているのか。対策を立てる上で欠かせないのが、赤土の発生源である陸上と、流出先である海での調査です。

  「しらほサンゴ村」では、白保のサンゴ礁の健全度と、赤土被害の現状を把握するため、現在さまざまな調査活動を実施しています。
 まず、海域では、白保のサンゴ礁内に堆積した赤土の調査を行なっています。そして、特に白保海域への赤土の大きな流入源となっている、轟川流域で、土地の利用状況を調べています。

 たとえば、流域の大半を占めるサトウキビ畑の状況を見ると、収穫が終わってから次の植え付けまで間は、畑に何も植えられておらず、赤土が流出しやすい裸地の状態になります。また、サトウキビが植えられているシーズンでも、その成長に応じて雨にさらされる表土の広さが変わります。
  こうした農地の状況変化と、季節による降雨、実際の赤土の流出などの関わりについて調べます。現在は、年4回、白保の海域で海底の砂を採取し、赤土がどれくらい含まれているかなどを調べています。

  その結果、白保の海域でも、轟川河口の北側周辺の4ヵ所では、比較的たくさんの赤土の流入が確認されました。そこでの堆積量は、雨の多くなる夏から秋にかけて増え、その後は徐々に減っていく季節的な傾向があることが明らかになりました。

 白保のサンゴ礁に流入した赤土は、通常、リーフの切れ目から外洋へ、徐々に排出されています。しかし、天候や風の向きによっては、赤土がサンゴの群生地に広く拡散してしまうこともあり、赤土が原因と思われるサンゴの死亡も度々確認されています。

 「しらほサンゴ村」では、現在取り組んでいる調査の結果を行政へ提供し、対策に役立ててもらう一方、地域の方々にも積極的に情報を公開し、地域の視点から取り組む赤土対策の実現に役立てたいと考えています。

  また、近年は赤土と同時に、海藻・海草の繁茂によるサンゴへの影響も懸念されています。その原因と思われるのが、畜舎排水や家庭排水による海水の富栄養化です。「しらほサンゴ村」では、2004年度から、研究機関と共同で海水の栄養塩類の調査も実施しています。
 

 ▼赤土調査の結果について(2000年夏〜)

 


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